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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第三部 飛翔
97/104

第79話 卒業と生徒会

カイが生徒会にいる時間はもう……

そして始まった卒業式。

さや先輩の門出。

そして……

蛍の光〜♪

卒業式が終わり、さや先輩は光芒学園を卒業した。

さや先輩は人気ゆえか、かなりの人たちに祝福されていた。

俺達はそれを在校生の席から微笑みながら見つめた。



卒業式後……

俺達は校庭にいた。

そういえばさや先輩のファンクラブはどうなるんだろうな……

「ファァァッァァッァンクラァァァッァァァブは解散しねぇぇぇぇぇぇええぇえぇ!!」

『会長!!』

おいおい……厚巻がファンクラブ会長だったのかよ……

意外な事実が発覚だな。

「全くうるさいわね……」

「瀬川先輩」

瀬川先輩が俺達の元にやって来た。

「あ!ライバルもいる!」

瀬川先輩がレイを指差す。

「誰?」

レイが俺に訊く。

「キィィィィ!ムカツクわ!」

瀬川先輩が悪役のセリフ……というかかませ犬のセリフをしゃべる。

「卒業おめでとうございます」

「ありがとう」

瀬川先輩がにっこりと笑う。

全くこれで性格が破綻していなければ……

「何?」

「何でもないです」

何で俺が変なことを考えてるって分かったんだ!?

「ゆうに鼻の下伸ばさないの」

「さや先輩!伸ばしてませんよ!」

さや先輩が俺達のところにやって来た。

「あれ?ファンクラブの人たちは?」

「撒いてきた」

「そうですか」

まあ厚巻が会長だなんて鬱陶しいからな。

「あれ?皆さんおそろいで」

そのときどなたかがやって来た。

「ねえ。誰?」

はなびが俺に訊く。

「さあ?ナナちゃん知ってる?」

「知りません。咲先輩は?」

「さあ?」

咲まで知らないとは……この人在校生じゃないんじゃないの?

「ひ、ひどい……俊哉君なら分かりますよね!?」

「あ、その……マリア先輩でしょうか?」

「誰だよ!」

俺は俊哉の意味不明の発言に突っ込んだ。

「う、うう……泣いてやります。恨んでやります。あなた達の枕元にゴキブリの死骸を放ってやります」

「何かそれ地味にうざいからやめて!」

で、結局みんなから相手にされなかったこの人は……

「もう死ぬしかありません」

「早まるな!」

俺は止めた。

「みんなそのくらいにしておいてあげたら?」

さや先輩が俺達に言ってきた。

「いや、でも冗談抜きなんで……」

みんな頷く。

そう、これはギャグでも何でもない素ボケ。

だからこそ余計に傷がつくのだ。

「仕方ないわね。この人は第3部で名前が出てきたかどうかすら分からない、そして第2部で出すぎたために逆に作者にも忘れ去られていた初島……何とかさんよ」

「ひ、ひどい。しかも名前結局分かってない!」

何とか先輩は泣きながらその場を去って行った。

「……作者って何だ?」

「細かいことは気にしない。ワカチコワカチコ〜」

「……」

さや先輩の壊れっぷりにみんなひいた。

「……ねえ誰か突っ込んでよ」

「エ、エロイです!」

「何が!?」

ナナちゃんのツッコミじゃないツッコミに俺がツッコミを入れた。

うわ、分かりにく。この文章。

「じゃあ私達は記念写真撮ってくるから」

さや先輩と瀬川先輩が俺達から離れていった。

「俺達はどうする?」

「在校生は体育館の片付け」

俊哉が言った。

「うへ〜」

俺達は体育館に戻った。



そして……

そしてそして……

「うっわあ!」

さて問題です。俺に何が起きたでしょう。

A 卒業旅行初日に寝坊

B 朝起きたら姉さんが半裸

C 朝起きたら俺が死亡

D 枕元にゴキブリの死骸

さてどれか!?

答えは……普通にA!

この後の展開を期待するならB!

バッドエンドならC!!

絶叫するならD!

と、言うわけで……



Bの場合……

「うっわあ!」

俺は姉さんの姿を見て驚いた。

なぜなら半裸だからだ。

下着はモロに見えており、さらにその先も少し……

「ヤ、やばいってやばいって!」

俺は急いで布団から抜け出そうとした。

しかし、姉さんがしがみついているために脱出が出来ない。

仕方ないので俺は有り余ってる性欲を吐き出すことにした。

「吐き出すなよ!耐えろよ!」

と、言うわけでBは不正解。

この後の展開が18禁になってしまうので。



Cの場合……

「うっわあ!」

朝起きてみたら、俺が死んでた。

……お、終わり?

