第2.5部 幸成
幸成のモノローグです。
武満…
彼は私の親友でもありライバルでもあった。
私は彼のことをよく知っていたし、彼も私のことをよく知っていた。
そんな彼に一つの変化が訪れた。
どうやら彼はキリシタンらしいのだ。
しかし今は幕府がキリスト教を禁止している。もちろんキリシタンは処罰の対象だ。
彼は隠しているつもりかもしれないが、私は見抜いた。
私だけ見抜けたのも付き合いの長さが影響しているのかもしれない。
もちろん私は気づかないフリをした。
それとなく警告したり、忠告したりもした。
彼の父親はこの地域を治めている領主なので事が発覚すると面倒なことになるし、立場も危うくなるだろう。
しかしそれとなく探りを入れてみたところ彼の父親は彼がキリシタンだということを知っていた。
知っているのだが、自分の息子には甘く、何も言わなかった。
まあそれも彼のことを思ってされたことなので、私は何も言わなかった。
その彼のためにこれは正しい判断だと私もそう思った。
私はそれからも彼と変わらずに接した。
私も彼も私の妹もこのときはこれから起こることを予想しなかった。
ある日、私の妹が彼に好意を抱いていることを知った。
なので私は両家と妹のためになるだろうと縁を結ぶことを提案した。
しかし彼はそれを断った。
理由が知りたかったので彼に訊いたところ、どうやら彼は好きな女性がいるということが判った。
私はそれを妹に伝えると、彼女も諦めて祝福してくれた。
このとき、彼女が物分かりが良い女で助かった。
しかし…
私はある時彼を裏切った。
親友である彼を。
私は今もそれを悔いている・・・
第3部はまだです。
3点リーダの修正が時間掛かって出来ません…
すいませんが我慢してください。