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第28話 デート……? 〜2〜

 グミ買ったあとはちょっと散歩して、それから駅に向かった。

 駅は結構色々なお店あるから。

 駅デパートとか。


 そしてそろそろお昼ご飯の時間だ。

 雨米から『花楓はパスタが好き』ってことはすでに聞いてあるから、そこにしよう。


 早速そこに行くか――!


 ――って、パスタ屋さんどこにあるの?

 駅の近くにあるパスタ屋さんなんて知らないよ。

 え、どうしよう、オドオドしてるところ花楓に見られたくない。


 花楓が見てない隙にこっそりスマホで調べるか……?

 あー、なんで事前に調べなかったんだろ、俺のバカ。


 「そろそろご飯にする?」


 悩んでるせいで、先に花楓に言われちゃった。

 本当にどうしよう、人生で一番困ってるかもしれない。


 「そ、そうだな」


 とりあえず冷静を装うことにしよう。


 「風月は何食べたい?」

 「あーっと……」


 ここで『パスタ』って答えるか?

 うん、それがいい。

 よし、言うぞ!


 「パ――」

 「うーんと、じゃあどういうのが好き?」


 ……え?

 ……まさか、俺が黙りすぎちゃったから、何も思いつかなかったって思われちゃった?


 どうしよう、そうなるともう言えなくなる。


 「ごめん、風月の好きな食べ物、まだあんまりわかってないんだ。甘い物が好きってことは知ってるけど……。ご飯にも甘いの求める系?」

 「いや、それはいいや」


 甘いのは甘いので食べたい。

 変に甘くしたやつはあんまり好きじゃないよ。


 「――ってかさー、そこの郵便局の隣に新しく焼きスパゲッティの店ができたの知ってる?」

 「え、マジ? 私今度行ってみたい!」


 近くを歩いてるカップルの会話が聞こえた。


 焼きスパゲッティかー……。

 俺食べたことないかも。

 俺も今度食べてみるか――


 ――って、焼きスパゲッティ!?

 パスタじゃん! 焼いてあるけど!


 「そ、そこの郵便局の隣に新しく焼きスパゲッティの店ができたんだ! 行ってみたない?」


 彼氏さんの言葉をそのまま使う。

 花楓はあの会話が聞こえなかったみたいで、俺の言葉を聞いた瞬間目を輝かせた。


 「本当!? 食べてみたい!」

 「よし、じゃあ行くか!」


 なんとか解決。

 ……それより、郵便局ってどこ?


 「郵便局って確かあっちにあったよね。行こ?」


 花楓はその場所を知ってるみたいで、俺の前を歩いた。

 ここもなんとか解決……。


 今のところ都合よく解決してるな。

 日頃の行いがいいからかな?


 俺もお腹空いたし、食べに行くか、焼きスパゲッティ。


 店は目立ってたから、迷わずに来れた。

 店内は混んでるけど、座れないほどではない。


 花楓は焼きナポリタンにして、俺も同じのにした。

 それが一番美味しそうだったから。


 いや、実際美味しかったよ?


 でも正直味に集中できなかった。


 目の前でそれを食べてる花楓に集中がいってしまったから。

 最後のほうなんかは、花楓の整った顔を見てボーッとしてた。


 「いやー、美味しかったね!」


 店から出ると、満足そうにそう言う花楓。


 「風月、ちょっと歩かない?」

 「……うん、いいよ」


 花楓は散歩にいいところを知ってるらしくて、先頭を歩いてくれた。

 その間会話はしなかった。

 花楓がなんにも喋らなかったから、俺も喋らなかった。


 花楓は河川敷まで行った。

 木もあって、確かに歩くのにはいいかも。


 「私さ、今すっごく楽しいんだ」


 花楓は不意に喋った。

 最初は花楓がなにを言っているのかわからなかった。


 だから聞き返そうとした。


 だけどその前に花楓がまた喋る。


 「正直、この世界を楽しめないと思ってた。私さ、お兄ちゃんがいたんだけど、その人にも会えなくなって。お母さんのご飯ももう二度と食べれなくなったし、反抗期でお父さんとケンカしてばっかだったし。全部が絶望に見えたの。しかも、この世界では護殺人の扱いは差別的だし。でもね、今はすっごく楽しいよ。天菜ちゃんみたいな親友にも会えたし、雨米ちゃんの美味しいご飯も食べれてるし、迅斗と戦いについていっぱい話せるし。それに、私にとっては初めての存在もできた」


 振り向く花楓。

 少し笑っていた。


 下心じゃないけど、本当にかわいいって思った。


 そんな俺を、花楓は見つめてくる。


 「この世界に綺麗事なんてない。人間たちは私たちを差別するし、ただ生きてるだけなのにクリーチャーと戦わなきゃいけない。だったらさ、私たちは、私たちだけで楽しもうよ」


 俺の手をに握る花楓。

 その手はあたたかかった。


 「風月、もしさ、もしだよ? 私たちが『運命』から解放されたら、私、風月にしたいことがあるんだ。だからさ、その『運命』を壊すために、今は頑張ろ? 一人じゃなくて、みんなで」


 ……この気持ちは初めてだ。

 初めてだ、こんな、()()()気持ちは。


 「……ああ!」

 「うん!」


 花楓が今度は走り出した。

 『風月! 早く!』って言いながら手を振ってる。


 この世界、なんでも絶望的なことだけじゃないと思う。

 花楓のおかげで、そう思えた。

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