「死んでる奴は叫ばねえよ!」

と、言うわけでCも不正解。

今までの物語が台無し。つうか突然死ぬなんて意味不明。



Dの場合……

「うっわあ!」

朝起きてみたら、ゴキブリの死骸が俺の枕元にいた。

……あの人の仕業か。

俺は犯人に心当たりがあった。

「絶対に許さねえ!」

俺はその人の家に向かった。

ピンポーン

「は〜い。あ!カイさん!」

「……よくもあんなことを!!」

「え?キャーーーー!」

俺は彼女の腹にナイフを突き立てた。

彼女の絶叫が木霊する。

彼女の血があふれ出る。

そして俺はさらに胸、頭、腕、足……全てにナイフを刺した。

彼女の瞳は力を失い、俺は壊れた瞳で不気味に笑う。

そして彼女が崩れ落ちたところで俺は狂ったように笑い続けた。

「オーバーな展開だね!俺ってこんなに器小さいやつなのかよ!」

ゴキブリの死骸を置かれただけでそいつを殺すなんてありえなさ過ぎ。

しかもこれも今までの物語台無し。

よってDも不正解。



と、いうわけでAでいきます。

「うっわあ!」

俺は焦っていた。

「まさかこんな重要な日に遅刻するとは……」

俺は幸か不幸か(不幸です)寝坊をかましやがったのだ。

姉さんは起きてすらいないし。

「あと集合時間までわずかしかねえじゃん!」

遅刻したらさや先輩を初め、なんていわれるか……

「うわあ!考えただけでも死ぬ!!」

残り8分……俺は頭を抱えて転がりまわった。

「ってそんなことしてる場合じゃないだろう!」

服を脱ぐ……1秒。

服を着る……30秒。

鞄もって準備……5秒。

で、目的地まで走って5分。

荷物あるからプラス1分。

コンビニで朝飯を買う……25秒!

合わせて……7分1秒!

考えている時間……20秒……

「ってやっべえ!」

俺は全速力で着替えて仕度して着替えて……

「俺どうやって2回着替えたんだ〜〜〜!!」

そう準備しながらもツッコミは忘れない。

俺は姉さんを起さずにさっさと家を出た。

まあ姉さんも一人でも大丈夫だろう。

大の大人だし。

俺は鍵を閉めて風のように駆け抜けた。



「ギリギリセーフ!!」

俺は集合場所に何とか到着。

「って誰もいねえ!?」

俺はさや先輩に電話した。

「さ、さや先輩!今どこですか!?」

「何よ。まだ家に決まってるじゃない」

は?

俺の頭の中が空になった。

「えーと……集合時間は……?」

「今より1時間後よ」

「ええええええええ!!!!」

俺って集合時間1時間間違えたんですか!?

