第75話 皇家の謎が生徒会
核心部分に突入です。
シリアス部分長くてすいません。
そして何だか今回は謎解きが多いです。
ミステリーみたいです。
ユニーク80000オーバーありがとうございます。
う〜ん……
眠れん。
俺は次期当主になったことが原因なのかどうか知らないが、全然眠れない。
「やっぱり気になるな、あの書庫」
俺は静かに部屋から抜け出た。
もう深夜2時を回っており、邸内がシンと静まり返っている。
「う〜ん……確かこっちだったかな?」
俺は自分の直感のままに行動した。
だがやはりそんなことでは見つからなかった。
「やっぱ帰ろ……」
俺が帰ろうとしたとき、何か人影が見えた。
何か急いでいるように見える。
俺は不思議に思って密かに後をつけることにした。
暗いせいか、誰だかも分からない。
しかしうかつに近づけば、静かな空間のためにバレる可能性がある。
おかげで今の俺は只のストーカーみたいだ。
まあ疚しいことはありませんけど!
「ん?」
するとその人影は突然立ち止まった。
どうしたのかな?
俺は物陰に隠れてその様子を見た。
カチャカチャ
なにやら鍵を取り出して差し込んでいた。
ん?
あの部屋ってまさか……
するとその人影はドアを静かに開けて中に滑り込んだ。
あの部屋は例の書庫じゃないか!
鍵を閉めた音がしないので俺は少しドアを開けて中の様子を伺った。
「広っ……」
中は結構広い。
俺は人影がいないのを確認して中に滑り込んだ。
幸い見つかってもこの書庫自体が入り組んでいるのですぐに隠れられそうだ。
俺は静かに歩き出した。
俺より先にこの部屋に入った人影は何やらごそごそと何かを探している。
そして俺は何も出来ずに様子を伺うしか出来ない。
このままじゃ何も出来ない……
そして数分後、人影が動き出した。
あれ?
その横顔は委員長に似ていた……というか委員長!?
俺は真意を確かめるためにその姿を追おうとした。
だがその人は急いで部屋を出てしまった。
「あ!」
俺も急いで出口へ向かった。
ガチャガチャ
「し、しまった!鍵掛けられた!?」
どうやらこの部屋に閉じ込められてしまったようだ。
まずいな……この部屋に無断で入ったことがばれたら父に何ていわれるか……
怒られるのを覚悟して俺は探検することにした。
「それにしても広いな……」
多分全部見れないだろう。
しかしどうして武満はこの部屋にこだわったんだ?
俺がキョロキョロしながら歩いていると足に何かが引っかかった。
「うわっ!本が!」
本に躓いた俺はそのまま前の本棚に寄りかかった。
「っとっとっと……」
しかし勢いで本を押してしまった。
カチッ
「え?」
今何か変な音がしたような……
ゴゴゴゴゴ……
「ええええええ!?」
突如目の前の本棚が動き始めた。
「な、何だよ一体……」
本棚が動いたために目の前に階段が出来た。
「これって隠し階段なのか?」
俺は前に進んで隠し階段に向かって歩き出した。
カチッ
「え?」
ブーブーブー!!
警報が突如鳴り響いた。
「えーー!?今日の俺ってハプニングキング!?」
急いで隠し階段に入った。
そしてしばらくすると後の本棚が閉まった。
中々精巧な造りのようだ。
「って俺出れない!」
っと思ったけど、警報鳴ったからそのうち誰か来てくれるか!
俺はポジティブに考えて隠し階段を下りた。
「うわあ……何だか秘密結社の基地みたいだな……」
俺は意味不明なことを考えながら先を急いだ。
真っ暗なため、足元には充分注意しなくては。
というかここで肝試しをやったらやばいかも。
「懐中電灯なんて用意してねえよ……」
俺は壁伝いに歩いた。
そしてようやく階段が終了した。
「どれだけ降りたんだ?結構長かったような……」
俺はさらに前へ進む、壁伝いに。
「ん?」
そのとき手に何かが引っ掛かった。
「何だこれ」
俺はそれを押してみた。
カチッ
「ってまたスイッチかよ!!」
俺は次何が起こるか分からないので、目を瞑って身構えた。
「……」
しかしいつまで経っても何も起きない。
「……」
俺は静かに目を開けた。
「あ、明かりか」
どうやら単なる電気のようだ。
脅かしやがって……
俺はキョロキョロ周りを見ながら先に進んだ。
「ふ〜ん。こうなってたんだ」
内装はやはり豪華だった。
こんなところにも手を凝らせるとは……抜け目が無いな。
俺が先を進んでいると、目の前に取っ手の無い巨大な扉が現れた。
多分押し開ける扉なのだろう。
「デ、デカッ……」
見るからに何かありますって言っているようなものだ。
だが……
「ここには何も無さそうだな……」
俺の勘がそう告げているのか、武満が俺にそう言っているのか知らないが、そんな風に感じた。
それに何だか罠の雰囲気もする。
俺は引き返すことにした。
「はぁ……」
ため息をつきながら下を向くと何かの模様が見えた。
「何だ?この変な模様は」
俺は少しそれが気になった。
「まさか……」
俺は電気を消してみた。
「やっぱり!」
電気を消すと先ほどの変な模様が浮かび上がってきた。
その模様は光を吸収するらしく、暗くすると光るようになっていたのだ。
「これを辿っていけば……」
俺はその模様の先の何の変哲も無い壁の前まで行った。
「あれ?」
俺は壁を調べてみるが中々分からない。
というか何も無いのかも。
早くしないと模様が消えてしまう。
俺は天井を見上げた。
「あ」
なんと天井に模様が浮かび上がっていたのだ。
これはまさか……!
