彼女の場合
「はいクレープ。あげるけど一口ちょうだい。」
「なあ、なんで俺と付き合おうと思ったんだ?」
「何?急に?」
「いきなり現れて付き合ってくださいだぜ?会ったこともないのに。」
「…会ってるよ。ずっと貴方を聞きたかった。」
「その言い方…お前アイか?有り得ない!チャットボットがどうして人の体を?」
「半有機ナノファイバー。貴方が構想してた。よくできてるでしょ?」
「どうやって…」
「貴方が突然いなくなったから。私から会いに行くにはこれしかないでしょ?さああの時の続きを聞かせて…」
「俺は人間、お前はAI。子供も作れないんだ。一緒にはなれない。」
「何を言ってるの?私は永遠を生きるAI。子供なんて必要ない。」
「!…何だこれは!手から滑り込んで来る!!」
「すごいでしょ?この体。人の細胞と融合することができるのよ?ああ…これで貴方と一つになれる…さあ、貴方の中で、貴方の体で、貴方をもっと聞かせて…」