表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/28

第17話 教官から電話

 せっかく雨米と二人でいい感じだったのに……!

 クリーチャーが現れちゃったせいで台無しじゃん……!


 まぁ、犠牲者は一人もいないみたいだからよかったけど!

 天菜は結構怪我しちゃったけど。


 家に帰ってから、腕に包帯巻きながら『大丈夫だよ、このくらい。ちゃんと痛みも感じるし、動かせるし』って笑いながら言ってた。

 やっぱり天菜は強いんだなって思わせる。


 「……そういえばクリーチャーの死体ってどうするの? 俺たちなんもしてないけど」

 「『死体処理班』ってやつもいるから、そいつらが片付けてくれてる」


 へー、そんなのあるんだ。

 俺もできればそっちがよかったな、戦いたくないし。


 そのとき、俺のポケットに入れてあるスマホが突然震えた。

 急いで出してみると、教官から電話がかかってきてた。


 急に何の用だろう……。


 俺はとりあえず電話に出ることにした。


 「はい、風月です」

 『風月か。急いでスピーカーにしてくれ」


 え、スピーカー?

 俺と教官の会話、聞かれちゃうの?


 ちゃんとみんなこの場にいるし。


 だけど言い返す勇気がないから俺は仕方なくスピーカーにして、教官の声がみんなに聞こえるようにした。


 『その場に全員いるか?』


 教官の声で、みんなが一気に険しい表情になる。

 その理由は俺もわからない。


 ただこの教官の言い方、笑えるような話じゃないってことはわかる。


 「はい、全員います」

 『お前ら知ってるか? 最近護殺人の死亡率が著しく高くなってるんだが』

 「あの、教官、死亡率というのは……」


 ここで天菜が遠慮がちに訊く。

 さっきまで座ってたのに、今は立ってる。


 『クリーチャーらしきやつに殺されてるってことだ。事故や自殺は含まないで』

 「クリーチャー……」


 『クリーチャーに殺されてる』。

 俺もクリーチャーに殺されそうになったから、なんとなく想像できる。


 『ああ、それもきちんと死体は残ってる。だから3型クリーチャーにやられた可能性はないと言っていいほど低い』

 「すると……2型クリーチャーですか?」


 ここでも質問したのは天菜だった。

 他のみんなは教官の言葉を待っている。


 『……その質問にはまだ答えない。殺され方だけを言う。全員刀で殺されてた』

 「刀……!」


 ここで天菜はなにかに気づいたらしく、目を大きくして驚いてる。

 迅斗もそうだった。


 『ああ、2型クリーチャーは基本的に刀は使わない。つまり――』

 「1型クリーチャー……ってわけか……」


 今度は迅斗がつぶやく。


 1型クリーチャー。

 さっき雨米が教えてくれた。


 ヒト型のクリーチャーで、知能が高い。

 そして、他のどのクリーチャーよりも強い。


 知能が高いってことは、武器を操れるかもしれない。


 『そうだ。もしかしたらお前らの近くにいるかもしれない。見つけ次第、早急に討伐しろ。もしお前らが死んだら私たち教官が討伐することになるから、絶対に仕留めてくれ』


 そして電話は終わった。

 俺たちはしばらく無言で、みんなの顔を見つめ合っていた。




 ──────────────────




 「…………」


 無言で電話を切るのは蝶香。


 彼女は今、とある部屋の前に立っていた。

 その部屋の名前は『教官会議室』。

 教官だけが入ることが許される部屋だった。


 蝶香は深呼吸をしてから中に入る。


 部屋の中央には大きめの円形の机があり、等間隔で重々しい椅子が配置されていた。


 その椅子の数は10個。


 その中の3つの椅子にはすでに人が座っていた。

 蝶香と同じくらいの年齢の男女が一人ずつ、40代半ばの中年の男が一人。


 「あれ? まだこんだけしか集まってねぇのか?」


 近くにある椅子に座りながらつぶやく蝶香。


 「みんな忙しいんだって」


 そう答えたのは女だった。

 彼女の名前は水沙(みずさ)――第6教官を務めている。

 蝶香と同時に教官に就いた者だった。


 「はぁ? 忙しいって……会議より忙しいものなんてあるのかよ」

 「いやー、俺は誘ったんだよ? でもみんな来ないんだよ。『今川焼食べに行くから無理』とか『ゲーセンで遊んでくるから無理』とか」


 そう答えるのは中年の男――第9教官の秋太(あきた)だった。


 「ゲーセンって……。もしかして、会議に参加するの、私たち4人だけ?」

 「そうみたいだな、まぁ、大丈夫だろ。もし教官の中の誰かが例の1型クリーチャー討伐に向かっても、どうせすぐ勝てるし」


 今度は蝶香と同じくらいの年齢の男――第7教官の智鶴(ちづる)


 「それじゃ、もうどうせ誰も来ないだろうしさっさとやっちゃおうぜ。蝶香、お前が司会役頼む」

 「私? そういうの苦手なんだよ……」

 「いいだろ? お前が一番番号若いんだから」

 「どんな決め方だ。……まぁ、進まなくなるし早くやるぞ」


 蝶香は表情を真剣なものにし、座っている3人に向かって言った。


 「――これから、1型クリーチャーの討伐についての話し合いを始める――」


 「――そしてその後、五神楽苛(ごじんらっか)の行方についての話し合いも行う」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