こんなよくあるミスを……トホホ。

「じゃあね。そうそう、はなびちゃんは大丈夫?」

「アイツは一人で起きられるようになってるから大丈夫かと」

「そう。じゃあまたね。おドジちゃん」

プチッ。ツーツーツー

……

「俺のバッカヤロー!!」

俺の叫びが空に届いたかどうかは分からなかった。



「さて、行きましょうか」

1時間後、誰も遅刻することなく、集合場所にみんな集合した。

もちろん俺は集合時間を間違えたことをからかわれた。

それはともかく、俺達は目的地に新幹線で向かった。

「ところでなんで温泉?」

「私だけスキー旅行行ってない」

すごく自己中心的な理由だった。

でも置いてけぼり食らわれた気持ちは確かに悲しい。

「はぁ……ま、楽しめればそれでいいっしょ!」

「そうだな」

俊哉が言う。

こうして2泊3日の温泉旅行が始まった。

ていうか帰る日の次の日はすぐ修了式だけど。

「で、トランプやらない?」

俺が持ち出したのはエロトラ……

「うわぁ!!」

『ジー』

みんなの視線が痛い。

「いやあの……」

『ジー』

俊哉は我関せずでそっぽを向いてやり過ごしていた。

ようするに援軍無し、絶体絶命。

「そうそう!これは田島のだよ!ったく何でこんなところにあって……」

『ジー』

「ヒイッ!すいませんでした!普通のトランプあるので!」

結局女達の視線に耐え切れなくなった俺は白旗を上げた。

そして普通のトランプを配り始める。

「で、何やる?大貧民?ポーカー?ババ抜き?」

俺は思いついたいくつかのゲームを挙げた。

「何でもいいわよ」

はなびが答える。

それが一番困る。

「えーとじゃあ……ポーカーにするか」

俺は一番楽かと思われるポーカーを選んだ。

そして俺達はポーカーをするのだが……

「さや先輩と咲、レイも強すぎ……」

この3人は圧倒的だった。

運も強いってありえんだろ。

「私また最下位です〜」

「大丈夫、俺もブタだ」

反面ナナちゃんと俺は負けを連発している。

運からも見放されているのか?

「全くフルハウスくらい出さなきゃダメね」

レイが俺達に言う。

「無理です」

「フルハウスなんてツーペアとジョーカーで……」

「そう上手くいくかぁ!!」

咲の発言に突っ込んだ。

「まあいいじゃない。総合最下位は罰ゲームね」

「ええ!?ひどっ!今決めやがった!」

さや先輩が勝手にルールを追加しやがった!

「文句ある?」

「ありません……はっ!口が勝手に!」

この癖はヤバイ。

そのうち身を滅ぼしかねんぞ。

「うう……カイ先輩には絶対勝ちます!」

ナナちゃんに睨まれた。

まあナナちゃんも危険だしな。

「じゃあ先に罰ゲームの内容を教えてください」

「そうね……一番勝った人をマッサージする、でどう?」

「相も変わらずSですね〜……」

「何か言ったナナちゃん?」

ナナちゃんをすごい目で睨むさや先輩。

「いえいえ……でも私が負けたら……エッチなマッサージになりますよ〜」

ナナちゃんが手をグニャグニャさせた。

「……彼女には勝たせよう」

俺が提案した。

「え〜!」

ナナちゃんが大きな声を出した。

幸いあんまり人がいないので助かった。

そして……

「しまった〜〜〜!!」

ナナちゃんを勝たせてるんだから最下位が俺になるに決まってるじゃん!

俺は頭を抱えた。

すでに勝負は絶望的。

俺の敗北は確定。

あとは……勝者を決めるだけ!

