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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第三部 飛翔
75/104

第57話 居場所は生徒会

〜あらすじ〜

突然皇家に呼び出された俺。

目的は俺を皇家に戻すことだった。

俺の選択は……?


俺はあらかじめ充てられた部屋の中に入った。

そこは昔の俺の部屋にそっくりだった。

まさか姉さんが残しておいてくれたのかな?

そう思いながらベッドに横になった。

今日はすごい一日だったな……

そういえば真里菜先生怒ってるかもな〜。

俺は電池切れの携帯を見た。

「はぁ……」

充電器は家の中にある。

これでは連絡も出来ない。

俺は目を瞑った。

すぐに睡魔が押し寄せてきた。

あれ?結構寝たはずなんだけどな……

俺はそのまま意識を睡魔にダイブさせた。



夢の中にさっきの光景が甦ってきた。

「すぐに答えの出る問題でもないだろう。期日は長くやる。それまでお前にはここにいてもらう」

「……」

これが俺とあの人の結んだ約束。

俺は静かに部屋を出た。

夢は……ここで終わった気がする。



「……さい」

ん?

「……て……ださい」

ん〜?

誰かに揺すられている気が。

「起きて下さい」

「あ?」

ああ、起こされてたのか。

「ふあ〜あ……高橋さんおはよう……」

「今は夜ですよ、坊ちゃま」

「え?あ、ああそうか」

時差の関係で時差ボケになってしまったようだ。

「お夕食の準備が出来ました」

「ありがとう」

「坊ちゃま。お帰りなさいませ」

「え?あ、えーと……」

こういうときは何ていったら良いのだろうか。

「あ、ごめんなさい。坊ちゃまはこの家がキライでしたね……」

「あ、嫌いって訳じゃ……」

調子狂うな……

「私は……坊ちゃまには帰ってきて欲しいです。失礼いたしました」

「あ……」

そう言って高橋さんは退室した。

……今のは当主に言わされたわけじゃないよな?

はぁ……

マジでどうすりゃいいんだよ。

正直こうなるなんて予想してなかったぜ。

そういえば姉さんは?

さっき高橋さんに訊けばよかったな。

ま、今は飯を食うか。

「よし!」

俺は勢い良く立ち上がって……

「イッテ!!」

足の小指をクローゼットにぶつけた。

「痛い!」

これって激痛はしるよね。

そう思いながら床を数秒間転げまわった。



俺が食堂に入ったとき、食卓には豪華な料理が並んでいた。

「うわあ……」

正直こういうのってあんまり好きじゃない。

「あれ?」

俺はあることに気づいた。

「何で二人分?」

答えはすぐに隣の高橋さんから返ってきた。

「今日は折角当主様と坊ちゃまが揃ったところなので、家族水入らず、ということだそうです」

「あ、そうなんだ」

余計なことをしてくれたな……

それにしても当主殿は何をしているのか。

中々来ない。

「あの、当主は?」

「当主様なら……あ、今こちらにいらっしゃいました」

「待たせたな、カイ」

「別に」

この人と二人になるなんて嫌だな。

そんなことを俺は思った。

「では早速いただこう」

「いただきます」

まあ礼儀なのできちんと挨拶して俺達は料理を食べた。

マナーのため、私語は一切無かった。

しかしこの人との会話なんてネタが無さ過ぎて何を話せばいいのか分からないけどな。

俺は舌鼓を打ちながら完食した。

「ご馳走様」

「ご馳走様でした」

ほぼ同時に食べ終わり、それと同時に使用人たちが入ってきた。

ガチャガチャと出来るだけ言わせずに使用人が片付けているときに父の顔を盗み見た。

しかし特に変わった様子も見受けなかった。

さて、どう来るかな?

「……お前が補習にかかっていると聞いた」

「へ?」

つい間抜けな声を出した俺。

「しかもテストに名前を書き忘れたらしいな」

「……」

告げ口された。

あと足の小指が痛い。マジで。

「まあ人生そんなこともある。しかし皇家の者がそれでは困る」

「いつから俺が皇家になったんですか?」

「おっと、私はお前は帰ってくると読んでいたんだが、違うのか?」

コイツ…白々しい演技しやがって。

「姉さんはどこですか?」

俺は会話の流れを変えようとした。

「マイか。マイは清美と一緒に別荘に行ってる」

「別荘?」

そんなものまであるのか。

こんな豪邸の2つや3つくらい持ってるんだろうな。

「姉さんは俺がここに来てること知らないんですか?」

「ああ。清美もな」

そっちはどうでもいい。

「私の独断でお前を連れてきて、勝手に戻って来ないか?と誘っている」

そうか。全てコイツの仕業なのか。

いやいや、なんかこの人の掌で踊らされてる、と考えると何かムカツキますねえ。

「さて、折角アメリカに来たんだ。行きたい場所は無いか?連れてってやるぞ」

「物で俺を釣るんですか?」

「ふっ。そう考えているうちはまだまだお前も子供だな」

意味分からない。

あと足の小指がまだ痛い。

「さて、一応真剣に質問しているのだ。真面目に答えてくれ」

「特に無い。早く帰りたい」

「ハハハ。出来ぬ相談だな。しかしまあ答えが出なくてもいずれ帰らせるつもりだ」

「え?」

俺は訊き返した。

「学校、3学期があるだろ?」

「あ、そうだな」

どうやらそこまで非道では無いらしい。

……ん?

