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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第三部 飛翔
76/104

第58話 脱出へ生徒会

あらすじ

…とは言っても毎日更新しているので必要ないかもしれませんが。

俺は自分の居場所が分からない。

自分の気持ちも分らない。

俺はどうすればいい?

俺の居場所はドコだ?

しかし考えるまでも無い。

俺の居場所は、生徒会にあるんだ。

俺は部屋を飛び出した。

目的地は唯一つだ。

俺は当主室の目の前まで走った。

コンコン

「誰だ?」

「カイです。失礼します」

俺は初めてこの部屋に足を踏み入れた。

「どうした?そんなに慌てて」

不思議そうな顔で俺を見る元父親。

「俺は決めました。俺は、ここには戻りません!」

「理由を聞こうか」

あいつの目が光った。

情けないが、一目散にその目から目を背けて逃げたかった。

油断してると体が震えてきそうだ。

「それはここで手に入れたものより、蛟刃カイとして手に入れたものの方が多いからです」

「ほほう。それで?」

「俺の居場所はここじゃない!生徒会だ!」

俺は言い切った。

ここまで父に啖呵をきったのは初めてである。

「ふん。なるほど。マイの言った通りと言うことか」

「は?」

「いや、何でもない」

今さり気なく姉さんの名前が出てきていなかったか?

「それよりもカイ、電話で話したことを覚えているか?」

「は?」

電話って確か少し前の…

「あのとき私はお前に壁を破壊する武器があると言ったであろう?」

言ったかな?

言ったような、言ってなかったような……

「その武器がこちらにある限りお前はここに戻るしかなくなる」

「どういうことだ?」

俺はこの父親の言っていることの意味が分からなかった。

「まあいい。付いてこい」

俺は言われるがままに付いて行った。

「当然俺を帰してくれるんでしょうね?」

俺は念のために訊いた。

「さて、何を言っているのかな?」

「え? どういうことだよ!」

「私はここにいてもらうと言っただけで拒否したら帰らせるとは言ってないぞ」

「な……!」

卑怯な手段だ。

俺をどうする気なんだ!

「お前達。後は頼むぞ」

『はっ!』

そう当主が俺に言うと俺を拉致してきた黒ずくめのSPがやってきた。

「クッ……」

そしていつのまにか当主はいない。

しかもあたりを見渡すと10人ほどのSP。

圧倒的不利である。

「でも……俺は帰らなきゃいけないんだ!」

俺はSP達と戦闘を開始した。

しかしすぐに拘束され、睡眠薬を打たれた俺は意識が朦朧とする中でさや先輩を心に描いた。



Hanabi SIDE

留守のカイの家に現れたのはカイではなく、カイのお姉さんであるマイさんだった。

「マイさんは一体どうしたんですか?」

「カイを探しに来たの。でも一足遅かったようね……」

『え?』

マイさんも知らないんじゃあカイはどこにいるのよ……

ん?

「一足遅い、ってどういうことですか?」

私も気づいたことだが先にレイに言われた。

「カイはね、皇家にさらわれたのよ」

「ええ!? じゃあマイさんも関わってるんじゃ……」

この人を信用できるのか?

マイさんの発言に少し彼女を疑ってしまった。

「いやいや、そんなわけないだろう。カイは多分マイさんに勘付かれないように連れ去られたんだろう」

俊哉君がわかったようなことを言う。

でもカイに関することだとほぼ的を得る。

「そうよ。私と父はそんなに仲が良くないから」

初耳だ。まあ知ってたらやばいけど。

「いつ帰ってくるかとか分かるんですか?」

「分からないわね。でも探りを入れれば何とかなるかもしれない」

こうしてマイさんはカイを連れ戻すために皇家に戻ることになった。

「クリスマスパーティまでには間に合わせるから!」

『ありがとうございます!』

クリスマスパーティまでに何とかしてくれると言ってくれたので心強く感じた。

「じゃあね」

マイさんは短く私達にそう告げて車で出て行った。

さて、私達はどうしよう……

「ねえ。私達はどうする?」

「もちろんパーティの準備よ」

レイが何食わぬ顔で発言する。

「うわぁ……」

めんどくさそうだ。

そして今日、私達は解散した。



Kai SIDE

おい。

あたり一面真っ暗じゃないか。

まさかまた目隠しでもされてるのか?

「聞こえるか」

「武満!? どこだ!?」

俺は武満の声に周りを見渡した。

どうやらこの世界は俺の中の世界らしい。

「ここだ」

そして禍々しい刻印を刻んだ男が俺の前に現れた。

「一体何の用だ?」

「何の用、だと?」

武満が俺を少し睨んだ。

「何故皇家に戻らなかった?」

「え?」

俺は武満に何でそういわれなければならないのか分からなかった。

「今のお前は皇家の人間じゃない。つまり俺がお前の中にいる意味など無い」

「じゃあ何で俺の中にずっといたんだよ」

「お前が家に戻るものだと思っていたが……甘かったか。あの女め」

武満は苦々しい顔をした。

いや、待てよ……なんか矛盾が無いか?

こいつは思念を移らせれば他のやつの中に入れると言っていた。

つまり何回も俺の外を出るチャンスがあったんだ。

何故しなかった?

答えは決まった。


武満は俺から出ることが出来ないんだ。


「ハハハ……」

「何だ?」

「いや、何でも」

考えてみたら何て単純なことだ。

もし思念を移せたら父が俺に思念を移すわけないじゃん。

どうして姉さんに移らなかったのか……

あれ?おかしいぞ。

まさか女性に思念を移すことが出来ないのでは?

