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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第一部 日常
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第4話 肝試しか!?生徒会

仮タイトルは「野外でも安心」


少し性的な表現が含まれます。

注意してください。

まあ気にはならないと思いますが。


夜の暗さに似合わぬほど周りは騒々しかった。

肝試しを楽しみにしている人や怖がっている人たちが口々に騒ぎあっているからだ。

ちなみに俺はどっちでもいい、だ。だがやってみたいという気持ちもある。ふとナナちゃんを見てみるが、あまり怖がっているそぶりは見せない。

「ナナちゃんは怖くないのかい?」

と、質問してみた。

「え?こ、怖いに決まってるじゃないですか。はは、は。普通女の子は怖いんですよー。」

・・・なんかわざとらしい答えが返ってきた。だが俺はわざと怖がる理由がわからないので、そういうもんか、と納得してみる。



そしてとうとう俺達の番がやってきた。結構ドキドキするなー。

「じゃあ行こうか。」

「はい。」

さっそく出発した。

「先輩。手を繋がないんですか?」

「え!?」

「肝試しの常識じゃないですか。腕組んでもいいですけど。」

「さあ手を繋ごうか。ナナちゃん。」

俺もずいぶんナナちゃんの冗談に慣れてきたな。

「先輩の恥ずかしがりや・・・」

小さく俺の悪口を言ってたような・・・まあいいか。



しかし特に何も起きることはなかった。

「先輩。もう少しゆっくりと歩きましょう。」

「疲れたのか?」

見た感じ疲れたようには見えないが一応聞いてみる。

「べ、別に二人きりだからもっと一緒にいたいだなんて思ってないからね!」

「・・・」

いつものナナちゃんとかけ離れた言動に俺は何を言えばいいのか分からない。不自然すぎる。

「い、今の萌えませんでしたか?」

「ナナちゃん!俺はいつもの君がいいんだ!」

俺はとっさにそう返してしまった。

「え・・・そんな私のことが好きだなんて・・・」

恥じらいながら言い始めるナナ。

「え!?そんなことは言ってない!」

「じゃあ嫌いなんですか?」

目元をウルウルし始めたナナちゃん。どうすればいいんだあああああ!!!!

「べ、別に嫌いじゃないけど・・・」

「あ!先輩!今のツンデレですね!?」

先ほどと打って変わって期待した眼差しで見つめてくる。まさかさっきの全部演技!?

「でも残念ですね。まだその程度では私は落ちません。もう少しフラグを立ててください。」

いや、だから意味分かりませんって・・・フラグって旗だろ?旗立てて何するんだよ・・・

「それにしても先輩は実はツンデレ・・・と。」

いきなり「カイ先輩ノートvol.2」と書いてあるメモ帳を取り出して書き込み始めた。ていうかもうvol.1終わったのかよ・・・まだ4月の中旬だぜ。

「あのナナちゃん?やっぱり怖くない?」

「え?いやあああ!怖いぃぃ!!」

そういって抱きついてくるナナちゃん。お風呂上りだからシャンプーのいい匂いがした。そのまま俺はナナちゃんを押し倒して・・・・

「・・・」

{・・・」

って何やってんだああああ!!!!勢いよく俺は立ち上がってナナちゃんを立たせた。

「先輩今何しようとしました?」

「さ、先に行こうか。」

恥ずかしくて俺はナナちゃんの方は見ずに先に進み始める。

「先輩ったら・・・ダ・イ・タ・ン♪」

と言いつつもナナちゃんも顔が赤くなっている。やばいぞ、この雰囲気・・・どうにかしなければ・・・

一応何も考えないように努力した。さっきから俺を呼んでいるナナちゃんには悪いがシカトさせてもらおう。

「先輩!先輩!」

平常心・・・平常心だ俺!頑張れ俺!後半ロスタイムまで頑張れ俺!心を鬼にするんだ俺!桃太郎に負けない鬼になるんだ俺!

