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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第三部 飛翔
96/104

第78話 最後の泉の生徒会

やっとここまできました。

何とか完結させるぞ〜。

テストも終わってしまい、とうとう学校に行くことも少なくなってしまった。

テスト返還、卒業式、終業式の3日間だ。

ちなみに……今回のテストは自信ある。

それなりにアメリカでも勉強したし。



「じゃあ今年度の最後の生徒会頑張りましょう!!」

『オー!!』

はなびの言葉に俺達が同意した。

今、俺達はテスト返還の後に生徒会に来ていた。

やることは只一つ。

雑務。

来年度へつなげるための重要な仕事だ。

ん?

テストはどうだったのかって?

もちろんオールオーケーだよ。

俊哉は赤点ギリギリ無くなったらしいし、はなびは急激に成績を上げているらしいし。

あー……ナナちゃんはドンマイにも赤点にかかって……

「かかってません!」

「うわっ!」

ナナちゃんがいきなり叫んだ。

「罠にかかってません!」

ナナちゃんはDSを持って遊んでいた。

「何だそっちか……」

心の中を読まれたかと思ったぜ……

「って仕事中にDSするなぁぁ!」

「えー」

「えーじゃない!君はもう副会長なんだよ!」

俺は説教を開始する。

というか俺の方が確実に正論だと思うが。

「ふーくかいちょー」

「やる気ないね。……って赤点は大丈夫なの!?」

「平気に決まってるじゃないですか。失礼ですね」

ナナちゃんはこっちを見ずに頬を膨らませた。

「それでもDSするなぁぁぁ!!」

俺の虚しい叫びは何とかナナちゃんに届いた。

「そういえばこの間に何か言いかけてなかった?」

はなびが突然俺に訊く。

「え?あ、いや大したことじゃ……」

みんなが俺を見る。

「怪しい」

「におうわ」

「ですね〜」

「何かある」

「白状しちゃいなさい!」

「あのですね……」

5人の女性に詰め寄られる光景。

場合によっては羨ましくもあるのだが。

今の状況ではそんなもの微塵も感じない。

「俊哉のいるときでいいですか?」

『……』

みんなが押し黙る。

そして元の場所へ戻っていった。

ふう……

こんなことをしていたらずっと言えないかもしれない。

ああ……俺ってヘタレ……

「そうだ!私の卒業旅行に行かない!?」

「え?そういうのって普通は同級生と行くものじゃないんですか?」

さや先輩の発言に俺は効き返した。

「だからそれとは別によ」

「いつですか?」

「未定」

「オイオイ……」

俺は少し呆れた。

「それを今から訊こうと思ったのよ!なのに何でそんなに呆れられなきゃいけない訳?」

「あー……えーと……」

すごい形相で睨んできたさや先輩。

やりすぎたというか今のは俺が確実に悪いな、うん。

「すいませんでした」

俺は正直に謝った。

でないと俺の命が危ない。

いや、でもちゃんと気持ちは篭っていますよ。

「……なんか彼氏彼女じゃなくて主人と下僕みたいね」

「「!?」」

レイの発言に俺達は顔を見合わせて俯いた。

「ご、ごめんなさい……いつものように怒っちゃって……」

「い、いえ……むしろ自然体でいてくれた方が俺も楽ですよ……ははは……」

俯きながら会話した。

さや先輩も俺も顔が赤くなっているかも。

そんなさや先輩を可愛いと思ったが、口には出さず。

恥ずかしいし、殺されそう。

「そ、それでね!卒業旅行のことなんだけど!」

「慌てて繕ってる。フフ……」

レイが勝ち誇ったように笑う。

「クッ……そ、それでいつ空いているかしら?」

さや先輩が何とか堪えて本題を言った。

「俺とレイはバイトの空いている日だよな」

「そうね」

レイは俺に同意した。

「私は春休みになったら春期講習行かされるかも〜」

はなびが頭を抱えて言う。

「私は春休みになると帰省しますから〜」

ナナちゃんはニコニコしながら言う。

「私は全部空いてる」

「……ニート」

「ほっといて」

レイの突っ込みは鋭いな。

というかナナちゃんの毒舌キャラ奪ってない!?

