森の出来事、てんこ盛り
とある森の中、赤い頭巾を被った女の子が歩いていました。
「婆ちゃん家遠いな。荷物重……」
どうやら、女の子はお婆ちゃん家に向かっているようですね。
そんな女の子を見ている者が。
「獲物だ。よし先回りして食べてやる!」
女の子を見ていたのはどうやら狼のようです。さぁ、大変!このままでは食べられてしまう。
そんな事も知らずに、呑気に歩き続ける女の子。
「マジで母さんどんだけお菓子作ったの? 婆ちゃん1人で食えんだろ」
ブツブツ文句を言っていると、背後から声をかけられました。
「お嬢さん、ちょっといいですか?」
「私?」
振り向くと目の前には熊が居ました。
「キャーー! 熊が! しかもなんか喋ってる!」
女の子は驚き、ダッシュで逃げました。
「あ、ちょっと待って〜」
熊は逃げた女の子を追いかけました。
その頃狼は……。
「ここら辺で待ち伏せするか。ん? あそこにあるのは、家か? なるほどな、あの家に向かっていたのか。まぁ、家に入る前に俺に食われちまうがな!」
狼はいつでも飛び出せるように、ワクワクしながら茂みに隠れました。
「こ、ここまで逃げれば。ハァハァ」
女の子は熊から猛ダッシュで逃げて、疲れていました。
「ありえない、熊が出るなんて。しかもなんか喋ってたし……本当に熊なのアレ?」
「待って〜、お嬢さん〜」
「嘘でしょ!」
熊はすぐそこまで来てました。
「終わった、私の人生」
「やっと追いついた。はいコレ」
「え? コレは」
熊は女の子を食べるどころか、何かを差し出しました。それは。
「私のイヤリングだ。なんで?」
「いや、落ちたんだよ? 気がつかなかったの?」
なんと熊は女の子のイヤリングを届けてくれたのでした。
「えっと、ありがとう」
「えへへ。驚いたよね? 僕熊だしゴメンね」
「こっちこそ……お礼に婆ちゃん家に来ない? お菓子も沢山あるの」
「本当! 楽しみだなぁ」
女の子と熊は一緒にお婆ちゃん家に行く事になりました。
「ところでなんでアナタ喋れるの?」
「聞かないで、触れたらいけないよ?」
しばらく会話をしながら歩くと、茂みから狼が飛び出してきました。
「獲物! いただき!」
「狼も喋ってる!」
女の子の横から熊が前に立ち。
「させるか、このケダモノ!」
狼をぶっ飛ばしました。狼退場。
「なんだったの?」
「危ない奴も居るから気をつけてね」
その後はお婆ちゃん家で楽しい時間を過ごしました。
夜。
熊と別れた帰りの途中、兄と会いました。その後2人が迷子になるのは別の話。
おしまい。