第19話 技名
俺は刀をそのまま振り下ろす。
それでクリーチャーの首が切断されて、クリーチャーは動かなくなった。
このクリーチャーは2型クリーチャーだな。
「よくやったな」
迅斗が左腕を手で押さえながら俺のところに来る。
俺と迅斗の二人でこのこのクリーチャーを討伐した。
迅斗が俺を護るために左腕に攻撃を受けちゃったけど。
「迅斗……、お前、大丈夫……? 腕」
「大丈夫、気にすんな。それより、お前だいぶ強くなったな」
俺もそう思う。……自分で言うのはあれだけど。
前よりも技が強くなってる気がするし、エネルギーを流す早さも早くなってる。
前はビビってた2型クリーチャーも、前より怖くはなくなった。
「……?」
誰かからメールが来たらしく、迅斗が不思議そうにポケットからスマホを出して画面を見た。
そして『マジかよ……』ってつぶやいてる。
なにかあったのかな?
「どうした?」
「お前もそろそろ来ると思うぞ?」
なにが?
そう思ってたら、俺のスマホも震えた。
誰かからメールが来たのだ。
俺は刀を鞘に収めて、画面を確認する。
教官……?
『お前の技、考えてやったぞ』
その一文と一緒に1枚の画像が添付されてた。
そこをクリックして拡大してみる。
画像にはいろいろな文字が書かれていた。
『技名一覧(頑張って考えたぞ!)
・一世風靡……周囲に風を巻き起こす。
・風弾指発……指先から空気の塊を高速で発射する。
・風投……掌から空気の塊を放出する。風弾指発より威力が高いが、消費エネルギーも高い。
・風操……風によって物を動かし、対象物に当てる。』
……熟語好きだなー、教官。
まぁ、カッコいいとは思うけど。
「なんか……なんともいえないネーミングセンスだね……」
「これ、言わなきゃいけないらしいし……。教官曰く、『技を発動させるときに名前は言え。そしたらど仲間にどんな技を発動させるか伝えることができる。無差別に巻き込む系の技とかだったら便利だろ?』だってよ」
「それはうなずけるけど……」
「ま、試しにやってみようぜ」
迅斗が俺の後ろを見ながら言う。
俺も振り向いた。
そこにはコウロギ型の3型クリーチャーが。
「先にやる?」
「いや、お先にどうぞ……」
「じゃ、お言葉に甘えて」
迅斗はクリーチャーに向かって走っていった。
『どんな攻撃するんだろー』って思って見てたら、急に迅斗がクリーチャーに抱きつく。
「伝雷」
迅斗の言った言葉がすぐに漢字変換できる。
すると、雷が落ちたような音が聞こえたあと、クリーチャーは倒れて動かなくなった。
なんとなくどんな技なのかわかる。
これ便利かも。
これなら周囲にいるやつを無差別に攻撃する技だったらすぐに逃げられる。
「あー! また迅斗が倒した!」
そう言いながら花楓が来る。
「私、せっかくすぐ向かったのに!」
「残念だったな」
「むー! 技名考えてもらったのに!」
「お前もか」
ついつい声が出ちゃう。
花楓の技、気になるな……。
花楓も『風』の質だったよね?
天菜が『水』、雨米は……。
あれ、雨米って自分のエネルギーの質がわかんないんだっけ?
……無理に知る必要もないか。
戦いが嫌なら他のことをすればいい。
戦い以外にできることなんてたくさんある。
一般人の避難だって、大切な役目だ。
「え、風月も考えてもらったの!? 風月の技見たい!」
「じゃあ花楓のやつも見せてくれるなら」
「見せる! 今すぐやるね!」
花楓は腰からナイフを抜く。
そしてそれを逆手に持って――
「こんなところでやめろ。クリーチャーも出てねぇんだし」
迅斗に止められた。
「えぇ!? このタイミングで言う!?」
確かに! 俺も花楓の技見たかった!
「そ、そうだぞ迅斗!」
「他人巻き込む系のやつだったらどうするんだよ……。それに、技は不必要に発動させるものじゃない。エネルギーも使うし」
うう……迅斗の言ってること、正しい……。
なんも言い返せない。
「……それじゃ、俺は寝たいから先帰ってるわ」
迅斗はそのまま家に向かっていく。
あいつ、寝るの好きなんだよな。
暇さえあればずっと寝てる。
「……あ、そうだ……。風月、今ちょっと空いてる?」
「今? まぁ、特に予定はないけど……」
「じゃあさ……一緒に買い物行かない? 駅の近くのデパートにお菓子屋さんがあるんだ」
え、二人で!?
ふ、二人で駅前へ!?
しかも花楓と!?
こんなことしていいのかな……?
……いや、花楓が誘ってくれんたんだ。
断るわけにはいかない!
「わかった、じゃあ行こっか」
「本当!? やったー!」
……かわいい……。
花楓と二人だ……!
……これ以上はやめておこう、俺が本格的な変質者になる。
「それじゃ、行こ!」
花楓が歩き始めたときだった。
突然、俺のスマホが震えた。
花楓のほうも同じらしく、ポケットからスマホを出す。
俺も画面を確認した。
すると『緊急連絡 1型クリーチャー出現』って文字が表情されていた。
『1型クリーチャー』。
一気に緊張する。
教官からも聞いた話。
1型クリーチャー。
今俺が倒したのは2型クリーチャー。
それよりも強い。
場所は『天星橋交差点』
「……風月、行くよ」
花楓はスマホをポケットにしまってそこへ走っていった。
今回は笑えるような話じゃない。
俺も同じように向かった。