「そうねえ……カイ、俊哉にも連絡入れて」

「ああアイツは大丈夫。全部空いてる」

「そうなの?」

俺は適当に言った。

「ああそうだよ」

こうすれば俺が俊哉を呼ばずに済む……面倒くさいしな。

「だ、そうよ」

ガラガラ

「へ?」

さや先輩の合図で入ってきたのは俊哉だった。

「そうかカイ……お前は俺を怒らせたいらしいな……」

「と、俊哉!?」

全てはさや先輩の作戦。

下準備も完璧だったと言うことか。

クッ……何故見抜けなかった!?

普通見抜けないって。

まあそこは冷静に置いといて……

「お前っていつ暇?」

「ずっと」

「合ってるじゃねえか!!」

俺は半笑いしながら俺の肩を叩いてくる俊哉に吠えた。

気持ち分かりますか?

誰に訊いてるんだか。

「で、それでどこに行くんですか?」

「う〜ん……温泉」

「場所じゃないですよね……」

どうやらさや先輩は温泉旅行に行きたいらしい。

「まあ俺は構わないけど……」

俺はそう言いながら周りを見渡した。

どうやらみんな賛成のようだ。

「じゃあ決まりね!場所と日にちは追々連絡するわ。カイとレイはバイトの日にち教えてね?」

「了解です」

「わかったわ」

「じゃあさっさと仕事を終わらせよう!」

そう言ってさや先輩はまたソファーに寝そべり始めた。

「ってこの人何もしないし……」

「何か言った?」

「何でもないです、はい」

俺は急いで仕事をした、来年度に繋がる……

そしてどんなに思い浮かべても想像ができなかった。

俺がいなくなった生徒会を……



「じゃあオアシスの日にち訊いてこようか」

「そうね」

仕事が終わった後、俺とレイはバイト先のオアシスに向かった。

「おう、お二人さん揃ってどうしたんだ?」

マスターが俺達を快く出迎えてくれた。

「ちょっと質問が」

「何だ一体?」

マスターが怪訝そうな表情をする。

「これからの店の営業日を訊きたいんですが」

「ああそんなことか」

「どんなことだと思ってたんですか?」

俺はマスターに質問する。

「私達、結婚します!とか」

「言いませんよ!」

「適齢期を過ぎてるマスターの僻みから生まれた妄想」

「レイちゃんの毒舌ますます酷くなってるね……」

マスターの顔が引き攣った。

というかレイの奴どんどんドSになっているぞ。

なんだかんだいってさや先輩に一番近いじゃないか。

「で、日にちは?」

レイはあっさり先ほどまでの会話を流して本題に戻した。

「ああ……店はしばらく休む」

「へ?」

俺達はマスターの発言にはてなマークを頭に浮かべた。

「俺、実家に帰省しないといけないからねえ……そうだ!お前達二人にしばらく店を任せ……」

「却下」

「ぐ……」

レイが速攻で却下した。

というか俺は無理なんだけどな。

「さて、じゃあ特に日にちは無いわけね?」

「そうだ」

「本当?」

レイがこれでもかというくらいに訊く。

まあ夏休みのこともあるし。

「今回は本当だ!」

「……わかったわ」

レイは確か目で相手を見分けることが出来る。

そんな洞察力の持ち主だ。

だから信用は出来るだろう。

「じゃあ俺達はこれから暇、ってことか」

「そうなるわね」

「なら今日だけやろうぜ」

俺はレイにそう訊いた。

「何で?」

「いや、何でって……!」

俺は言葉に詰まる。

最後のバイトだし……なんて言えるわけねえよな……

「折角来たんだし……」

「面倒くせえ」

マスターは冷たい。

「そういうこと言わずに!どうせ俺は家に帰っても暇なんだよ!」

「……やってあげたら?カイがここまで言うことってあんまり無いわよ」

「……仕方ねえな。今日だけ営業するか」

よし!と俺は心の中でガッツポーズをした。

レイは俺のことをじっと見つめていたが、すぐに仕事を始めだした。

俺は外に行って定休日の札を営業中に替えてきた。

「さ、やりますか!」

