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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第三部 飛翔
98/104

最終話 またな、生徒会

最終話です。

皆様長らく応援有難うございます。



それではどうぞ。

「うん……そこ……イイ……」

「こうですか?」

「う、上手いわカイ……気持ちいい……」

「んしょ……はぁはぁ……」

「あん……気持ちいい……わ……」

……Hなことを想像したあなたには俺からうまい棒1年分をあげちゃうゾ!

……っとそんなバカなことを言っている場合ではない。

俺は今さや先輩をマッサージしているんだった。

だがまあ何か少しエロイ声を出すさや先輩も悪い。

「興奮した?」

こんなことをわざと訊く。

「してません」

この人はやること全てが俺を弄ることに繋がっている。

「まあいいわ。お疲れ様。チュッ」

「!!」

俺は頬にキスされて一気に紅くなった。

「可愛い。じゃ、お休み」

さや先輩は自分の部屋に戻っていった。

もちろん俺は俊哉と同室。

ナナちゃんが何か興奮していたが、意味不明。

「で、俺達も寝るか」

「そうだな」

俺達はそうして寝た。



「はぁ……明日で温泉旅行は終わりか……」

はなびがため息をついた。

「今から辛気臭くなるなって!」

「だってさや先輩卒業しちゃうんだよ?」

「いやでも会えなくなるわけじゃないんだからさ」

俺ははなびの肩を叩いた。

「……」

「生徒会長がそんなだと生徒達に笑われちゃうぞ?つうか俺が笑う。アハハハハ!」

「アンタ殴られたいらしいわね」

俺ははなびに拳骨を3発食らった。

「もう!」

はなびはさっさと食堂に向かった。

「はぁ……こりゃはなびに半殺しにされる覚悟しなきゃな」

俺達は朝食を摂った後、散歩に出かけた。

近くに繁華街があるらしい。



「じゃあ行きましょう」

そして俺達は……遊びじゃなくて荷物持ちをさせられた。

「か、買い物かよ!」

「文句ある?」

「ないです」

さや先輩の質問に即答できる俺って……

「じゃあ次はあっち」

はなびが指差す。

「そうね」

「ま、まだ行くのかよ……」

いくらさや先輩のためとはいっても買い物に付き合わされるのは……

「弱音を吐くなよ。あの調子だとさらに行くぞ」

「う……」

俊哉に過酷な現実を突きつけられた俺は心の中で討ち死にした。



「はぁ……」

「大丈夫ですか〜?」

俺がデパートのベンチに休んでいると、ナナちゃんがやって来た。

「ナナちゃんか……」

俺達はまだ買い物を続けている彼女達を見ていた。

「ところでその買い物の荷物どうするんだ?」

「郵送するそうですよ」

「よ、良かった〜」

帰りも持たされたらどうしよう、って思っていたんだ。

「でさ、少し話があるんだけど……」

「?」

ナナちゃんが首をかしげた。

「えーと……」

「あ、まさか昨日やってた深夜アニメの……」

「違います」

俺はナナちゃんの斜め発言を全否定した。

「いや、あのさ……俺さ……留学するんだよ」

い、言い切った!

ナナちゃんの反応は!?

