表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/33

第31話 小学生、護衛 〜2〜

 最初に下水処理場に着いた。

 俺たちから先にバスを降りて、周囲の安全を確保するらしい。


 そんな大袈裟に言ってるけど、あんまり危険はなさそう。

 ま、万が一ってことだな。


 嬉しいことに、俺たちも中に入れるらしい。

 てっきり外で、下水処理場自体を守るのかと思ったけど。


 下水処理場、どういう構造になってるんだろう……。

 あんまり詳しくないから、結構ドキドキしてる。


 中に入るときは、俺たちは最後尾になるらしい。

 先頭は、下水処理場で働いてる係の人。


 中の構造とか、機械の仕組みとかを生徒に説明しなきゃいけないからそれは納得した。


 「それじゃ、中に入りまーす。列を崩さないでくださーい!」


 係の人が大声で言ってる。

 よし、とうとう中に入れる――!


 「――!」


 脚を前に出そうとしたとき、あることに気づいた。

 ポケットに入れてるスマホが、震えてる。


 急いで画面を見ると、『クリーチャー出現』という文字が表示されていた。

 他のみんなも気づいたみたいで、スマホを見てる。


 詳しく見てみると、場所はここからあんまり離れてない。

 『ここから近い』って言ったほうが正しいかもしれない。

 3型クリーチャーが5体……。

 多すぎる……。


 「私が行ってくる。みんなは用心してて。どっか他の場所でクリーチャー、出てくるかもしれないから」


 天菜がそう言って走り出そうとした。


 「――待って!」


 そう言って天菜を止めたのは、俺だった。


 みんな不思議そうな顔で俺を見てる。


 「俺も行く」


 下手に言葉を付け加えないで、それだけ言った。

 すると、天菜はニッコリ笑ってうなずいた。


 「うん、じゃあ行こっか。二人なら簡単になるし」

 「えー! 風月が行くなら私も行く!」

 「お前はここにいろ」


 頬を膨らませてる花楓と、それを止めてる迅斗。


 「ふん……迅斗の意地悪……」

 「あの1型クリーチャーが来るかもしれないんだ。俺たちはそいつに用心するぞ。近接戦でアタッカーに向いてるのは俺とお前だけだろ? お前の成績見たけど、近接戦だけ高かったな。銃の命中率は笑うほどだけど」

 「あ、ひどい!」


 そう言えば花楓、銃苦手って言ってた気がする。

 まぁ、誰にでも得意不得意はあるからな。


 ……じゃなくて、行かなきゃ。

 誰かが殺される前に。


 「それじゃ、みんなお願いね」


 天菜はそう言って跳躍した。

 俺も脚にエネルギーを込めて、天菜についていくように高く跳んだ。


 天菜についていくと、とある公園に到着した。

 広くて、比較的自然が豊かだ。


 で、そこに5体いた、クリーチャーが。


 全員3型クリーチャーってこともあって、大きさで圧倒されそう。


 やっぱりまだ拭いきれないか……恐怖は……。


 「風月、今日は私も前線で戦うから」


 天菜は刀を抜きながら着地する。

 俺もその隣に着地して、刀を抜いた。


 「え……? 大丈夫……? サポートが得意なんじゃなかったっけ……?」

 「んーっとね……今日はちょっと数が多いかな? 一人で3型クリーチャーを5体も相手するの、大変でしょ?」


 う……俺の実力不足ってことか……。

 俺も3型クリーチャー、5体一気に相手できるくらいまで強くならなきゃ。


 「大丈夫、別に風月のことを悪く言ったんじゃないよ? だいたい、クリーチャー5体相手するなんて、かなり難しいことだし」


 俺の表情から考えを読み取ったのか、天菜は微笑みながら優しく言う。

 本当にお姉ちゃんみたいだな……。

 前も思ったけど、こういうお姉ちゃんほしかった。


 クリーチャーは俺たちの存在に気づいたらしく、一斉にこっちに向かってきた。

 『一斉』って言っても、みんな動きは速くない。


 「そういえば風月に私の技、まだ見せてなかったよね」


 天菜はクリーチャーを真っ直ぐ見ながら言う。


 確かに天菜の技は見てないかも。


 確か……『水』のエネルギーだったっけ?


 「私もさ、ちょっと見せたいんだ、技。いいかな?」

 「もちろん。俺もちょっと見てみたいかも」


 天菜は地面に手をつける。


 それを最大の隙だと思ったのか、敵はみんなスピードを上げた。


 俺が咄嗟に刀で斬りかかろうとしたときだった――


 「――水吹線柱(みずぶきせんちゅう)


 その瞬間、1体のクリーチャーの立っている地面から、何か細いものが吹き出た。

 それをよく見てみると、『水』が地面からものすごい勢いで吹き出てた。


 『水』はクリーチャーの喉を貫通して、クリーチャーは動かなくなる。


 天菜が地面から手を離すと、その水も止んだ。


 「……! すごいよ! めっちゃ強いじゃん!」

 「今回は1本しか出さなかったけど、もうちょっと頑張れば何本も出せるよ?」

 「え、最強じゃん。なにそのチート技」


 俺の正直な感想に多少は喜んでくれたのか、『アハハ……』って笑いながら天菜は敵を見た。

 1体は倒せたけど、あと4体か……。


 「次は風月だよ? 私、風月の技も近くで見てみたいな」


 あ、俺?

 俺の技か……。


 何を使おっかなー……。


 ……よし、あれにするか。


 俺は親指以外の4本の指をクリーチャーに向け、そこにエネルギーを込める。


 「風弾指発(ふうだんしはつ)


 すると、俺のその4本の指からエネルギーの塊が銃のように発射された。


 それは4対のクリーチャーの頭を貫通して、クリーチャーはみんな倒れて動かなくなった。


 「風月もすごいじゃん! 4対一気に倒せちゃうなんて!」


 天菜も喜んでくれてる。


 どうだ、クリーチャー、これが俺の実力だ……!


 ……ま、今回は込めるエネルギーをいつもの何倍にもしただけだけどね。

 だから威力が上がったんだよ?


 いつもの威力だったら多分、『イテ』くらいで済んじゃうし。


 天菜の前だからカッコつけちゃった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