第47話 闇の中の生徒会
過去編最後です。
長々とすいませんでした。
〜あらすじ〜
さや先輩を拒絶している自分。
一人になりたくない自分。
そんな矛盾した感情を持った俺の選択は・・・
もう1度生きることだった。
俺はさや先輩に救われたんだよな・・・
今までのことを回想して自分にとってのさや先輩の大きさを改めて実感した。
さや先輩と俺が友達になる約束をした後、俺の状況が劇的に変わった。
さや先輩によって俺も変わった為か、俺も人並みに明るくクラスメイトと会話した。
そして…
「今までごめん!」
俺ははなびに頭を下げた。
「…」
そう、はなびに謝ることにしたのだ。
理由は言わずもがな。
さすがに喧嘩別れをしたままにしたくなかった。
「許されないことをしたのは分かっているんだ。」
俺はあのときはなびを傷つけたことをとにかく謝った。
ゴスッ!
「え?」
何かはなびに蹴られたんだけど、俺。
「な、何で・・・?」
まさか許してもらえない!?
そりゃそうか、俺は馬鹿だった。
はなびにまで許してもらおう何て虫のいい話だ・・・
「・・・」
はなびは俯いたまま何も言わない。
「・・・懸垂。」
「え?」
「懸垂!!」
はっ!!そうか!
俺、許してもらうまで懸垂しなくちゃいけないんだった!
「わ、わかった!今日の放課後に公園行こう!・・・いや、行きましょう。」
何か命令口調になってしまったらはなびが睨んできたのですぐに言い方を変えました。
そんなこんなで俺は懸垂している。
「う・・・まだか?」
俺はもう体の限界は超えている。というかもう持ち上がんない。
「ふふ・・・あはははは!カイ滅茶苦茶変人〜〜!!」
「ええ!?」
俺かなり頑張っているのに・・・苦労しているのに・・・笑うことは無いよね?
「カイが小学生の鉄棒で頑張ってるんだもん!」
その笑顔は俺が久しぶり見たはなびの笑顔だった。
「恥ずかしいからもう笑わないでくれ・・・」
「あはははは!」
・・・笑うのを止める気ないな。
そんなこんなで俺は人生初の両腕筋肉痛を味わった。
しかし世の中そんなに上手く行く筈も無く・・・
咲に手紙を出しても返信は無かった・・・
俺は結局一人は失ってしまったのだ。
・・・咲、ゴメン。
俺は咲のことは本当に好きだったんだ・・・
こうして俺は咲との恋愛は自己完結させてしまった。
もう咲も俺の前に姿を現すことは無いだろう・・・まあその考えは甘かったわけだが。
俊哉とももう親友という感じになった。
前々から俺達はお互いに線を引いていた・・・いや、引いていたのは俺のほうか。
あまり深入りしたくは無かった。
だっていつ裏切られるか分からなかったから。
俺は今になってこいつのすごさを実感した。
だって考えてみたらなんだかんだで俺の面倒を唯一見てくれた男だ。
もし俊哉がいなかったら俺はもう死んでいたかもしれない。
「どうした?」
「いや・・・」
でも有難うはいわない。
だって恥ずかしいからな。今更。
「はぁ・・・俺は馬鹿だよ。」
「何だ?今頃気づいたのか?」
「いや、そこはお前は馬鹿じゃねえ!って言うところじゃない!?」
俺のツッコミもものすごく多くなった。
ガラガラ
その時教室に誰か入ってきた。
「カイ!」
さや先輩だった。
「先輩?何ですか?」
ファンクラブの方々から睨まれているが気にしないことにした。
「今日こそ行くわよ!」
「え?ちょっと・・・」
「生徒会にね!」
先輩は俺をどうしても生徒会に入れたいらしい。
「いや、だから・・・」
「はなびちゃんと俊哉も入るんだけど・・・?」
・・・迷う。
みんなが入ったら俺も入る、の心情だ。
まさか俺を崩すためにここまでするとは・・・
「俊哉、本当か?」
「ああ。別に部活やってないから。それに少し興味もあるしな。」
俊哉は嘘を言ってなさそうだったのでこうして流れるままに生徒会に入った。
「お前、会長に気は無いよな!?べ、別に俺には関係ないけどっ!」
「へ・・・?」
カズ先輩の俺への最初の一言がそれだった。
「カズ黙ってなさい。ようこそ、私達はあなた達を歓迎するわ。選挙で決めてないからあなたたちは会長と副会長にはなれないけど。」
まや先輩はそう言って俺達を歓迎してくれた。
こうして俺の生徒会ライフが始まった。
まあその後ちゃんと選挙で俺は副会長になれた。
というかさや先輩がバックアップしまくった。
そのおかげがかなり大きい。
・・・あれ?俺ってかなりさや先輩に借りがないか?