「……え?そうなんですか!?」

意外とオーバーなリアクションだった。

「……まさか……知ってる?」

「いえいえ……少し気がついただけですよ〜」

「……」

ナナちゃんの意外の反応に俺は戸惑った。

「カイ先輩。もう決まったことをウジウジ言ってもしょうがないですよ。私は応援してますから」

「ナナちゃん……」

ナナちゃんは俺の思った以上に大人だったのだ。

「えーと……生徒会を頼んだぞ」

「はい!」

「何か恥ずかしいなこういうの……」

ナナちゃんは多分はなびの次の生徒会長になるだろう……

「二人とも〜!次行くわよ〜!」

「は〜い」

「よし!次も頑張ってみるか!」

俺とナナちゃんは同時に立ち上がった。

「はい」

「え」

俺はナナちゃんに荷物を渡された。

「調子に乗るな〜〜〜!!」

俺はナナちゃんに怒鳴った。



俺達の買い物の旅は昼をまたいで夕方まで続いた。

「というかさや先輩の思い出作りに買い物って……」

俺は喫茶店で談笑している女5人を見ながら呟いた。

「まあ女にとっての買い物は男には理解しがたいものさ」

俊哉が隣で手を広げて言う。

「お前、まるでプレイボーイみたいだな」

「ああそう。メガプレメガプレ」

「調子に乗るな」

俺と俊哉がバカな話をしていると、会話が終わったようで、女5人が帰る準備を始めた。

とは言っても買い物の荷物は全部俺達で持っているけど。

「じゃあ帰りましょう、早く温泉入りたいし」

さや先輩が勘定を済ませて俺達は外に出た。

「で、後は誰?」

「え?」

レイが俺に耳打ちしてきた。

「留学のことよ」

「あ、ああ……はなびとさや先輩」

「私がどうかした?」

「うわっ!」

はなびがいつの間にか俺の後にいた。

「いや、何でもない」

「そう?怪しい……」

何でこういうとき鋭いんだコイツは……

「カイ、俺達先帰ってるから話せよ。いいな?」

「あ、ああ……」

断れる空気じゃなかったので了承してしまった。

「ん?どうしたの?」

さや先輩がそんな俺達に首をかしげた。

「あ、あの二人ちょっと忘れ物しちゃったみたいなんで先に帰って欲しいらしいですよ」

ナイス咲!

「そう。気をつけるのよ」

さや先輩が俺達二人を見た。

「荷物なくさないように」

「そっちの心配かよ!」

俺達はさや先輩たちと別れて歩き出した。

「それで話って何?さや先輩がいるとマズイの?」

「あ、ああ。というか後でさや先輩に話すつもり」

俺は言葉を冷静に選んでしゃべった。

はなびのことだからちょっとのことで癇癪を起こされるかもしれない。

「それで?」

「単刀直入に言う……俺、4月から留学するんだ」

「!」

はなびの顔が案の定驚いた顔をする。

「だから俺、来年度はもう生徒会にいないんだ」

「……それ、さや先輩に言ってないんでしょ?」

「そうだけど……」

途端にはなびの顔が険しくなった。

「さっさとさや先輩のトコ行きなさいよ!」

そしてはなびが爆発した。

「でもお前にも……」

「私のことなんかいいの!どうせ言いたいことあり過ぎてキリが無いから!」

「キリ、無いんすか……」

はなびは自分の感情を押さえ込んで、俺にものを説いた。

何というか本当に生徒会長みたいだ。

「アンタを一番思っているのはさや先輩!いつ発つの!?」

「あ、明後日の修了式のすぐ後……」

「時間無いじゃない!?今日入れてあと3日!?」

そう、時間なんてすでに残されていない。

これは中々言い出せずにウジウジしていた俺のせい。

「アンタって本当にヘタレね!」

「……返す言葉もありません」

俺ははなびに頭を下げた。

「いいから!さっさといけ!!」

ドゴッ

「アダッ!」

「この感覚しばらくないかもしれないからしっかりと心に刻むのよ!」

「オイオイ……」

はなびの蹴りの感覚を心に刻めって……

まあ忘れないけど。

「ありがとな、はなび」

「もういいから!さっさと行ってよ!」

「あ、ああ……」

はなびが急かす理由はもう一つあった。

それははなびが涙を堪えて溢れそうだったからだ。

もちろん俺はそれに気づくことなく……

ただ走った。



「さや先輩!」

俺は大量の荷物を持っているにもかかわらず、さや先輩たちに追いついた。

「カイ!忘れ物は見つかった?」

「え?あ、その……」

「じゃあ俺達は先に帰るから。カイはさや先輩と話しつけておけよ」

そう言って俊哉、レイ、咲、ナナちゃんは帰って行った。

「え?何?」

さや先輩は困惑していたが。

「えーと……少し時間よろしいですか?」

「……ダメね」

「ええ!?」

ここは普通OK出すところじゃないの!?

