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1. ここ、どこ?

初投稿です。よろしくお願いします。


本日、何話か同時に投稿しております。

本日以降は書きためがなくなるまで(恐らく50話程度)は遅くとも二日に一度は投稿する予定です。

 

 私の名前はリコ。

 16歳の女子高生。

 誰? 今、どう見ても中学生だろって言ったやつ。ぶっ飛ばすよ?

 身長はこれから伸びるから。……あと胸も。

 まぁ容姿は平凡だし、特に目立ちたいわけでもないから平均くらいになってくれればいいんだけど。

 趣味は寝ること。女子高生として一般的でしょう?

 将来の夢とかはないし、とりあえず自由に自分の生きたいように生きることにしてる。もちろん、他人に迷惑はかけないようにね。

 特技は……



 グルルゥオオオ!!!!



 ……

 ……

 ……



 うん……現実逃避はやめようか。


 なんとも可愛らしい声がした空の方を見上げる。

 大きな翼を広げて何かが飛んでいるみたい。

 あれは見覚えがあるよ。

 と言ってもアニメやゲームの中の話なら、だけど。


「ドラゴン……」


 どう見てもドラゴンだ。

 ゲームとかだと終盤に出てくる強敵(のことが多いと思う)。

 まさか現実に存在するものとは思わなかった。

 呆然としながら、その姿を見送る。

 どうやら私のことには気づいていないようだ。


 改めて自分の状況を確認しようと思う。


 右を見る。見渡す限りの草原。

 左を見る。見渡す限りの草原。


 結論。


 どーなってんのーっ!!!!





 目の前に広がる草原は、私の住んでいる都心では絶対に見られないような壮大な光景だった。

 まるで世界の果てまで続いてるではないかと錯覚しそうだ。そんなわけないと信じたいけど。


 大抵のことでは驚かない自信があった。

 なにせ既に人生2回目。

 あ、そうそう。私、生まれ変わったことがあります。

 まぁ今はそれは置いとくけど、そんなこんなで世には不思議が溢れていると知っている。


 え、でもこれはおかしいよね?

 まず日本、というか地球にはあんな生物いなかったと思うし。夢なの? ファンタジーなの?

 そもそもついさっきまで何をするでもなく、渋谷でぶらぶらしてたはずなのに。一人で。


 それがいきなり草原のど真ん中?

 少なくとも東京ではないことは間違いない。


 夢? いや、夢でもなさそう。

 こんなリアルな夢は見たことがない。

 試しに頬をつねってみたけどやっぱり痛い。


 また生まれ変わりでもしたかと思ったけど、それも違うっぽい。

 私の姿は渋谷を歩いていた時のままだ。

 黒のジャージ上下セット。……そんな恰好で外を出歩くなというツッコミはいらないよ。この格好が一番動きやすいんだもん。


 そんなことより、全く何もかもがわからない状況だ。

 とりあえずここがどこなのか確認したい。少しでも情報がほしい。

 誰か人はいないの?

 人に聞けば、ここはモンゴル平原だよって答えが返ってくるかもしれない。

 それはそれで、いつの間にそんなところに移動したのか謎ではあるけど。

 帰れる目処はたつ。


 ただ、どうもここは人が通る道ではなさそう。

 人と接触する可能性は少しでも上げたい。

 正解の方角がどっちか、いや、正解なんてあるのかすらわからないけど、とりあえず動こう。

 このままじっとしていても仕方ないよ。


 え、遭難したときはその場から動くな?

 ……私、体力はある方だから。





「うぅ。のど渇いた。お腹空いた」


 泣き言をこぼしながらもひたすら歩く。


 もう二時間くらい歩いている気がする。

 時計がないから正確にはわからないけど。

 まぁそれなりに鍛えてはいたから、ほとんど疲れはない。


 でもさっきから景色が変わらない。

 進むべき方に向かっているのか不安で、精神的に疲れる。

 最初に見たドラゴンっぽいのがまた出てこないのだけが救いかな。


 そういえば服装はそのまんまなんだけど、持ち物がなくなってる。着の身着のままというやつだ。

 私のスマホと財布はいずこへ。


 スマホさえあれば誰かに連絡とって——はい、連絡をとれるような相手がいませんでした。

 スマホ作戦は無理があるか。いや、そもそもスマホないんだけどね!



 歩けども歩けども緑。

 景色も変わり映えがなさ過ぎて、どんどん緊張感もなくなってくる。


 このまま本当に何もないなら、私また死んじゃうんじゃないかな。

 なんてことも考えはじめたときだ。


 ついに遠くに何か見えた。

 でも遠すぎてなんなのかはわからない。

 それが岩とか木なら状況は今までと変わらないけど、もしも人工物だとしたら。

 人工物であってくれと祈りながら足を早める。


 だんだん近づいてくると、それが馬車であることがわかった。

 馬車なんて現実では見たことないけど、物語の中ならよく出てくる。

 馬を繋いでいる小屋っぽいものがあるので多分そうだと思う。

 今は停止しているみたいだ。


 馬車があるってことは、それに乗っている人間がいるってことだよね。

 ようやく人と遭遇することができたよ。


 ただ一つ、問題があると言えばある。


 現代の日本で馬車が使われているという話は聞いたことがない。ということはやっぱりここは日本ではないと思われる。

 日本ではないとなると、言葉が通じないんじゃ?

 世界共通語は英語だけど、私はしゃべれるほどのスキルは持っていない。


 そしてそもそも話しかけても大丈夫なのかな。

 外国は治安が悪いらしい。

 海外旅行に行った日本人が騙されるなんてのもよくある話みたいだし。


 うーん。どうしよう。

 ちょっと様子を見たいけど、ここには身を隠すものがない。

 それに今更だ。私が視認できてるってことは向こうからも既に見つかっててもおかしくないよ。


 やっぱり選択肢はなさそうだ。

 第一、ここを逃したら次にいつ人に会えるかわからない。

 言葉が通じなくても人は心で会話できる! ……と信じよう。


 私は半ば思考放棄して、ここに来てから初めての他人との接触を試みるのだった。

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