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第20話 1型クリーチャー

 『天星橋交差点』

 その場所は地図で確認したことがある。


 すぐにそこに行くと、めちゃくちゃになっていた。


 横転している車、ゴミみたいに地面に横たわっている店の看板。

 そしてその中に、刀を構えている天菜と迅斗、そして右目に眼帯をつけてて、刀を持ってる男。


 男は二人と向かい合っていた。


 天菜は額から血を流してる。


 間違いない、あの男が敵――1型クリーチャーだ。


 「移風(うつりかぜ)!」


 花楓がそう叫ぶと同時に、花楓の姿が消えた。


 そう思った次の瞬間、花楓は男の背後にいた。


 握っているナイフで男を刺す気だ。


 「また増えたか……殺護人め……」


 男とナイフが当たる寸前だった。


 突然、男の姿が煙のように消えた。


 急いで周囲を見渡すけど、どこにいるかはわからない。


 「――もう一人……」


 後ろから男の声。

 振り向くと同時に刀を振りかざした。


 男は後ろにいたけど、握っている刀で防がれた。


 男の顔がハッキリと見える。

 俺たち人間と同じ顔だった。


 「この街には何人の殺護人がいる? 答えろ」


 男の口から聞こえる声。

 その声は普通の声だったけど、身体の内側を震わせるような声でもあった。


 「バカ! すぐ離れろ!」


 迅斗が男の後方に回る。


 男はその斬撃も刀で防いだ。

 今は俺のほうに刀を向けていない。

 だったら――!


 俺は男に斬り掛かる。


 すると、俺の身体が動かなくなった。

 まるでなにかに束縛されてるかのように。


 よく見る白色の煙が俺の身体に(まと)わりついていた。


 それに気づいた次の瞬間には、俺はその煙に強く縛られた。

 全身に鈍い痛みが走る。


 よく見ると迅斗もそうだった。


 「……助けは来ない……。つまり、お前らでこの街の殺護人は全員みたいだな。ならばもうお前らに用はない」


 男は刀をゆっくりと構え、迅斗を斬ろうとする。


 止めなきゃ……!


 俺はエネルギーを込め始めた――


 「――私のこと、忘れないで」


 二人の間に誰かが入る。

 花楓だった。


 花楓は男の斬撃を刀で防いでいた。


 その間に天菜も俺のところに来て、俺を抱えて男から離れていった。


 「天菜……!」

 「大丈夫、一旦離れるよ」


 天菜は俺を抱えたまま走る。


 しばらく走ると、ゆっくりと俺を放す。

 もう煙は消えていて、自由に動ける。


 「風月、怪我は?」

 「俺は大丈夫……。それより天菜が……」

 「私も大丈夫だよ。ちょっと刀と擦れちゃっただけ。それより、あれは危険だよ」


 『あれ』――1型クリーチャー。


 あいつ、今までのクリーチャーと確かに違う。

 あの煙は絶対にエネルギーだ。


 俺が倒してきてクリーチャーに、エネルギーを操作するやつはいなかった。

 これが1型クリーチャーってやつか……。


 「風月、教官に報告して」

 「……ああ、わかった」


 俺にできることはそれしかない。

 俺があいつと戦ったところで、負ける気しかしない。


 だったら花楓や迅斗に時間を稼いでもらって、教官に来てもらうことが一番だ。


 俺は天菜に放してもらい、あとは自分で走ることにした。

 天菜は花楓たちのサポートをするらしく、家に向かった。

 そこからスナイパーライフルを持ってくるつもりらしい。


 俺はある程度あのクリーチャーから離れると、スマホを出して急いで教官に電話をかけた。

 教官はすぐに出た。


 『おお、どうした?』

 「教官! 1型クリーチャーが出現しました!」

 『! 場所は? 天星市のどこだ?』

 「天星橋交差点です!」

 『……わかった、すぐに隣の地区の護殺人を数人ずつ向かわせる! それまで耐えろ!』


 そこで電話は終わった。

 俺はスマホをポケットにしまうと同時に、あることに気づいた。


 ポケットの中に、煙が入ってる。

 嫌な予感がする。


 その嫌な予感はすぐに当たった。


 煙は俺の前まで浮かんできて、それが人の形になる。

 次の瞬間には、その煙はあのクリーチャーになっていた。


 「どこへ行く?」


 クリーチャーはそう言うと、刀で俺に斬り掛かってくる。

 俺はそれを紙一重で躱して、刀を抜いてそいつに構える。


 「驚いたな、やはり殺護人は冷たいやつらだ。仲間を置いて逃げるとはな」


 『逃げたわけじゃない』。

 そう言おうとしたけど、あることに気づいた。


 なんでこいつがここにいる?

 迅斗たちが戦ってくれてるはずだ。


 今クリーチャーはここにいる。

 じゃあ迅斗たちはなにをしている?


 「あの殺護人たちとの戦いはすでに終わった」


 いけしゃあしゃあと言うクリーチャー。

 一瞬、こいつがなにを言っているかわからなかった。


 『戦いが終わった』。

 それはつまり、どちらかが負けたということ?


 じゃあどっちが負けた?

 クリーチャーはここにいるから、こいつは負けてない。

 つまり――


 「次はお前だな」


 クリーチャーはまた俺に斬り掛かってくる。


 ヤバい――急なことで追いつかない――


 「――勝手に終わらせるな! 鎖雷(くさりがみなり)!」


 そんな声と同時に、俺たちの間に落ちる雷。

 その雷は地面に落ちると、連鎖的に周囲の地面にも雷が流れた。


 俺は咄嗟に脚にエネルギーを込めたおかげで、感電せずに済んだ。


 クリーチャーのほうは跳躍していて、離れたところに立っている。


 そして、一つの影が俺たちの間に入る。

 それは迅斗だった。


 ところどころに切り傷のようなものがあって、そこから血が流れている。


 「風月! 教官に電話は!?」


 刀をクリーチャーに構えたまま、迅斗は訊く。


 「し、した!」

 「よし! ならこいつの足止めできるか!?」

 「……ああ!」


 俺の役目は電話だけじゃなかったんだ。

 こいつは――迅斗は俺が1型クリーチャーと戦えるだけの実力があると認めてくれている。

 もちろん、俺が勝つとは思ってないだろう。

 だけど、足止めとしての力はある。


 だったらその期待に、応えるしかないな……。

 俺はいつでもエネルギーを流せるように、クリーチャーに全神経を集中させた。

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