「今日の夜……11時ぐらいに旅館のロビーで待ってるわ。そのときに」

「え?まあいいですけど……」

俺はさや先輩の意図が読めない。

「だって真面目な話でしょ?残念だけど今はそんな話聞きたくないし」

「はぁ……」

何て自分中心論だ……

俺は逆らえずに結局了承してしまった。

もちろんこの後はなびに怒鳴られたのは言うまでも無い。



夕食、温泉タイムが終わった。

さて……どうしよう。

覚悟はしっかり出来た。

後は言うだけ……はぁ……

さや先輩はどんな顔するんだろうな。

「11時……か」

俺はロビーに降りた。

すでにさや先輩はいた。

風呂上りの上気した頬が色っぽい。

俺はさや先輩に近づいた。

「さや先輩……」

「来たわね。さ、行こうか」

「え?」

俺は訳も分からず首をかしげる。

「早く行くわよ」

さや先輩が俺の手を引っ張った。

「ってどこに!?」

「夜のデート」

答えになってるんだかなっていないんだか。

「いや、あのですね……どこに行くのかって……」

「私とデートするの嫌?」

「そういうわけじゃないです」

さや先輩から誘ってくれてもちろん嬉しい。

何せ近頃は忙しすぎてデートする暇もなかった。

「じゃ、行きましょう。中々ロマンチックでしょ?」

「まあ……」

俺はさや先輩のペースに翻弄されつつもそのまま外に出た。

そしてさや先輩は歩き出す。

「あの……どこに向かうんですか?」

「知りたい?」

さや先輩の顔が俺に近づいてくる。

「え?ま、まあ……」

俺は恥ずかしくて目を背ける。

「まあいいわ。黙って付いて来なさい」

さや先輩が前を向いてまた歩き出した。

俺はそれについていく。

「あの……」

「黙ってといったでしょ。次言ったらその口を唇で塞ぐからね」

「そ、っそそれって……」

俺は体の体温が一気に上がったのを感じた。

「はい。着いたわ」

俺はとある場所に着いた。

しかし……

「あの、何も見えないほど真っ暗なんですが」

かなり暗い場所に俺達は来た。

「ちょうど新月だしね」

「そういう問題じゃなくて!」

「あら?唇で塞がれたい?」

「いやまあ……ってそんな話ではなくて!」

俺は翻弄されっぱなしだ。

「カイ、私の場所分かる?」

「いや、さや先輩のいる方向しか分からないんですが」

あいにく全然見えない。

「そうね。ならライトアップが必要ね」

「へ?」

さや先輩が指をパチンと鳴らした。

「ええ!?」

すると俺達の周りに突然明かりが灯り始めた。

「何この魔法!?」

俺はその光景に唖然とした。

「カイ!私の隣に来て」

「え?はい」

俺は頭がうまく働かない。

「じゃあみんな出てきて」

「え!?」

俺は周りを見た。

「ええええええええええええ!?」

すると俺達の周りにはなび、レイ、俊哉、咲、ナナちゃんがいた。

どうやらライトアップも彼らが行なったらしい。

「い、一体なんですか!?」

俺は訳が分からなかったので頭を抱えた。

さや先輩に留学のことを伝えないといけないのに〜〜〜!」

「汝」

「え?」

ナナちゃんが突然話し始めた。

「汝、蓮見さやは蛟刃カイに永遠の愛を誓いますか?」

「はい」

「へ!?」

突然何かが始まったんですけど!?

