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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第一部 日常
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第5話 冷たき心と生徒会

仮タイトルは「溶けない氷」


今回最後はシリアスです。


雨が降りそうな天気の4月の終わりの今日。俺はいつもと同じく早起きして、はなびを起こしに行き、はなびと共に朝食を食べた。そして学校に行って教室に入った。

「おはようさん。」

「おはよう。」

「おはよう。俊哉君。」

はなびと二人で俊哉に挨拶する。そして俊哉と下ネタトークなどをして盛り上がるのが普通だ。しかし今日は違う。

「おはよう、風見さん。」

そう、俺は初めて俺の左に座る転校生の風見レイ(詳しくは第2話)に挨拶をした。彼女のことで俺ははなびともめたりするなどあまりいい思い出はないが挑戦する。それは一体何故か?

それは昨日のこと・・・



「はい、注目!」

その日のHRで委員長こと城凪夕陽が教壇の上に立った。ちなみにもう一人の委員長である古賀まことは黙々と黒板に文字を書き始めている。

そこには「光芒学園球技大会」と書いてあった。そういえばもうそんな季節だったな。去年俺出ていないからよく分からないけど。

「では今日は球技大会の種目を選んでください。絶対一人一つ選んでください!」

そういいながらプリントを回し始めた。委員長が声を張り上げるのは無理もない。無断欠席一人につきポイントがマイナスされるのだ。かくいう俺は去年出ていないからクラスのみんなに迷惑をかけた。そして正直何があるか分からない。

「なあ俊哉。お前どうする?」

一応俊哉に聞いてみる。

「俺はバスケにするつもりだけど?」

俊哉はさも当然のように言ってくる。そういえばこいつは身長185ぐらいあったな・・・とか考える。

そして一応俺もバスケにした。はなびはバレーボールにするらしい。隣の風見さんを見てみると空白だった。そしてそのままプリントを丸めてバックの中に入れてしまった。

「ちょ、ちょっと!」

つい俺が声をかけてしまった。

「何?」

「いや、何で空白なのかな、と。」

「人のを見たの?非常識よ。」

冷たく俺を突き放すとそのまま帰り始めた。

「ちょ!帰るのかよ!」

そのまま俺を無視して教室から出た。

「蛟刃。ほおっておけよ。」

「そうよ。気にすることないって。」

風見さんの友達いらない宣言以降クラスの雰囲気が悪い。そして特に風見さんに対してはみんなきつい態度を取っている。まあ俺や俊哉やはなびは違うけど。

「委員長。いいのか?」

仕方なく俺は委員長に助けを求める。

「クラスの雰囲気を乱す人なんて知りません!」

結構お冠のようだ。しかし古賀は何とも思っていないのか?本当に無口だな。だが俺はこれを言わなければ。

「でも確か無断欠席があるとポイントマイナスされるんですよね?」

「はうっ!!そうでした!」

忘れていたのかよ!ていうかちょっと可愛い反応してんじゃねえ!お前サブキャラじゃねえか!

「サブが目立ってはいけないと言う法律は無いのですよ。」

ナナちゃんが俺にそう告げた。・・・・・・ナナちゃん?

「何でここにいるの!?」

「用事は終わりました!さらばです!」

シュタッ!

そういって人間業じゃない動きで俺の視界から消えた。

「やるな〜。ナナちゃん。」

「俊哉!感心するところじゃないだろ!?」

呑気な俊哉につっこむ。って俺も呑気だな・・・

「みなさん!風見さんを強引にでも出させましょう!」

委員長はみんなに大声で提案した、しかしクラスメイト達の反応は酷かった。

「いや、別にどうでもいいし・・・」

「勝っても何もねえじゃん。」

「あの子と一緒にスポーツやるよりは負けでもいいよ〜。」

まさかのやる気ゼロだった。金八先生もてこずるなこりゃ。

「ええ!?そんなこと言わずに!」

委員長は必死だった。

「勝てばみんなで喜び味わえますから!」

「そ、そうよ!せっかくやるんだから勝ちに行きましょう!」

はなびが委員長を援護した。え?何で俺が何もしないかって?それはいつのまにか背後にいた真里菜先生に絡まれているからです。ていうかこの状況何とかしろよオイ。教師だろうオイ。

「カイがもう少し小さかったら・・・萌え。」

「ええ!?アンタショタコンかよ!?」

「どっちかというと・・・でもカイは好みよ?」

うわあ止めてくれ・・・なんでこんな美人にそんな事いわれて寒気しかしないんだーーーーー!!

