第14話 二人きりで駅前へ
ヤバい、冗談抜きで緊張してる。
今日が雨米と一緒に駅前に行く日。
今雨米と二人で歩いてるけど、もう緊張してる。
『武器が壊れたからもう持たなくていい――戦わなくてもいいかも』っていう俺の少しの期待は簡単に壊されたけど。
家の1階にある武器庫に大量の武器があったから。
全部それで補給した。
服は1階の物置にあった。
それぞれ5着分あったから、服には困りそうにない。
全部同じ服なのはあれだけど。
「それより昨日、大丈夫でしたか……?」
心配そうに俺の顔を覗く雨米。
「いや、かなり危なかった」
「びっくりしましたよ……。歩いてたらクリーチャーと風月さんが倒れてるんですから」
「そういえば雨米が俺を運んでくれたんだったな。ありがと、あのときは。じゃなきゃ俺、多分失血死とかしてたし」
「本当によかったですよ……」
雨米、結構優しいな。
「――着きましたよ」
雨米が言うけど、見ればわかる。
都会でもないけど田舎でもない駅って感じの建物が目の前にあった。
駅ビルがあるから、俺がこっちに来る前の最寄り駅よりかは都会。
「それより、ああいう場所を散歩に選ぶの、私好きですよ?」
「そう? 意外とああいう静かで暗い場所好きだから」
「私もです。なんか落ち着きますよね」
わかる、超わかる。
「そういえば雨米も甘いもの好きなの?」
「はい! 大好きです!」
これは雨米と気が合うかも。
会話しながらも駅ビルの中に入る。
入り口のところに看板があって、そこに『キャラメルシェイク、専門店』っていう店があった。
1階にあるらしいから、このままエレベーターとかのぼらないで歩けば、到着する。
……キャラメルシェイク……。
「それより、最初にこの世界に来たときびっくりしましたよね……。起きたら知らないところにいて……」
「あ、俺もそうだった。なんかさ、変な穴みたいなやつに吸い込まれたんだよ。そして起きたらこの世界。いきなりクリーチャーと遭遇してさー……。ギリギリ助かったけど、『保護』って名目で寮に行かされちゃった」
「私も似たようなものです。見た感じ、風月さんはこの世界に来たばっかりっぽいですけど……」
「うん、1週間も経ってないね」
「私も……そのくらいです……。寮にいきなり入れられて……来たばっかりなので……この世界のこと、何も知らなくて……」
そこから雨米は黙り込んだ。
雨米は自分の運命を受け入れられないのかな?
だって黙り込んじゃったし。
俺もこの運命、受け入れるのは簡単じゃないよ。
……それよりなんだ? この違和感。
雨米のさっきの言葉、違和感が半端ない。
なにかが引っかかるんだけどな……。
ま、いっか。
俺たちはそのまま例の店に到着した。
見た感じ、若い人が多い。
制服着てないけど、多分高校生とかその辺だ。
俺は雨米と一緒にシェイク……キャラメルシェイクを買って、店の外で飲んでた。
味が完全に精神安定剤。
マジで精神安定剤の味する。
大丈夫かな? このあと俺、眠くならないかな?
「風月さん、クリーチャー、怖いですか?」
突然雨米がそんなことを訊いてきた。
目を俺と合わせようとしてない。
ただ自分の精神安定剤……じゃなくてキャラメルシェイクを見つめてる。
「まぁ、怖いかな。昨日本気で殺されそうになったし」
「……ですよね……。あの化け物たち、人間を喰いますから……」
「その辺のことは否定しないけど……。だってあいつらも生きるために喰ってるんだろ? 俺たちで言うと、食べるためにブタとかウシを飼育してるのと同じもんじゃない? ……飼育はしてないけど」
「……それは『3型クリーチャー』だけの話です」
3型クリーチャー……。
聞いたことがある。
確か教官に教えてもらったんだ。
どういうものだったかは全然覚えてないけど。
「『3型クリーチャー』は最も多く存在する、比較的弱いクリーチャーのことです。だいたいが人間を除く動物や虫の形をしていて、身体が大きいことが特徴です」
雨米が俺の気持ちを読み取ったように言った。
「『2型クリーチャー』は3型クリーチャーの身体が小さくなったものです。3型クリーチャーと比べ強くなっています。そして『1型クリーチャー』はヒト型のクリーチャーで、知能が高く、言語を操ることができ意思疎通ができることが特徴です。そして、他の二つと比べ、強いです」
それは聞いたことがある。
教官に教えてもらったからな。
覚えてはなかったけど。
「そしてもう一つ……いや、二つですかね……あります。それが『A型クリーチャー』と『B型クリーチャー』です」
……A型?
それは聞いたことがない。
「最近は見ませんから、説明しようか悩んだんですけど、一応説明しておきます。A型――」
雨米が喋ってるときだった。
俺のポケットにいれてるスマホが突然震え出した。
急いで画面を確認すると、画面の中央に赤い文字で『クリーチャー出現、第三小学校』って表示されていた。
「……変なタイミングで来ますね……クリーチャー。それじゃ、私たちも行きますよ。……今回は私も行ったほうがよさそうですし」
雨米は空になったコップを近くにあるゴミ箱に入れて走り出した。
ものすごく速い。
……? え、雨米、もう飲み終わったの!?
俺まだ半分も飲んでないよ!?
ちょっ、置いていかないで!




