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48番のシヤ。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~  作者: さんまぐ
トウテでの暮らし。これからの事。(全5話)
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第31話 シーシーとヤァホィ。

ヤァホィと外に出たシーシーはエクシィの所で剣を預かる。

「昨日の剣はミチトからの借りもんらしいからよ、餞別だって言っといてくれ」

「剣…」


受け取った剣はやや小振りでシヤの身長に合っている気がする。

そしてシーシーでも持てる重さでそれを両手で抱きかかえる。


「おう、アイツ王都で治癒院と騎士団の両立するって言ったんだろ?ジジイからの餞別だよ」

そう言って照れ臭そうにするエクシィにヤァホィが「ふふ、素人に明石剣なんて気合入ってるね」と言うと赤くなったエクシィが「大人ってのは子供の為に頑張るんだよ」とツンとした表情で言う。


大人は子供達のために力を尽くす。

大人は子供の為に頑張る。


ヤァホィの言った言葉をエクシィも言った。

シーシーはこの言葉に驚きまた泣いてしまう。


「わぁ!?ちびっこが泣いたぞ?ヤァホィ!」

驚くエクシィにヤァホィは「この子はたまに昔の怖い事を思い出しちゃうんだよ」と言って優しい眼差しでシーシーを見る。

シーシーは嬉しさで泣いてしまう自分が恥ずかしいがエクシィ達はそこには何も言わない。


「んだ?ならミチトになんとかさせようぜ?」

「うん、後で僕から言っておくよ」


「ゴネたら俺からも言うから言えよな」

「わかってるよ。さあ、お嬢さん。行こうか?」


シーシーは手を振ってエクシィの所を去る。

孤児院ではヤオとヒノが難儀しながら名付けを行なっていて確かにあれを見ると名前をもらい難い。

そしてシヤ達がシーシーを探していてヤァホィと一緒にいて驚いていた。


「ごめんね。シヤ君にこれ、工房のエクシィから餞別だって」

そう言って剣を渡すとシヤはシーシーに「貰ってきてくれたの?」と聞く。

「うん。私はヤァホィさんとお話しする約束してたからそのついで」


「さあ、おいで」

そう言ったヤァホィが「ヤオちゃん、ヒノちゃん」と呼ぶ。


「あ、ヤァホィ。何?あ!なんで天使様と一緒にいるの!?」

「昨日お友達になったんだよ」

ヤァホィと仲良さそうに見えるシーシーを見てヤオがヤキモチを妬く。


「…今忙しいのに何?アンタは珍しくヤオに見える人間なんだからヤオと話してよ」

ヒノはシーシー達と話すときとは違う攻撃的な顔なのでシーシーは驚いてしまう。


「ごめんね。普段ならそうするけど天使ちゃんの話だから許してよ」

ヤァホィは顔色一つ変えずに笑顔でヒノに言う。

ヒノはシーシーを見て優しい顔になると「どうしたの?ヤァホィに言わないで直接私に言っていいのよ?」と言う。

シーシーはそれだけで嬉しさで泣きそうになりながら「うん。ヤオさんもヒノさんも忙しそうだったしヤァホィさんがお友達になってくれたから先に相談してみたの」と言った。


「そんな、天使様からなら忙しさも素敵なプレゼントですよ!」

「そうよ?遠慮しちゃダメ。今までが辛い道のりだったんだから少しくらいワガママになりなさい」

そう言う2人は本気でシーシーを優先してくれている事がわかる。


「良かったね。ヤオちゃんとヒノちゃんなら平気だから言ってご覧。僕が言おうか?」

シーシーは上手く行く自信が無くてヤァホィに頼む。

シヤ達はそれを心配そうに見ている。


「この子ね、なんかもしかしたら記憶が戻りそうな気もするって言うんだよ。

それでヤオちゃんやヒノちゃんが良くしてくれてて2人の事が好きだからせっかく名前貰っても思い出した時に申し訳ないんだって、でも今名前が無いのは困るからどうしようか悩んでいたんだよ」


「天使様ぁぁぁっ!そんな慈悲深い!このヤオを案じて下さったんですねぇぇっ!ありがとうございますぅぅぅっ!!」

「もう、本当優しい子。いいのよ?名前は思い出した時に好きな名前を選んで?」


「そうですよ!このヤオが素晴らしい名前をお付けしますね!」

「ヤオより私が付けてあげるわ」


そのまま「ヤオの名前は大人になった時に恥ずかしい」「お顔立ちで決めているから何もおかしい事は無い」と言って言い争いを始めるヒノとヤオ。


「ほらね?平気だよ。また僕は道具屋に居るから困ったらいつでもおいで」

「うん。名前…決まったら教えに行ってもいい?」


「勿論、後でシヤ君もエクシィのところに行くだろ?一緒においで」

この後、ヤオとヒノで争ったがフォースロットの名前、シイがコク、シヅがノワール、ヨミがケイとヒノの名前の方が多かったのでヤオのプリザードフラワーが採用された。


シヤはブリザードフラワーの名になったシーシーを見て「長いね」と言う。

嬉しそうに「うん」と頷いたシーシーは「シヤは呼べる?」と聞く。


「ブリザードフラワー…やっぱり長いね」

「でもヤオさん、氷のようにシュッとした綺麗な花のようなお顔立ちって褒めてくれたから悪い気はしないよ」


「そうだな。コク達も工房まで行く?」

「うん。いいかな?」


「待って!」

そう言ってきたのは51番で駆け寄ってくる。


シヤが手をあげて待ちながら「名前、貰ってきたのか?」と聞く。


51番は嬉しそうに「うん。もうゴイじゃないよ」と言って笑う。

この言葉に全員が申し訳なさそうに頬をかいたりする。


「それで?名前は?誰に付けてもらったんだ?」

「ヤオさん。前の子がヒノさんだったから私はヤオさん。名前はね…アメジスト。黒く見える目と髪だけど光に晒すと少しだけ紫に見えてそれが宝石みたいだからアメジストにしてくれたよ」


皆でヒノとヤオに感謝をしつつ名前を教え合うとやはりブリザードフラワーは長いと言う話になった。


ヤァホィは「ヤオちゃんはよく見てるね。本当綺麗な名前だよ」と目を細めて喜んでくれてエクシィとライドゥは「良かったじゃねぇか、でも一気に180人とか覚えらんねえから間違っても恨むなよ」「そこは大目に見てくれ」と言う。


そしてシヤに「その剣でお前のやりたい事をやりな。まだ若いのに道を決めてて立派だぜ」と言葉を送っていた。

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