「って先生!これどうにかしてくださいよ!」

「ああ・・・・無理だな、」

「諦めるの早!もっと踏ん張れよ!」

結局真里菜先生は何もしてくれなかった。

その間に一応協議が終わったようだ。

「なあ俊哉。どうなった?」

「ああ、はなびちゃんが加勢してから一応納まったな。んでちゃんと練習もするらしいぜ。」

「何だ。一応OKか。」

少しほっとした。そしてさすがはなび。委員長より人徳あるなんて委員長可哀想だな・・・と思い委員長に目を向けると心底安堵した表情をしていた。何だ、気にしていないみたいだな。

「はあ・・・でも勝つのは絶望的かも・・・」

突然はなびが弱音を吐きながら俺のところまでやってきた。

「何で?」

「だって風見さんいないからマイナスは確定でしょ。あと相変わらず団結力ないし。」

「確かにそうだな。」

俺がうなずいて俊哉も同意した。

「何とかしなくちゃな・・・」



「別にどうでもいい。」

「え?」

会長に今日のことを相談するとそんなことを言いやがりました。

「だってあなたたち勝手に自滅するんでしょ?ライバル減って助かるわ。」

「な・・な・・・」

何ですと〜〜〜〜〜〜!!!!1

これは予想すべきだった。ていうかむしろ会長らしい意見だ。

「それにね・・・なんでも私を頼るのは止めなさい。」

「う・・・」

よくよく考えれば俺は会長に依存しすぎているような・・・

「別に決して私は頼られるのが嫌いじゃないわよ?むしろ好きだけど。」

「会長今のツンデレ・・・」

「黙りなさい。」

ナナちゃんが会長に余計なことを言う。ああ・・・この状況でその発言は無いだろ・・・空気読んでくれ。

「自分たちのことなんだから自分達でしなさい。それに私今年卒業なんだからそろそろ自立しなさい。」

「はい・・」

結局俺たちは会長の力を借りることが出来なかった。

途方にくれていると俺はあることを思いついた。

「キュッピ〜ン。」

「何それ。キモイわよ。」

はなびがそう言うが気にならなかった。

「いい事思いついたのだ!」

『え?』

二人の声がハモる。

「クラスの雰囲気を改善するんじゃなくて、風見さんが球技大会に出なければいけない状況を作る!っていうか風見さんと友達になれば問題ナッシングさベイベ!」

あまりにも興奮しすぎて自分でもキモイと思ってしまう発言をしたが今の俺は誰にも止められないぜ!ほら、はなびと俊哉が白い目で・・・・え?白い目?