「先輩!そうですか・・・そう来ますか・・・ならこうしましょう!」

俺の腕にふわりとした感触が・・・ん?つい横を向くと涙目のナナちゃんがしがみついていた。

「なななななな何?」

めっちゃ動揺してんじゃん俺!

「先輩・・・」

こ・・・この雰囲気は・・・・まさか!?

「先輩・・・」

「う・・・」

「この道さっき通りました。」

「え!?」

何か雰囲気とは全然違うナナちゃんの真剣な目だった。ていうかこの道さっき通ったと言うことは・・・

「迷った?」

「そうですね。」

な、な、なぬううううう!!!!

今日叫んでばっかだな俺・・・

「どうすればいいと思う?」

「一番待つ。二番歩く。三番心中。四番行為。」

行為って何だああああ!!!!

「ちなみに聴衆がいないのでオーディエンスとテレフォンは使えません。」

「嫌な予感がするけどフィフティ・フィフティで・・・」

「では私が二択に絞ります。」

そう言ってナナちゃんはフィフティ・フィフティの音楽を本格的に口ずさみ始めた。なんでこの状況でノリノリなんだろう?

「なんと1番と2番がきえました!」

「そっちを残せえええええ!」

「さあいっしょに逝くのか!?いっしょにイクのか!?」

「ちょっと上手いこと言ってんじゃねえええ!!」

ゼエ・・ハア・・ゼエ・・ハア・・まさか肝試しってこんな疲れるものだったとはお兄さん知らなかったぞ。

「ちょっと調子に乗りすぎましたね。すいません。先輩、疲れているので一緒に休みましょう。」

君のせいだよ・・・とつっこむ気力もなくなった。そんな俺に急に眠気が・・・

やばい・・・瞼が重いぞ・・・

「先輩!先輩!・・・」

ナナちゃんの声が遠ざかっていく。まさかこんなとこで・・・

「先輩!先輩!」

「うわあ!!」

突然俺は飛び起きた。何かいやな感じがする。

「何かここらへんの空気おかしくありません?」

ナナちゃんが俺と同じことを思う。その顔はいつもより凛々しく魅力的に見えた。

「先輩何だか暑いです。」

そういっていきなりワイシャツのボタンを取り始めるナナちゃん。

「な、何をしてるの?」

「暑いから・・・はぁ・・・」

熱っぽい視線で俺を見ながら返す。妙に色っぽい・・・じゃなくて止めなければ!

「だ、駄目だよ!こんなところで服脱いだら駄目だって!」

俺は必死に止めにかかる。

「どうしてですか?」

すでにワイシャツのボタンの上の方は取れて下着が見え隠れしていた。

「どうして・・・って、ほら、恋人じゃない男の前ではまずいだろ・・・」

出来るだけ感情を押し殺して言う。そうしなければ何かに負けそうだった。俺の中の警報がコンディションレッドを発令していた。

「なら今から恋人って言うことで・・・・」

ナナちゃんが俺に近づく。俺は後ずさるしかなかった。

「おい・・・何を・・・」

ナナちゃんは顔を俺の顔に近づけた。二人の視線が絡み合う。俺の心臓は爆発寸前だった。

「先輩・・・」

そのままナナちゃんの顔は俺に近づき・・・

バタッ

「え?」

突然ナナちゃんが倒れた。俺は何もしていない。そして俺はナナちゃんを起きあがらせてワイシャツのボタンをきちんとつけて何事もなかったようにした。そして俺の心臓の鼓動も納まって、落ち着きを取り戻した。今はナナちゃんを見ても何とも思わなかった。