「汝」

ナナちゃんが俺に言う。

「汝、蛟刃カイは蓮見さやを生涯の妻にすることを誓いますか?」

「え?え?」

俺は混乱しっぱなしで何言ってるのかよく聞こえない。

「カイ!早く何か言いなさいよ!」

はなびが俺に叫ぶ。

さや先輩が俺を不安そうに見る。

「あ、その……」

「汝、蛟刃カイは蓮見さやに永遠の愛を誓いますか?」

さっきと言葉が変わっていることについてはナナちゃんだから、で済ませよう。

「は、はい」

俺は声を少し上ずらせた。

それは動揺してるからだ。

分かったことは彼らが俺とさや先輩の結婚式を行っているということだけだ。

「では……誓いのキスをどうぞ!!」

ナナちゃんの声が盛り上がる。

「ええ!?」

ドクン

俺の心臓が鳴る。

何だかよく分からないままこんなことになってしまった。

でも俺は……

俺はさや先輩に近づいた。

そして俺の唇がさや先輩の唇に重な……らなかった!

俺は急遽目標をさや先輩の頬に変えたのだった。

チュッ

「あ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

ナナちゃんが絶叫する。

「ヘタレ」

「ヘタレ」

「ヘタレね」

「ヘタレ……」

みんな好き勝手言ってくれる。

「だ、だって突然のことで何すればいいのか分からないし!」

「さや先輩の唇にキスすればいいのよ」

レイが平然と言ってのけた。

「っていうか何なんだよ一体これは!?」

俺は成すがままこんなことになったが、実際まだ混乱している。

「さや先輩と結婚したくないの!?」

咲が俺に訊く。

「いや、そりゃしたいけど……」

「じゃあ問題ありませんよね!」

ナナちゃんが俺に言う。

「……カイ」

後からさや先輩の声がする。

「な、何でうっ!」

「キャ〜〜〜〜〜!!!」

ナナちゃんが絶叫する。

なぜならさや先輩が強引に俺の唇を奪ったからだ。

しかも舌まで入れてくる。

やばい……頭が沸騰しそうだ。

周りのみんなも真っ赤になってそんな俺達を見ていた。

俺はもちろんそんな暇はなかったので気づかなかったが。

……何分していたのだろう?

俺の頭が覚醒したときにはすでに互いの唇が離れていた。

「え、えっと……」

「しっかり写真に収めましたよ!」

ナナちゃんが嬉々としながら俺達に近寄ってきた。

「カイ、頑張ってね」

「え!?」

さや先輩が俺に笑いかけた。

「ど、どういうこと!?」

「実はな……」

俊哉が俺に語り始めた。

「ええ!?みんな最初から俺の留学のこと知ってたの〜〜〜〜〜!?」

「ああ」

俺はどうやら道化を演じていたらしい。

「な、何でみんな黙ってたんだよ!」

「それはさや先輩とお前の親父さんの提案」

「さや先輩は兎も角、俺の父親も!?」

俺は頭の中で掌で踊っている俺を見て笑っている父の姿を思い浮かべた。

何かむかついた。

「と、いうことは、俺の留学をすでに俺の父親がお前らに教えていたのか」

「まあそういうことになる」

「あの野郎〜〜〜〜!」

俺は頭を抱えた。

今までの俺の苦労はどうなるんだよ!