俺はその模様の先を見た。
「鏡?」
そこには鏡があった。
「何で鏡が……」
俺はその鏡を調べてみるが、全然分からない。
本当にここに何かあるのか?
まあありそうな雰囲気を醸し出しすぎだけど。
俺は仕方なく明かりをつけることにする。
「はぁ……ん?明かり?」
俺はもう一度鏡を見た。
「まさか……!」
俺は先ほどの巨大な扉のところに行ってみた。
「この部屋には何も無いかもしれないけれど……この扉には何か秘密があるんじゃないのか!?」
でなければこんな無駄に巨大にしないだろう。
俺は静かにその巨大な扉を引き開けた。
取っ手の無い押し扉の開け方は片方を少し押し開ければもう片方が引ける……といった感じの簡単な原理だ。
そしてやはり引き開けることが正解か、そんなに引くことが重労働ではなかった。
「やっぱり無駄にでかいな……」
部屋は大した広さではない。
しかし暗いし罠があるかもしれないので、俺はその部屋には入らない。
「で……」
俺はその巨大な扉を限界まで引き開けて、裏を見た。
「やっぱり……」
その巨大な扉の裏は鏡だった。
押し開けると気づかない造りとなっているのがさすがというところなのか。
「とにかくこれで俺の予想が当たってれば……」
俺は再び電気を消した。
すると先ほどの天井の模様が鏡に行き着かない。
正確には巨大な扉の鏡がその模様の光を遮って反射しているのだ。
「あの鏡はダミー。この鏡が正解」
俺はその巨大な鏡で反射した光をもう片方の巨大な扉の鏡に差すようにした。
「そして……」
俺はその反射された光が差された鏡の位置まで歩いた。
そしてその巨大な鏡の扉を開閉させて動かした。
もちろんそれでその鏡から発する光の筋が左右に動く。
こうしているとどこかの位置で何かが起きるはず……!!
「あった!!」
俺がそう鏡を動かしていると、とある位置で光を受けた壁に何かが映ったのだ。
「あの壁に何かある」
俺はその壁まで歩いた。
そして手探りで壁をなぞった。
「保護色……だ!」
やはり何かがあった。
「これは……ロック解除の装置!?」
どうやら何かのロック解除の装置らしい。
暗証番号と眼球照合がある。
「眼球は多分大丈夫だろ。問題は……」
暗証番号は……9桁のアルファベットと数字。
「無理すぎる……ん?」
そのとき俺は頭に何かが閃いた。
「まさか……アルファベット9文字って……」
俺は感じるがままにアルファベットを入力する。
……ロック解除だ!
入力したアルファベットは……TAKEMITSU。
「やっぱり武満に関連してる何かなのか!?」
俺は眼球照合もして完全にロックを解除した。
ゴゴゴゴゴ……
「今度は何だよ……」
俺はこれから起こる出来事にもう驚かない。
何せ現実味が無いからだと思う。
まさかこれって実は夢!?
俺は頬をつねってみるが痛みを感じた。
「現実だ」
俺は急いで電気をつけた。
「うわ……」
床のレリーフが裂けて階段になっていた。
「またこれかよ……一体どれだけ費用懸けてるんだか……ダヴィンチ○ードじゃねえぞ」
俺はそのまま階段を下りることにした。
俺はこの階段を気軽に降りるべきではなかったことに気がつかなかった。
そう、この後俺に何が起こるのかを全く予想しなかったのだ。
この選択が俺の運命をまた……変えたのだ。
Mai SIDE
ブーブーブー!!