と、いうことは冬休み丸々潰れるじゃねえか!!

しかもクリスマスパーティにも行けないじゃねえか!

「クリスマス・イヴまでには帰りますから」

「ではそれまで答えを出しておくんだな」

「失礼します」

俺は席を立って自分の部屋に戻った。

……でも小指の痛みは取れなかった。



Hanabi SIDE

「もう!カイったら電話になんで出てくれないのよ!!」

はなびです。

生徒会のことでカイに仕方なく電話を掛けたんだけど、なぜか出てくれない。

「家にもいないし、携帯は切られてるし」

はぁ……とため息でもつきたくなるわ……

仕方ない、咲に掛けるか。

プルルルル……

ガチャッ

「もしもし?どうしたの?こんな遅い時間に」

「カイの場所知らない?」

「カイ?知らないけど、どうかしたの?」

咲も知らないらしい。

「何か連絡つかなくて」

「え?そういうこともあるんじゃない?」

「まあそうだけど。こんなこと一度も無かったもん」

実は少し不安。

まさかカイに何かあったんじゃないか、とか。

「そうねえ……俊哉君に訊いてみたら?」

「うん。そうする」

ピッ

カイは私より俊哉君のことを信頼してるのよね……

何か複雑な気分。

ということで俊哉君に電話を掛けることにした。

プルルルル……

ガチャッ

「もしもし。はなびちゃん珍しいね。俺に用なんて」

「あ、夜遅くにごめんね。カイが今どこにいるか知ってる?」

「え?カイ? 家に帰っていないのか?」

俊哉君の声色が変わった。

「うん。何か電話してもチャイム押しても出てこないの」

「どうしたんだろうな。俺もカイの家に行ってみる」

「でも鍵はどうするの?」

「その心配は無用だ」

「え?」

私は妙に自信のある俊哉君の発現が気になった。

まさか合鍵でも持っているのだろうか。

……でも男同士が鍵を持っててもね……なんか違和感が。

そして夜9時を過ぎたにもかかわらず私と俊哉君とレイはカイの部屋の前に集まった。

「で、どうしてレイが?」

「私の得意技、ピッキング」

「え?」

詳しくは第19話を参照しよう!

「メタコロス!」

「「え?」」

「あ、何でもない」

参ったな。変な電波を入手しちゃってつい変なことを口走っちゃった。

「まあいいわ。今から開けるから」

カチャカチャカチャッ

「はい。開いたわ」

レイがかなり手早くピッキングを成功させてドアを開けた。

私達は息を飲んで部屋の中に入った。

「失礼しま〜す……」

予想通り部屋は真っ暗だった。

どう考えてもここにカイがいるとは考えにくい。

「で?とりあえず電気点けるわよ」

レイが電気のスイッチを探し当ててスイッチを入れた。

すぐに室内が明るくなる。

「……いないな。それに、妙に部屋が綺麗だ。アイツ、家に帰ってないかもしれない」

「ええ!?」

じゃ、じゃあカイの奴は一体どこへ行ったのよ!?

「……昨日の夜は私とナナちゃんと一緒にオアシスにいたわ」

「と、いうことは少なくとも昨日の夜、オアシスにはいたんだな」

私は二人の会話が耳に入らない。

今はカイの居場所が知りたかった。

「ようするにカイが消えたのは昨日の帰り道の途中と言いたいのね」

「ああ」

ガチャッ

「「「!?」」」

私達は一斉に物音がした玄関の方へと目を向けた。

「シッ。何が起こるかわからない。息を潜めろ」

「……」

「ん〜〜〜〜〜〜」

私はレイに口を塞がれて呼吸が出来ない状態になっている。

「ぐるじ〜〜〜」

じたばたしてもレイは手を離してくれなかった。

ガチャッ

そのとき、ドアが開いて人影が見えた。

私達はすぐに身構えた。

しかし、それはすぐに解かれた。

「あれ?はなびちゃんに俊哉君とレイちゃん。どうしたの?」

「「「マイさん!?」」」

そこにいたのはカイのお姉さんのマイさんだった。



Kai SIDE

俺はどうする?

皇家に戻れば多分将来的にプラスになる要素がある。

しかし……多分日本にはいられない。

俺は……

こうして昔の思い出を俺は思い返した。

生徒会に入ったこと、副会長に当選したこと、みんなで合宿に行ったこと、文化祭、……数え上げるとキリが無いほどの思い出の数々。

……俺はバカだ。

答えは始めから決まっていたじゃないか。

俺の居場所は皇家じゃない。



生徒会だ。





次回予告


カイの導き出した答えは正しいのか。

それとも間違っているのか。

そんなカイに苦難が訪れる。

次回、「脱出へ生徒会」(予定)

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