そこへ

「おーい!七瀬!蛟刃!」

真里菜先生の声がした。

「先生!こっちです!」

そういって懐中電灯を持った真里菜先生が俺達の前に姿を現した。

「お前ら肝試しのコースから大きく外れているぞ?ここらへんはリアルに出るらしいぞ?」

「え!?」

そうして、真里菜先生は俺におぶられたナナちゃんを見た。

「七瀬はどうした?やりすぎか?」

ニヤリと笑いながら下ネタをふってくる。

「そんなわけないでしょ!」

「ふむ。そうか。しかしお前ならやりかねんからな。」

「何を根拠に言ってるんですか!?ていうかそれどっちかというと先生じゃないですか!」

そうすると真里菜先生は胸を張りながら「凄いだろう。」と言い始めた。

「いや、褒めてませんから・・・」

そんなやりとりをしながら俺たちは旅館へと帰っていった。



後から旅館の女将の聞いた話だとあそこらへんは色情霊が出るらしく、男女のカップルに悪戯をするらしい。それを聞いた途端に俺はナナちゃんの不可解な行動に合点がいった。それでナナちゃんは長く霊気に当たっていたために倒れてしまったらしい。真里菜先生があのタイミングに来なければ・・・と思うとぞっとした。

俺はそれを翌日の朝にナナちゃんに話した。

「そんなことが・・・」

ナナちゃんは案の上覚えていなかった。

「でも大変だったんだよ?ツンデレ?とか言い始めるから。ははは・・・」

そう言うとナナちゃんは目を細めた。

「いや、全部冗談でよかった・・・」

俺が心底安堵した表情を浮かべると・・・

「フフ・・・本当は幽霊さんじゃないかも?」

「え?」

俺は今度は困惑した表情でナナちゃんを見つめた。どういうことだ?

「先輩、フラグ立ってしまいましたよ。」

「え?あ、うん。おめでとう。」

よく分からないので適当に言ってみた。

「じゃあ先輩。覚悟してくださいね?」

そう言って友達と一緒に駆けて行った。何を覚悟すればいいのか分からないけど。



「ということがあったんですよ?」

生徒会室で俺とナナちゃんが会長にオリエンテーリングの話を聞かせる。

「ふーん。面白そうだったわね。私も行きたかったな〜。」

「いや・・・会長が行くともっとややこしいことになりそう・・・」

「何か言ったかしらカイ?」

会長が俺にとびきりの作り笑顔で微笑んだ。

「何でもないです。はい。すみません。」

さらに会長がにっこりと笑うので瞬間的に謝ってしまった。

そこへはなびと俊哉が入ってきた。

「あ、何話しているの?」

はなびが俺達の話しにすぐに入ってきた。

「オリエンテーリングのことですよ。」

「おお。どうだった?」

俊哉も話に加わった。

「先輩に腰が痛くなるまで付き合わされました〜。」

ピキッ

はなびの顔が凍りつく。

「先輩が激しく連れまわすから〜。」

「カ〜イ〜?どういうこと?」

はなびにいきなり睨みつけられた。

「は?俺は何も・・・ねえナナちゃん?」

「フフ・・・そうでしたっけ?」

ナナちゃんが加勢をしてくれない。それどころか逆にピンチになった。

「さて、説明してもらいましょうか?」

はなびがさらに近づいてくる、あの顔は鬼だ・・・般若だ・・・

「天誅!!」

ガツン!

そしていつものように俺ははなびから制裁を受けた。

「ねえカイ?」

会長が俺に話しかけてきた。

「何ですか?」

「楽しかった?」

俺は会長にとびきりの笑顔で返した。

「はい。」

「なら、良し。」

そうして顔を少し赤くした会長もとびきりの笑顔をした。

「むぅ・・・」

「むっ・・・」

はなびだけでなく何故かナナちゃんもむくれていたが今の俺は気分がよかった。

「さあみんな!さっさと仕事しようぜ!」

「そうだな。」

「そうですね。」

「・・・分かったわよ・・・」

最後に会長は笑顔で同意した。

こういうのが俺は好きなんだ。楽しいんだ。

そう、楽しい。



そろそろキャラクターの紹介も考えないと。


俊哉「次回予告!」

カイ「男二人でやるのかよ」

俊哉「しょうがねえだろ、そういう決まりだし」

カイ「えーと次回は俺と風見レイさんの話のようです」

俊哉「カイの過去の傷が甦ってくる」

カイ「何だかシリアスな雰囲気……」


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