「楽しかったか?」
「!」
俺は暗闇の中に戻っていた。
「・・・」
俺と武満は相変わらず相対していた。
「俺のことはもういいだろ?お前のことを聞きたい。」
俺は純粋に興味を持った。
なぜならあの優しい男をここまで変えたのだから話して欲しかった。
「・・・俺の過去に面白いことは無い。聞いて同情しようとしても無駄だ。」
武満は何故か拒否する。
それはおかしいだろ。だってこいつは進んで俺に自分の記憶を見せたのだから。
「何かまずいのか?」
「・・・いや、お前はどうしてそんなに知りたい?」
武満は逆に質問してきた。だから俺は妥協した。
「俺はお前が思念体だった時代も聞きたいんだよ。」
何かこの男はおかしい・・・そう少し感じていた。
悪魔のわりにはそこまで俺は恐怖を感じなかった。
「・・・俺が最初に宿ったのはあれから数年・・・いや、100年ぐらい後だ。正確にはもっと前から宿っていたのだが、自我が弱くて俺自身気づかなかった。」
どうやらすぐに幸成に宿ってどうこう、というわけではなかった。
というか幸成に宿ったら復讐として殺しただろう。
「それからと言うものの、俺は気づいたとはいえどうすれば良いか分からない。何せいきなり右も左も分からなかったからな。だから最初の方は冷静に自分と周りを分析することに時間を費やした。」
武満は続ける。
「そして俺の復讐が始まった。だが、そんなに意識も強くない俺は悪夢を見せることだけで精一杯だった。そう、前回までは。」
・・・俺は黙って聞いた。
「お前に宿ったとき、俺の力が前より増していることに気づいた。前までは寝ているときにしか表に出れなかったが、今はお前の思念を起きている時でも支配することも出来る。」
どうやら俺の前まではこんなことは無かったらしい。
と、いうことは俺の存在自体が皇家にとっては不測な事態なんだろう。
「まあもういい。とにかく俺はお前の考えも読めるようになったんだよ。」
「・・・ということは前までお前は考えすら読めなかったのか。」
「ああ。実質ほとんど何もできない。」
俺って運が良いのか悪いのか・・・まあ一般的には悪いんだろうな。
「じゃあ何で俺のときはそんなに強くなったんだ?」
「知らん。俺もよく分からない。」
「悪魔のくせに。」
俺は結構こいつと普通に話している。だってもう話し相手はこいつしかいないし。
「お前、一人は嫌いなんだろ?」
「だってお前がいるじゃん。一人ってわけじゃない。」
そう言うとまた武満は顔を背けた。
「いい?」
マイさんが私に忠告する。
「下手するとカイは一生戻ってこないわ。・・・やるなら必ず成功させて。」
「はい。」
私は目の前に横たわっているカイを見ながらそう言った。
「笑って・・・ますね。」
カイは何故か笑顔で眠っていた。何か満足そうだ。
「それは夢の中のほうが自分が幸せだと思っているからだと思う。」
私はカイを恐れてしまった。
あんなに一人を嫌だったカイを。
塞ぎこんだのは私のせい。
だから私がカイを守る。
カイ、私の声聞こえる?
もう少しで終わります。
次回はやっとカイとさや先輩の対話です。