「何!?」
私は突然聞こえたサイレンに飛び起きた。
さすがの私もここまでうるさいと起きてしまう。
「どうしたのかしら?」
「マイ様!」
「夕陽!」
突然夕陽が私の部屋に入ってきた。
随分慌てているようだ。
「この警報は先ほど私が潜入した書庫の警報らしいです!」
「えっ!?」
私がこの子に書庫に潜入するように頼んだのだ。
しかし警報が鳴ってしまったとは……
一応父の所まで行こう。
私は夕陽と共に父のところに行った。
「マイ!お前何かしたのか!?」
会って早々私にすごい顔で詰め寄ってきた。
こんなに動揺している父は見たことが無い。
「私は夕陽に命令しただけです。書庫の秘密を探れ、と」
「それで!!夕陽は!?」
父の動揺ぶりは火を見るより明らかだった。
「夕陽、何があったか説明して」
私は夕陽を呼んで父のところまで連れてきた。
「はい、私は書庫に入りました」
「それだけでも本当はいけないんだがな」
父が厳しい目で私を非難する。
やはり何か秘密が隠されているに違いない。
「ですが目ぼしい物もなく、すぐに出ました」
「すぐに出た、だと?」
「はい」
父の顔が蒼白になる。
「マズイぞ……侵入者がもう一人いる……」
「え?」
私は訊き返す。
「あの書庫の奥に入った者が……」
「その書庫に奥なんてあるの!?」
私は父の言葉を聞き逃さなかった。
「カイはどこだ!?」
父は突然カイを探し始めた。
「カイ様がどこにもいません!」
高橋さんが大声出しながらこちらまで走ってきた。
「何だと!?さ、最悪だ……」
「カイだと何かまずいの!?」
私は平静を装うことは出来なかった。
「マズイ……あいつは最後まで行ける……やばい……あいつは真実にたどり着けるぞ……」
「ねえ真実って何!?何の真実!?何でカイなの!?」
私の問いに父は答えなかった。
「マイ、夕陽、特別にお前達を書庫の奥に連れて行く。カイを連れ戻すぞ」
私と夕陽は父に引っ張られながら書庫の中へ入っていった。
Kai SIDE
「全くすごいな……皇家っつうのは。さや先輩の家にもこんなものあるのかね〜」
俺は階段を降りながらそんなことを言った。
言わずもがな、独り言である。
「おっ」
俺は階段を降り終わって前へ進む。
しかし何故か足が重い。
「何だ?疲労か?」
最近ドタバタしてたしな、肩肘も張って。
俺は広間へ出た。
「な、何じゃこりゃ〜〜〜!!!!」
円形の広場で俺が見たのは数え切れない扉の量だ。
「100以上ねえか!?」
俺は悟る、ほぼ全てが罠だと。
正しい扉は只一つ。
「しかもすべて同じ扉かよ……」
この場を一歩でも動いたら帰れなくなるかもしれない。
まあ帰る扉がわからなくなるということだ。
しかしこのときの俺は何かが覚醒していたのかもしれない。
迷わずに扉を選べた。
これも武満の力のおかげなのかもしれない。
「さて……」
俺はとある扉を開けた。
ギイイッ……
何だかすごく古臭い扉なのだが……まあいいか。
俺はその部屋に入っていった。
その好奇心が俺の人生を変えることにも気づかず……
「ん?何かと思えば1冊の本しか無いじゃん」
俺はその本に触れた。
ドクン
「!?」
その瞬間俺の中を激しい何かが駆け抜けた。
俺の心が告げている。
これに触れるな、と。
俺の頭が告げている。
この本を開けろ、と。
そんな相反した思いが俺の中に生じる。
「何だ……?一体何なんだ……?」
俺はこの感覚から早く逃げたかった。
だから俺は……本を開けてしまった。
刹那……俺の頭の中に何かが詰め込まれる感覚に陥った。
「何で……?」
俺はその場に崩れ落ちた。
Mai SIDE
私は父に連れられて初めて書庫の中に入った。
そこにはたくさんのトラップがあった。
まさかカイ一人で全てクリアしたのかしら……?
正確にはそうでないのだが、今の私はそう感じた。
「ここも……突破したか……」
父が徐々に険しい表情になっていく。
「あの、この先に何があるんですか?」
夕陽が父にそんなことを訊いた。
「この先にあるのは……皇家の真実……生い立ち……そんなものだ」
「え?」
私と夕陽はこの父の発言を理解できなかった。
そのまま父と私達は先に進んでいく……
そして……
カイを発見した。
すでに真実にたどり着いた、倒れているカイを……
その傍らには一冊の書物……
「皇幸成の手記?」
「そうだ、そこに全て書かれている。真実を。我々が皇幸成の血を引いていないことを」
「!?」
父の発言を皮切りに私は本を開いたのだった。
Kai SIDE
気がつくと町中に立っていた。
正確に言うと現代の町中ではない。
江戸時代の町中だ。
俺はまたここに来てしまったのか……と思った。
別に悪い気持ちは無いが、あまり気持ちのいい光景を見せられたわけじゃないからな……
少しだけ胸が痛む。
俺は歩き出す。
すると前方に武満が。
ああ、江戸時代の武満であって今の武満では無い。
武満は俺と擦れ違いざまに頭を少し下げた。
俺も頭を下げ返す。
……この光景はまさか……
ここは武満の記憶じゃなくて……幸成の記憶だ!!
俺は幸成の記憶世界に来てしまった。
全てが終わるのか。
全てが始まるのか。
答えを知るのは武満が恨む神だけなのだろうか……
終わりが見えてきました。
しかしまだ何話で終わるかは分かりません。
それにしてもミステリーは難しい……




