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18. 借金地獄の始まりってこと?

リコ視点に戻って、街に着いた日の次の朝からになります。

 

「——んぅ。……まぶしぃ」


 もう朝? 早くない?

 二度寝しようとも思ったけど、一度日の光を意識してしまうともう寝つけなかった。

 仕方なく起き上がる。


「ふ、わぁ……」


 起きてみると眠気はもう残っていない。朝まで一瞬に感じられるほど深く眠ってたみたいだ。

 ふと窓から外を見ると、もう日が結構高く昇っていた。

 通りの方では魔力の反応が行き交っているのがわかる。みんな早くからすごいね。

 ちなみに人の魔力反応だけど、現時点でもうあまり気にならなくなっている。まぁ街についてからずっとこんなだしね。慣れるのも早かった。よかったよ。

 出発は8時だったよね。今は——と、部屋を見回しても時計はなかった。


 ちょうどその時、街に鐘が鳴り響く。7回。つまり午前の7の鐘だ。

 ……って、7時!? 出発まであと一時間しかないじゃん! ご飯も食べないとだし、二度寝なんてしてる場合じゃないよ!

 慌てていつものジャージに着替えをすませ、顔を洗ってから食堂に降りていく。


「おはようございますっ」


 タニアが笑顔で迎えてくれる。朝からとても元気だ。

 こっちまで元気をもらえる気がする。


「おはよう、タニア」


「朝ご飯はバイキングになってますので、ご自由にお取りください!」


 食堂の端の方に料理が盛り付けられたプレートが並んだスペースがある。

 これは嬉しい。朝からたくさん食べる方じゃないから残すのも悪いし。


「うん、ありがとう」


 よし、それじゃあ——と、料理を取りに行こうとしたところで、今度は別の人に声をかけられる。


「リコ、おはよう」


 ソフィだ。もう席についていたけど、ちょうどこれから食べ始めるところだったようだ。


「おはよう」


「今からご飯なのね。もう食べ終わって部屋に戻ってるかと思ってたわ」


「さっき起きたばっかりだよ」


「ふふっ、よく寝られたみたいね。さ、料理をとってきなさいな」


「うん」


 手早く料理をとってソフィと同じテーブルに座る。

 ソフィはまだ料理に手をつけてなかった。どうやら待っててくれたらしい。


「お待たせ」


「じゃあいただきましょうか」


 朝食もおいしい。これは一日頑張れそうだ。

 でもやっぱり主食はパンだった。お米はないのかな?


「そういえばソフィも朝食遅いんだね。私、本当についさっき起きて、慌てて降りてきたよ」


「ええ、実は私も起きたばかりなのよ。今回は死にかけたり、誰かさんに驚かされることも多かったりで、思ったより疲れてたみたいね。久しぶりのベッドでぐっすりだったわ」


「そう。私のおかげでよく眠れたってことだね」


「……もうそれでいいわ」


 ソフィはため息をついた。


 それからしばらく雑談していたけど、ソフィが急に思い出したように、そういえば、と言って私に小さな袋を渡してきた。

 思わず受け取ってしまうが、袋の感触から中身がお金であることがわかる。

 

 ちなみにこの世界のお金は、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨が一般に流通していて、鉄貨が一番価値の低いものとなっている。

 ソフィからもらった袋の中身をチラッとみると、銀貨がいっぱい入っていた。


「このお金は?」


「依頼を達成するまでに必要になることもあるでしょう? お昼ご飯とか。冒険者に登録して依頼を受けても、報酬が手に入るのは依頼達成後になるからね。朝と夜はここで食事すればいいけど、それまでずっと昼食抜きってわけにもいかないでしょう? それと当面の生活で必要なものも買ってきなさいよ」


 確かにご飯抜きは嫌だし、下着とかの替えもほしかったから、すごく助かるけど。

 でもこの感じ、お小遣い制の小学生か中学生みたいだな。ソフィの保護者っぷりが凄まじい。

 いや、もちろんもらうつもりはないよ。受け取るにしても借りるってことだ。


「いいの?」


「いいわよ。ここまでリコのこと見てきたけど、そのくらいの金額を自分で稼ぐなんてすぐだってわかってるから。さっさと返しなさいよ」


 ソフィがそう言ってくれるなら、ありがたく受け取っておく。

 期待を裏切らないようにすぐ返そう。


 でもソフィからの借りがどんどん増えていくな。もしかして借金まみれの人生への転落の第一歩ってわけじゃないよね? 借金取りから逃げる人生なんてごめんだよ。

 よし! まず最初の目標は借金の完済、だね。……やっぱり字面がダメ人間っぽい。




 朝食を食べ終わったときには、ちょうどいい時間になっていた。


「そろそろギルドに向かいましょうか。あ、一回部屋に戻る?」


「大丈夫。もう出発できるよ」


 カウンターに座っているタニアに鍵を渡す。


「いってらっしゃいませ!」


 タニアは笑顔で元気よく見送ってくれた。


 外に出るとやっぱり人の出は多かった。

 実際に自分の目で見てみると、昨日の夕方よりも多いのがよくわかる。


「人多いね。まだ朝早いのに」


「何言ってるのよ。もう遅いわよ。日の出から働いている人もたくさんいるわ」


 マジか。一日二日ならともかく、毎日は私には無理だ。


「ちなみに冒険者ギルドも朝のピークは過ぎてるわ。毎朝、依頼ボードが一気に更新されるんだけど、少しでもいい依頼を受けようとみんなその時間に殺到するのよ」


「え? じゃあもっと早く行った方がよかったんじゃない?」


「いいのよ。私は今日は報告だけで依頼を受けるつもりはないし。それに混みあってるところで登録をお願いするのもギルドの方たちに悪いわ」


 なるほど。言われてみればそうだね。

 私もそのあたりのこの世界の常識をなるべく早く身につけたいところだ。


 しばらく歩くと目的地に着いた。

 宿とそんなに離れてないな。立地は上々だ。

 ピリーゼよりもかなり大きい。屋根に旗が立っていてパタパタと風になびいている。何かのマークが入っているようだ。ギルドの紋章とかなのかな。


「ここが『冒険者ギルド・ガザアラス支部』よ。入りましょうか」


 両開きの大きな扉を開いて中に入っていく。

 外から見た通り中も広々とした作りになっていて、正面にいくつかカウンターがあり、受付の人?がそれぞれ座っている。


「そっちが依頼ボードで、あっちが休憩スペース。暇な冒険者がいつもしゃべって時間を潰してるわ」


 ソフィが説明してくれる。

 休憩スペースにはたくさんのテーブルが設置されていて、そのうちのいくつかに何組かの男たちが座っているのがわかる。あれが暇な冒険者たちか。

 依頼ボードには、いくつかの張り紙が並んでいるが、ボードの前には今は数人しかいない。もっと早く来るとこのボードの前が混雑するんだろう。いい依頼はもう残っていないのかな。


「そして正面の受付カウンターで依頼を——」


「ソフィアさん!? ソフィアさんじゃないですか!!」


 受付カウンターに座っていた一人が、いきなり立ち上がって叫んだ。


Xにてタニアのキャライメージを公開しました!

メインキャラではないですが、見ていただけると嬉しいです。

X → https://x.com/doubloom0415

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