うーん……分からん。

まあとにかく今コイツは俺から出られないと分かったことだけでもよしとしよう。

「何だ。突然笑い出して。気持ち悪い」

「世間一般ではお前の方が気持ち悪いんじゃないか?」

「一般論を持ち込む必要がどこにある。おっと、こんなことを話している場合じゃない」

ん?まだ何かあるんだろうか。

「お前、突然止まったな」

「は?」

「あ、目的語を言い忘れた。お前は突然応接間に向かっている途中に止まったな」

「え?ああ!そうだな」

俺は何の変哲も無い扉の前で止まったのを思い出した。

「どうしてだ?」

武満が俺に疑いの目を向ける。

「う〜ん……何でかな?」

「お前、その扉の中に入れ」

「え?どうして?」

俺は武満がどうしてそんなことを言うのか分からなかった。

「その先に何かがある……かもしれない」

「何だよ。お前らしくないな」

「そうだな」

素直に認めるなんて本当に武満らしくない。

「お前……」

「ちっ……タイムオーバーか」

「へ?」

俺が言葉を告げる前に武満が俺に何か言った。

そしてからだがスッと軽くなった。

「本当に力が弱くなった……」

最後にそう言って武満は消えた。

俺も意識を失った。



「ぐ……」

俺はあまりの寒さに起きた。

「何だここ?」

俺がいた場所は真っ暗な部屋だった。

一応俺はベッドの上に横になっている。

しかし暖房が入っていないためにかなり寒い。

「まさかここって……」

俺はこの部屋に見覚えがあった。

入ったのは初めてであるが、確か独房だ。

「皇家の独房ねぇ……」

俺は軟禁状態に陥っているらしかった。

「はぁ……今何時だよ……」

これじゃあクリスマスパーティに行けそうに無い。

携帯も取られちゃったし、連絡も出来そうにない。

俺ってここで年越すのかな……

ガチャッ

「!」

俺は入り口を見た。

「気分はどうだ?」

「最悪だ」

入ってきたのは俺をここに閉じ込めた張本人。

「気分は変わったか?」

「全然。ていうか何でそこまでして俺に戻ってきて欲しいのかが分からない」

「お前には関係の無いことだ」

「いや、あるだろ!」

俺は生徒会での経験によってこの人とまともに話せるようになっている。

「まああるな」

「どっちだよ!?」

あ、ツッコミみたいになってしまった……

「じゃあお前の姉は何を望んでいると思う?」

「え?姉さん……?」

どうしてここに姉さんが出てくるんだ?

「お前に戻ってきて欲しいと思っているのではないか?」

「姉さんは……」

姉さんは俺のことを愛してくれていると思う……

ということはまさか姉さんもそれを望んでいるのか!?

でも……

「姉さんは俺を無理に戻らせない!姉さんだったらまず俺の意見を尊重してくれる!」

「ほほう……随分と信頼しているな。マイを」

「は?」

何か嫌味っぽい言い方をする俺の父親。

「アイツが一番要注意なんだよ」

「何を言っている?」

「お前にある一つの真実を教えてやろうか」

「!」

俺達の周りの空気が変わった。

何を言おうとしているんだろうか。

「マイが、お前の勘当を提案したんだ」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

俺の心に亀裂が入った瞬間だ。



Toshiya SIDE

俺達はマイさんを信じて今はクリスマスパーティの準備をしている。

まあカイがどこに行ったのかがわからないのはかなりの不安だ。

そして俺はあることについて考えていた。

「さや先輩」

「何かしら?」

……いつもと同じに見えるはなびちゃんとさや先輩のやり取り。

でも何かが違う。

みんなもそれに気づいているのだが、よく分からない。

さや先輩に違和感を感じるのに。

俺は目を前に戻して食器の整理を再開した。

ピシッ

「!?」

しかし俺の目の前にあるカイの愛用コップに突如ヒビが入った。

俺はいきなり不安な気持ちになった。

「それ、カイのコップよね?」

レイちゃんが俺に話しかけてきたが、それどころじゃない。

いや、レイちゃんも少なからず不安に思ったはずだ。

カイに何かあったかもしれない、と。



Kai SIDE

俺はアイツの言ったことが信じられなかった。

姉さんが俺の勘当を?

俺はすでに一人になった部屋でそんなことをもう何日も考えていたのだ。

姉さんが俺にそんなことを……?

待て。よくよく考えてみよう。

俺と姉さんの繋がりを断つための作戦なのかもしれない。

そうだ、奴ならやりかねない。

アイツと姉さんの一体どっちを信じる?と訊かれたら俺は迷わずに姉さんを選択するのだろう。

でも俺は疑っている。

心のどこかで姉さんを疑っているのかもしれない。

クッ……ダメだダメだ!

もう考えるな。俺は姉さんを信じるんだ!

ガチャッ

「!!」

俺はこの独房に入ってきた人影を見た。

「お久しぶりですね。カイさん」

「委員長!」

「シッ。マイ様の命令によりお迎えに上がりました」

「ね、姉さんの?」

何てタイミングの悪い登場だ……

「今一応SPの方々には眠ってもらっています。さあ早く日本に帰りましょう!もう23日ですよ!」

「マジかよ!」

俺はこんなに日付が経ったのが分からなかったほど考え込んでいたらしいな。

「さあ!」

「あ、ああ!」

俺は姉さんを信じるんだろ!?

こんなことでどうする!



俺は一歩前に進んだ。



Mamoru SIDE

「衛、分かっているな」

「ええ」

さやの婚約者である初河崎衛が自らの父と会話している。

「必ず蓮見家との縁談を成功させましょう」



To Be Continued……



次回予告


委員長の活躍によって窮地を脱出したカイ。

しかしクリスマスパーティまで日付がほとんど無い。

カイは間に合うことが出来るのか!?

次回「積もらない雪は生徒会」


書き溜めが無いので今必死に作っています。

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