「じゃあレイやはなび、他のみんなも演技だったと言うのかよ!」

「ザ・迫真の演技」

レイが言う。

「そ、そんな……」

「シンプル・イズ・ザ・ベスト」

「何か違うよ!」

どうやら俺は最後までこんなに弄られてしまったようだ。

「でもみんな寂しいというのは本当なんだからね」

咲が言う。

どうやらはなびはマジ泣きしたらしい。

「それにもう私に永遠の愛を誓ったのだから、あなたは永遠に私のものよ。そこのところはちゃんと理解するのよ」

「そ、そうですね……」

擬似とはいえ、結婚式まで済ませてしまったのだ。

いや、あれって結構恥ずかしいな……

「じゃ、戻るわよ」

ペロッ

「!!」

俺の耳がさや先輩になめられた。

今日のさや先輩はもう誰にも止められない。

そして分かった。

俺は一生この人に敵わない。



「これより光芒学園修了式を終了いたします。一同、礼!」

はなびの言葉で修了式が終わった。

俺の旅立ちの時間がやって来た。

「自家用ジェットじゃないの?」

咲が俺のパスポートを見てそう言った。

「まあ。今日くらいは普通の飛行機で行くよ」

俺は生徒会メンバー+さや先輩と一緒に学校から帰っていた。

「カイの大好きなお姉ちゃんは?」

さや先輩が皮肉っぽく言う。

「そ、そういう言い方止めて下さい!姉さんはもう向かいました。だから今日であのアパートを引き払います」

俺は今日、あのアパートを出て行く。

多分二度と戻ることは無いだろう。

「ふ〜ん」

さや先輩が頷く。

「……嫉妬」

レイが呟く。

「何ですって?」

さや先輩がレイに視線を向ける。

「別に」

「……本当にこの子言うわね」

さや先輩が苦々しげに呟く。

でも本気で思っているわけじゃないだろう。

「そうです!カイ先輩!はい!」

ナナちゃんが俺にクッキーを渡した。

「これを……俺に?」

「はい!これを私だと思って食べてください!キャッ!」

「……」

俺はくねくねしているナナちゃんに白い眼差しを向けた。

「じゃあ私はこれ」

咲が何かを手渡す。

「これは?」

「子供の頃にアンタに貰ったシャーペン。返すわ」

「へえ……新品同様じゃん」

咲の渡してきたシャーペンは新品みたいだった。

「それほど大切だったのね」

さや先輩が意地の悪い目を咲に向ける。

「そ、そういうわけじゃ……」

「私はこれ!」

はなびが俺に何かを手渡した。

これは本当に「何か」だ。

「な、何これ?」

「分からないの!?セーターよ!」

「……袖が3つあるんですが」

「ああ!」

はなびが頭を抱えた。

「これ失敗作の方だ!!ゴメンね。すぐに取り替えてくるから」

はなびが帰ろうとするので、俺は腕を掴んで止めた。

「いいから。ありがとな」

「え……でも……」

「俺のために作ってくれたんだろ?ありがとな」

「わ、分かったわよ!」

はなびはそっぽを向いて言った。

「それくらいにしておきなさい。怖い先輩がやきもち焼くから」

「それって誰のことかしらレイちゃん?」

さや先輩が怖い笑みをレイと俺に向けた。

って俺は違う!何もしていない!