「いや、カイ・・・それはないわ・・・キモイし・・・」

「友達になるって言ったって球技大会まで後少ししかないんだぞ?それに強引に出しても団結力は悪化するだけだ。」

はなびと俊哉はすぐさま俺の提案を却下した。しかも結構的を得ているのが悔しい。

「く・・・まさかここでバッドエンドとは・・・」

「はぁ・・・まあ無いこともないぜ?」

え?はなびもびっくりしている。俊哉は結構いい線いくかもしれないし期待する気持ちも分かる。

「風見さんを退学にさせる・・・もしくは正当な理由で欠席させる・・・というのは冗談で、ようは風見さんが言えばいいんだ。一緒に頑張りましょうって。」

「ああ、なるほど。」

最初の冗談の部分で殺したくなったけど何とか踏みとどまってよかった。

「でも具体的にどうするのよ。」

はなびが疑問に思うのは当然だろう。おれもどうすればいいのかわからない。

「カイ。お前だけだよ。あいつを理解できるのは。」

「え、俺?」

とつぜんの名指しはびっくりするだろう。

「昔のお前と同じ目をしていたんだから、救えるのはお前しかいない。友達じゃなくていい、理解者であれば。」

俊哉の言葉には妙に説得力があった。本当にこいつはかっこよすぎる。俺の親友にはもったいないくらいに。

「そうね・・・あんたしかいないのかも・・・救世主は。」

この前の喧嘩を思い出したのか、少々気まずい笑みを浮かべる。

「わかった。俺がやる。」

はなびにこんな顔されたらやるしかない。本当にはなびには甘いな俺。

こうして俺は決意したのだ。その考えが甘いとは知らず・・・



そして今に至る。

「おはよう、風見さん。」

出来るだけ極上の笑顔で挨拶する。

「・・・」

風見さんはあっけにとられてる。当たり前だろう、朝からいきなり笑顔で挨拶されるのだから。

「何たくらんでるの?」

「別に。ただ風見さんと友達になりたいんだよ。」

そういうとはぁ・・・とため息を吐くと

「友達ごっこはいらないって言ったでしょ?」

呆れながら言う。まるで馬鹿にしているようだがここは抑えなければいけない。

「ごっこじゃない、本当の友達になりたいんだ。」

俺は高らかに宣言した。しかし当の本人は全く動じていない。

「せめて屋上行かない?見世物じゃないんだから。」

はっと周りを見渡すとクラスメイトたちがニヤニヤしながら見ていた。

「わかった。」

こうして俺と風見さんは屋上へ行った。

「それで何だって?」

敢えてもう一度聞く。相手の神経を逆なでする効果的な方法だ。しかし俺は負けない。

「友達になろう!」

何度でも言うぜ!俺の気迫はマックスだった。だがそんな俺の考えは浅はかだったと気付かされる。

「アハ・・アハハハ・・・アッハハハハハハ!!!」

突然狂ったように笑い声をあげ始めた。

「何がおかしいんだよ。」

さすがに俺はこの反応は予想していなかった。

「分からない?じゃああなた何で友達になろうって言ったの?」

「え?」

おかしなことを聞く奴だな・・・とか思いながら考えてみる。確か球技大会に勝つために力が必要なんだったな、うん。・・・・・・!!!俺は気がついてしまった。

「分かったみたいね。あなたは私と友達になりたいんじゃないの。ただ単に球技大会で勝ちたいだけ。」

「!!」

俺は重大なミスを犯していた。有頂天になってて俺は気付かなかった。

「俺は・・・・酷い奴だ・・・・」

「今更そんなこと言ってもね・・・だからごっこは嫌なのよ。傷ついたのは相手なのに自分が傷ついたと思い込む。」

そう言って屋上から去っていった。俺は何も言い返すことが出来なかった。友達になるのに理由なんていらない。俺はその理由で風見さんを傷つけてしまった。孤独の恐怖・・・傷つけられる恐怖は俺も知っていたのに。何も!何も!何もできずに俺は・・・・!

突然頬をぬらした雨が俺じゃなくて風見さんの心を表したようだった。俺はこの雨の冷たさを感じていたかった。少しでも風見さんの傷みを受け止められるなら・・・と思いながら。そして出来るならずっと当たっていたかった。





そう、ずっと。

次書くの大変です。


関係ないですけどもうすぐクラブワールドカップですね。クリスティアーノ・ロナウドVS遠藤が見てみたいです。


はなび「次回予告!」

俊哉「カイの奴……やっちまったな」

はなび「そうね……でも私達のせいでもあるかもしれないのよ」

俊哉「そうだな」

はなび「次回はカイの起死回生に掛けるしかないわね!」

俊哉「カイの活躍を見逃すな!」


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