「……随分気合入ってるわね。まあいいけど」

レイがこちらを一瞥した。

「いや、入ってたらダメか?」

「別に」

俺とレイとマスターはそれぞれの仕事をきちんとこなしたのだった。



「ふう疲れた疲れた〜」

俺は完全燃焼して疲れ果てた。

そんな俺にレイがコーヒーを出した。

「おおサンキュー」

俺はそのコーヒーを一気に飲んだ。

「熱っち〜!!」

「……ホットなんだから当たり前でしょ」

喉焼けたかも……

俺はのどを擦りながら水を飲んだ。

「コーヒー飲んだ意味ないわね」

「いや、カフェイン摂取した!」

「ドクター○ッパー飲みなさい」

「それは嫌だ!」

俺はドクター○ッパーを思い出した。

あれは俺には毒物だった。

「美味しいのに。もったいない」

「マジかよ!?」

まあレイは人よりなんかずれてるし……

……おっと!ドクター○ッパー飲んでいる人をバカにしている訳じゃありません!

俺は心の中で誰かに謝った。

「じゃ、帰るか」

「そうね」

俺とレイは歩き出した。

「じゃあ俺達帰ります」

「おう。気をつけて帰れよ」

「はい!」

俺とレイは店の外に出た。

さすがに肌寒くはなくなった……かもしれない。

「見納めはもういいの?」

「ああ。もう充分……って!」

「そういうことね」

レイが俺を真剣に見つめた。

「前々からおかしいと思っていたけど。まさか本当だったなんてね」

「あ、いや……その……」

レイにバレてしまった!

「……今日はそれをみんなに言えなかったのね」

「……ああ」

俺は素直に認めた。

俺が来年アメリカに留学することを。

「生徒会長辞めさせられたのに、案外あっさりしてるしね。おかしいとは思っていたのよ。少しは気にかけるでしょう?」

どうやらレイには前々から怪しまれていたようだ。

「言っておくけど、私が気づいてるのだから咲も気づいているわよ」

「そ、そうだな……」

レイは無表情のまま俺に言う。

「……早めに言わないと手遅れになるわよ。只でさえヘタレなんだから」

「うっ……」

言い返せない。

レイは俺を見ながら言う。

その瞳に全てを見透かされそうで俺は少し焦る。

「……」

「ね、ねえ」

俺はレイの感情の変化に気づいた。

「もしかして怒ってる?」

「怒ってないわよ」

しかしその響きはどうもいつもと違う。

何だか湧き上がるものを押さえているみたいに……

「いや、でもさ……」

「怒ってないって言ってるでしょ!」

ビクッ!

俺はレイの怒鳴り声に驚いた。

「ゴ、ゴメン……」

「早く……みんなに言いなさい」

「……ああ。悪いな本当……」

俺はレイに謝った。

「悪い人がいないことがあるって言ってたでしょ?今回もそれでしょ。謝らないで」

「あ、ああ……」

ど、どうすればいいんだ……

俺は頭を抱えた。

「……私から言おうか?」

レイがどこか俺を気遣うような目を向けてくる。

「いや……俺が言うよ。卒業旅行のときに」

「……ヘタレ」

「……」

だってそれまでに覚悟をつけなきゃいけないんだよ。

俺はすでに一人と永遠に別れた。

そして次は生徒会の仲間達だ……

まだ傷も癒えてないうちにまた傷をつけるようなものだ。

「……先に言っておくわ。元気でね」

俺はレイとそこで別れた。

出会いの後には……別れ。



楽しかったときは終わりを告げ……新たな季節がやって来ようとしていた。



桜の花はまだ……蕾のままだ。



To Be Continued……


止めないこと。

手を抜かないこと。

投げ出さないこと。

書き抜くこと。

小説を書くときそれが一番大事です……よね?


と、いうわけで(どういう訳?)頑張ります。




間違いを指摘してくださったRRRさん、有難うございます。


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