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52. ジャージってフォーマルな場でも通用する?

※5/27 後書き追記

 

 私たちの馬車は多くの人が行き交う大通りを通ってどんどん進む。


 ガザアラスの大通りも初めて見たときはかなり人出が多いなと思ったけど、王都はそれとは比べ物にならないくらいもっと多いね。


 中心に向かうにつれて商業施設が増えていく。外周は住宅っぽい建物が多かった。

 飲食店に服屋、宿屋のように分かりやすいお店もあるけど、ぱっと見ただけじゃなんのお店か全く分からないようなお店もある。ちょっと入ってみたいかも。

 それにしても、人も多ければお店も多いね。王都を回りきるには何日必要なんだろう。


 というか、馬車は止まる気配もなく、相変わらず王都の中心に向かってるみたいなんだけど。

 王都の中心ということは、つまり——


「ねえ、これ、お城に向かってるの?」


「そうよ?」


「え、本当にそうなの? イリーネを送り届けるんじゃなかったの?」


「ええ、だからお城に向かってるのよ。イリーネは、王都ではお城に住んでいるから。驚いたかしら?」


 ……びっくりした。

 私の勝手な憶測だけど、お城に住むのは王族だけってイメージだったから。


 この世界では、貴族の王都での下宿先はお城なのかな?

 いや、ソフィは私を驚かせようとしてたんだから、イリーネは普通ではないってことだよね。


 で、聞いてみたら、やっぱり貴族といえど王族以外がお城に住むなんて普通はありえないらしい。一部の使用人は別として。


 ならどうしてイリーネがそんな特別扱いなのかというと。イリーネのお父さんの侯爵様が王様の従兄弟にあたり、イリーネは王族と血縁関係にあるのだそうだ。そして王様と侯爵様は大変仲がよろしいようで、イリーネが王都にいる間は王族が面倒をみているとか。


 ちなみにこれはあとから聞いた話だけど、イリーネのお母さんはすでに亡くなっているとのこと。

 そのこともあって、王様はなにかとエスタライヒ侯爵家の手助けをしているらしい。ただ、王としての立場から公に援助はできないので、今回のイリーネのことのようにできる範囲で助けているそうだ。




 ソフィたちと話していると、いつの間にか城門をくぐってお城の敷地内に入っていた。

 さらにしばらく進んだところで馬車が止まる。

 もうお城の扉がほとんど目の前だ。ここにも武装した衛兵みたいな人が立っている。


「長旅お疲れさまでした。それでは馬車はお預かりいたします」


「よろしく頼む」


 扉を守っている衛兵とは違う人がやってきた。


 お城の使用人かな?

 どうやらこの人が馬車を別の場所に運んでくれるみたいだ。


「それじゃあ、ソフィア。あとは頼む」


 馬車から降りるとグレームがそんなことを言いだした。


「ええ。今回は助かったわ」


「いや、こちらこそ、いい依頼を持ち掛けてくれたと思ってる。助かった。今回は肝を冷やした場面もあったがな。またなにかあれば声をかけてくれ」


「ありがとう。その時はまたよろしくね」


「ああ。リコもありがとうな。本当に助かった。お互い冒険者なら再会することもあるだろう。その時はよろしくな」


 あれ? なんかもうお別れの流れみたいだ。

 ソフィはイリーネを中に連れていくみたいだけど。


「グレームたちはお城に入らないの?」


「ははは。もちろんだ。俺たちみたいな冒険者には似合わない場所だ、なるべくなら入りたくないさ。今はソフィアもいるし、あとは任せるってわけだ」


 自分でお城が見どころとか言ってたくせに。

 というか私はいいのかな。私も冒険者なんだけど。


「まったく……。ま、気持ちは分からないでもないわ。あ、もちろんリコは問題ないわよ。こんなに可愛いんだし。ちょっと服装がおかしいけど」


 可愛くはないけど。仮に可愛かったとしても可愛さは関係ないと思う。

 あと、やっぱりジャージはダメらしい。ここまできたらこれで行くしかないけどね。


「ま、そういうことだ。リコ、またな」


「うん、また」


「イリーネ様も長旅お疲れ様でした。それでは俺たちはこれで」


「…うん……ありがとう…」


 ダルとアントンともそれぞれ別れの挨拶を交わして、三人は城門の方に去っていった。

 ……グレームの言う通り、今後また会うこともあるかもしれない。そのときに名前を忘れてるなんてことがないように気をつけよう。




「それじゃ、行くわよ」


 城の入り口であろう大きな扉に近づくと、控えていた衛兵が声をかけてくる。


「ようこそいらっしゃいました。エスタライヒ侯爵令嬢、イリーネ様とその護衛の方とお見受けいたします。失礼ですが、カードを拝見させていただけますでしょうか」


 イリーネが金色のカードを渡す。


 王都に入るときにも見せていたね。これだったのか。

 身分証みたいなものかな?


「確かに。ありがとうございました。それではどうぞ中へ」


 衛兵が扉を開けてくれる。


 うわー。

 外見からして豪華だったけど、中も想像以上だね。


 エントランスっていうのかな。

 正面の巨大な階段がどうしたって目を引くね。

 ここから見えるだけでも扉が十以上はある。これは絶対迷子になるよ。

 床はピカピカに磨かれていてスケートでもできそうだ。

 そのまんま私の中のファンタジーのお城って感じだよ。現実のお城の中はどうなってるか知らないけど。


 でも、人はいないんだね。貴族のお帰りには、執事とかメイドとかが両脇にずらっとならんで「お帰りなさいませ」って感じで、その間を通っていくイメージもあったんだけど。

 見える範囲には誰もいないよ。


 扉を開けてくれた衛兵がこのあとのことを説明してくれる。


「イリーネ様のお部屋はご用意ができております。長旅でお疲れでしょうから、先にお部屋にイリーネ様をお連れいただいてから、その後、陛下へ直接ご報告をしてほしいと仰せつかっております。イリーネ様のお部屋はいつものお部屋とお伝えすれば護衛の方が分かるので、そのまま向かっていただきたいとのことですが、よろしいでしょうか。必要であれば案内をお呼びいたしますが」


「ありがとうございます。お部屋の場所は分かりますので大丈夫です」


「では、お願いいたします。それと、この時間でしたら陛下は執務室にいらっしゃるとのことでしたので、ご報告はそちらへお願いいたします」


「分かりました。それでは」


 ソフィが頭を下げて中に入る。

 私とイリーネは後ろからついていく。

 私たちが中に入ると、外から扉が閉じられた。


 え? いや、ちょっと待って、さっきの会話って。


 なんか、私のお城のイメージと全然違うよ!?


 勝手に部屋に行ってイリーネを置いてから、勝手に王様の部屋に行って到着報告してね、ってことでしょ?

 こんな自由にしていいの?

 それに、私も流れでここにいるけど王様に会うの?

 ジャージで?

 いや、絶対ダメだよね。


「……はぁ。陛下も相変わらずね。ま、いいわ。行きましょうか」




 ……え? 本当に行くの?



リコ「待って。ちょっと、ソフィ、待って。……ソ、ソフィ?」

ソフィア「……」

リコ「ねえ! ……ま、待ってってばぁああああ!!」

ソフィア「……」




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