「じゃあ咲ちゃん、レイ、恨みっこなしよ」

優勝候補は三人。

さや先輩、咲、レイだ。

「じゃあせーの!」

3人は一斉に出した。

この勝負で俺の運命も決まる。

レイはフルハウス。

さや先輩は4カード。

そして咲は……

「ロ、ロイアルストレートフラッシュ!?」

「に見せかけたフラッシュよ……」

「あ、そうか……」

咲はあと少しでロイアルストレートフラッシュだったらしい。

「というか何この勝負!?レベル高っ!」

最早人間の域を完全に超えているぜ……

「さてカイ」

「あ」

勝者、さや先輩。

敗者、俺。

「マッサージしてね。旅館で」

「……はい」

すっかり罰ゲームを忘れていた。



「じゃあ早速温泉めぐりしちゃおう!」

さや先輩の一言で、旅館に着いた俺達は真っ先に温泉に行った。

「そういえば」

はなびが俺を見て思い出したように言う。

「カイはスキー旅行のときに堂々と女風呂にいたのよね〜」

「おいおいよしてくれよ。過去のこと……うわっ!」

「ふ〜ん」

いつのまにかニヤニヤしたさや先輩が俺に近づいてきた。

「そんなに欲求不満?」

そう言いながら俺の首元と耳に息を吹きかけてきたさや先輩。

「ヒャッ!!」

俺は思わず後ずさる。

顔が紅潮するのが分かる。

「可愛いわね。じゃあ俊哉はカイを見張っておいて」

「分かりました」

俊哉はさや先輩に俺の監視を任された。

「でも何で俊哉ってそんなに信用されているんだ?」

俺は素朴の疑問を言ってみた。

「そりゃあ……カイと危ない関係だからじゃない?」

さや先輩が真剣そうに言う。

「いや、それは違いますって!」

「それもそうか!」

「お前も悪ノリするな!」

俺は納得し始めた俊哉にもツッコミをいれた。

「カイ先輩は基本受けですけど……攻めるときは攻めるんですよ!」

「何を言っているんだ君は?」

ウケ……つまり俺が基本ボケ……

あ、そういえばどこかの誰かが笑いをとるのはボケじゃなくてツッコミだと言っていたな。

と、いうことは基本俺がツッコミだけど、ボケるときはボケるという事かな。

「それはそうかもしれないな」

俺はナナちゃんに同意した。

「え!?本当にそうだったんですか!?」

「まあ確かに全てそうとは限らないけど、俺達のスタイルとして間違っては無いな」

「じゃ、じゃあ抱き合ったりとかもしてるんですか!?」

「まあ時々……(ネタ的に)」

「そ、それって他の人が見てると嫌じゃないんですか!?」

「いや、他の人がいたほうがいいだろ」

そうじゃないとネタにならないしな。

「そ、そういうのが好きだったんですか……」

「いや、好きとかそういう問題じゃないよ。そっちじゃないと盛り上がらないだろ?」

「はわわわわ!興奮してしまいます!」

な、何だ一体?