「じゃあ俺は……男と男の友情の証、10円ガム」

「何それ!?どこらへんが友情の証!?」

俺は俊哉から出されたコーラ味の某ガムを見た。

「冗談に決まってるだろ。ほらよ」

「何これ?」

俊哉が渡してきたのはディスク5枚だった。

「分かんないのか?秘蔵DVDだよ!」

「え!?まさか……」

『ジー』

「う」

何か周りから強い視線を感じる。

約1名は好奇な眼差しですが。

「没収です!!」

「ああ!!」

はなびに取られた秘蔵DVD。

「はなび先輩が見るんですか?」

「み、見るわけ無いでしょ!」

そう言ってDVDをゴミ箱に投げ捨てた。

「ああ!俺の秘蔵DVD〜〜〜〜〜!!」

「ドンマイ」

俊哉が絶叫する俺の肩を叩いた。

「じゃあ私ね。はい」

「え?」

レイから渡されたものはキーホルダーだった。

「随分可愛い系だな」

「嫌だった?」

レイが俺に無表情で訊く。

「そうじゃない。ただ少し意外だった」

「それもそうね。選んだのナナちゃんだから」

「ええ!?」

レイのプレゼントは半分ナナちゃんのプレゼントのようなものだ。

少し複雑。

「フフフ……素直じゃありませんね」

ナナちゃんがクスクス笑っていたが、怖いので気にしないことにした。

「私からは……後のお楽しみ」

「え?」

さや先輩は意味深な笑みを俺に向けた。

「あ、そろそろ空港よ」

歩きながら雑談していたらいつの間にか空港に到着。

荷物はすでに向こうに送ったので、俺の荷物は学校の鞄とみんなからの餞別だけ。

「げっ!意外とゆっくりしちまった!」

時計を見たら案外時間が無かった。

「みんな……」

俺はみんなを見た・

「今までありがとう。俺、絶対に忘れない。生徒会での日々を。だから……」

また涙がこぼれてきた。

最近涙もろいな、本当。

「ほらほら泣かないの」

さや先輩が俺をあやすように言った。

「これで会うの最後ってわけじゃないんだし」

「そ、そうだよな……笑って別れたほうがいいよな……」

俺は頭の中に武満の笑顔を思い浮かべた。

「しかしカイはこれが彼らとの最後の出会いになることに気づかなかった」

「レイ!心臓に悪いこと言うなよ!」

「でもこれで私のこと忘れられないでしょ?」

レイが俺を見た。

「ま、まあそうだけどな」

「元気でね」

と、咲。

「負けるなよ」

と、俊哉。

「また会いましょう!」

と、ナナちゃん。

「夏休みにはちゃんと帰りなさいよ!」

と、はなび。

「みんな……行ってくる」

さよならなんかは言わない。

また会えるんだし。

それに俺の居場所は生徒会なんだ。

……皇家も嫌いじゃなくなったけどな。

俺は飛行機の中に搭乗した。

「ふう……」

俺は席についた。

ふと窓の外を見ると、遠くからみんな手を振っていた。

あれ?さや先輩がいないな……

俺がどんなに見渡してもさや先輩がいなかった。

「隣、いいかしら?」

「は、はい!」

突然話しかけられたのでつい返事をしてしまった俺。

あれ?何でこんなに早く返事しちゃったんだろう?

……!!

俺の隣にさや先輩がいた。

「えええええ!?何で!?」

つい大声出してしまった。

「何言ってるの?私、アメリカの大学に行くから」

「ま、マジで!?」

と、いうことはまたさや先輩に一本取られたということか〜〜〜〜!!!

「嬉しい?」

「嬉しいっす!はい」

俺は心の底から喜んだ。

「まあ私だけじゃないけどね〜」

「え?」

さや先輩が意味深なことを言う。

「フッフッフ……」

「!!」

俺の後の席から聞き覚えのある声が聞こえた。

「真里菜先生!」

「そうよ」

「カイ、来年度もよろしくな」

「え?はい……」

ん?来年度?

「ま、まさか!」

「そのまさかだ!まさかカイの留学する学校に雇われるとはな〜〜!!!ハッハッハ!!」

「……なんか疑わしいんですが」

この人のことだから何かしたに違いない。

「バレたか」

「マジなのかよ!!」

俺の日常はあまり変わりそうにない。

結局さや先輩に弄られるし、真里菜先生にもからかわれる。



さよならは言わないぜ!生徒会!



またな!生徒会よ!





エピローグへ


以上最終話です。

この後はエピローグに続きます。


エピローグは後日談みたいなものです。



思えばこんなに長くなるとは思っていませんでした。

ネタ切れ、スランプ、寝不足、多忙、気力不足、文才の無さ……など様々な壁にぶち当たりましたが、皆様の応援のおかげで何とかこの作品を完結させることが出来ました。(まだ一応あるけど)


読んで下さってくれた方々、真に有難うございます。

感想や評価をして下さった方々、本当に励みになりました。


以上、長くなりそうなのでここで打ち止めにさせていただきます。


By CFF-沙希

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