周りの人たちも何だか意味深な視線を向けてくる。

「な、何?」

「いや、どこまで暴走するのかな?と」

俊哉が冷静に返した。

「はぁ?」

「じゃ、じゃあ性的なことも……」

ナナちゃんが質問を再開する。

「え?」

性的って……下ネタか。

「いやそれは普通。というか毎日してるし」

「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

何か顔を手で覆い隠したナナちゃん。

周りは俺を見て呆れていた。

「やばいわ……この鈍さ。神よ……」

はなびが何か念仏のようなものを唱えていたが無視した。

「も、もうダメです〜。興奮死してしまいます〜」

ナナちゃんがぐったりとし始めた。

「しっかりするんだ!」

「も、もうダメです……」

ナナちゃんから大量の鼻血が吹き出る。

「俊哉先輩と……お幸せに」

「へ?」

ナナちゃんはそこで意識を失った。

「何でだよ〜〜〜〜〜〜!!」

俺は絶叫した。

「さ、本当に行こう?時間なくなっちゃう」

「そうね」

レイと咲を始め、みんな俺達を無視して温泉に向かっていった。

「私も行きます〜!」

ナナちゃんも突然何事もなかったように起き上がってさや先輩たちに付いて行った。

「……何か俺マズイことした?」

「……ああ」

俺は結局場の空気についていけなかった。



しばらく経ってさや先輩たちが戻ってきたので、俺達が温泉を巡ることにした。

「何か男二人ってのもな……」

「……言うな。悲しくなる」

俺達はあまり気分が乗らないまま温泉に浸かっていた。

まあノリノリだったらそれはそれでヤバイ。

「なあ。お前さ、このままでいいのか?」

「ん?」

俊哉が俺に話を振ってきた。

「いや……後悔だけはするなよ」

「お前……」

俺は俊哉を見た。

「タオルを変なオッサンに取られたぞ」

「何だと!?」

俊哉は急いでオッサンに自分のタオルを返すように要求しに行った。

……俊哉のやつも何かしら気づいているのかもしれないな。

昔から隠し事をすればコイツにすぐバレちゃうし。

「……でも……やっぱりな……」

さや先輩の泣き顔はもう見たくないのに。

でもこのままじゃどちらにせよ……

今まで言うのを躊躇していた俺に今激しく後悔の念が襲い掛かる。

「はぁ……」

俺は決めた。

一人ずつに話すことに。

俺は俊哉を呼んだ。



夕食はそれはもう豪華だった。

「まさか伊勢えび食べられるとはね〜」

はなびが笑顔で言う。

レイはこちらをずっと見ている。

その視線は責めているよりどこか不安げな視線だった。

「なあ咲、奉廉おじさんはアメリカにいるのか?」

「そうよ。それが?」

「いや、別に」

咲は俺の方を見ずに言った。

このタイミングなら言えるかも……

俺は口を開けて……そのまま閉じた。

……俺のヘタレ。

「ねえみんな!この後温泉卓球しない?」

「いいわよ」

レイが真っ先に賛同した後に次々と賛同の意を表した。

「じゃあ食べ終わったら下に降りよう?」

「そうだな」

俺達は夕食を平らげて下へと降りていった。



「はっ!」

「……」

目の前ではなびとレイが人間業とは思えない卓球の試合を見せている。

玉はコートを抉り、壁に突き刺さる……すいません誇張表現を入れました。

まあとにかくすごい試合をしているのだ。

「はあっ!」

「……」

気合入りまくりのはなびと無表情のレイ。

でもレイは負けず嫌いだからな。

あ、はなびもか。

「カイ先輩勝負しましょう」

「ん?」

俺は隣に視線を向けた。

「卓球少女、ミラクルセヴンと!」

「いい加減そのコスプレを止めろ!」

ナナちゃんはまた変な覆面をしていた。

「問答無用!ツイストサーブ!」

「ちょっ!それテニス!」

俺はナナちゃんの暴球を顔面に受けた。

「クッ……わが生涯に……」

「それよりもナナちゃん、私が卓球のたの字から教えましょう」

「さや先輩!邪魔しないでください!」

俺のネタを邪魔したさや先輩。

「何か言った?」

「何でもありません」

ああもう何で俺の口はこうなる……

「いい?ナナちゃん。卓球というのは相手をどれだけいたぶるか、というスポーツなのよ」

「それどこか違くないですか!?」

「私はいたぶられたほうがいいです〜」

「いや、そういう問題じゃないから!」

さや先輩とナナちゃんの二人を相手にするのは疲れる……

「オイ、咲ちゃんと試合してやれよ。俺は疲れたから休む」

「え?ああ俊哉」

俊哉は俺にそう言って飲み物を買いに行った。

「じゃあ咲、やるか」

「う、うん」

そういえば咲って運動音痴だったような……

「えいっ!」

スカッ

「……」

「も、もう一度!」

スカッ

「……」

この姿が少し可愛いと思っていしまったのは秘密だ。

「咲ちゃん!カイを倒すすごい技があるわよ!」

「え!?」

さや先輩が突然咲に言った。

「私の言う通りにして」

「は、はい!」

咲はさや先輩によって構えを直した。

そして……

「腰は低くするのよ。後、あんまりボールを上にあげちゃだめだからね」

「は、はい。原理は分かっているんですけど……」

咲は少し練習してやっとサーブが打てるようになった。

「じゃ、いくわよ」

さや先輩が咲の後ろに何故か待機。

「咲ちゃん必殺!」

咲がサーブを打とうと構える。

必殺技なんて練習して無いだろ。

「胸元はだけサーブ!」

「キャッ!」

咲が打ったと同時にさや先輩が咲の胸元をはだけさせた。

「うわあ!!」

俺は鼻血を飛ばした。

だって見えたんだもん。……何かは訊くな。

そしてボールは俺のコートに入った。

「ひどい……うう……」

咲は泣きそうになっていた。

「で、でも俺に1点入れたじゃん」

「嬉しくないもん」

咲が予想以上に落ち込んでいた。

「ご、ごめんなさいね……」

さや先輩がまさかここまでとは思っていなかったのか、謝る。

「……な〜んて」

咲が笑顔になった。

「「え?」」

「二人とも騙された〜」

咲が俺達を見て笑った。

「いつもやられているからお返しだもん」

「〜〜〜〜!!」

さや先輩が今度は震え始めた。

「そう……そういうことなら……もっとはだけさせちゃうわよ!」

「え!?キャッ!」

そして咲の浴衣は……浴衣の意味をなくされるまでにされてしまったのだった。



「楽しかったな」

「……私は恥ずかしかった」

俺は咲と一緒に飲み物を飲んでいた。

「で、何?」

咲は俺を鋭い視線で見る。

いつの間にこんな視線が出来るようになったのか。

いや、俺のせいか。

「もう大体気づいてると思うけど……俺さ……」

「……うん。分かるよ。何年の付き合いだと思ってるの?」

咲は俺の顔を見ずに俯いた。

「はなびは鈍感だから分かっていないと思うけど……」

咲が続けた。

「ま、一応アンタの元カノだし」

咲は俺に向かって笑っていた。

「ゴメンな。お前にはいっぱい迷惑をかけた」

「そうよね……でも、もういいの。私はカイが幸せならそれで……」

「え?」

「あ、いや、何でもないから!」

咲が慌て始めた。

「どうしたんだ?」

「と、とにかく!私やレイは覚悟していたからいいけど……はなびやさや先輩にはちゃんと言うのよ!いいわね?」

「あ、ああ」

「今度こそ約束は守ってよね」

咲は俺に背中を向けて歩いた。

その背中は何だか必死に背伸びをしているように見えた……



俺はみんなにちゃんと言えるのだろうか……



残された時間はあと4日……





次回……最終話。


とうとう終わってしまいます。


皆様応援ありがとうございました。

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