表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第二部 激動
52/104

第41話 遠い日の生徒会

過去編です。

カイ一人称で物語は進みます。

〜あらすじ〜

俺はさや先輩を助けるために公園に向かった。

そこで俺は暴走し、その瞬間をさや先輩に見られてしまう。

俺はその瞬間に心を閉ざすことにする。

もう、一人は嫌だった。

俺は最後のひとときに昔を思い出すことにした。

最後ぐらいはいいことを思い出したい・・・



・・・

俺は皇家の長男として生まれた。このとき俺は7歳上の姉さんがすでにいた。

幼い頃から両親とほとんど顔合わせをしなかった。

俺の世話は家政婦さんが、面倒は姉さんが見てくれていた。

こんなんだから俺はシスコンになっちゃったんだろうな。

「こら!ニンジン残しちゃダメ!」

姉さんは俺が好き嫌いをすることを嫌った。

だから決して甘やかされているわけではなかった。

家政婦さんは優しくて家事が上手い、姉さんは優秀だった。

「ねえカイ凄いでしょう!」

姉さんが俺に見せてきたのはほぼ満点のテストの山。

こうして小さい俺に何回も自慢した。



俺が幼稚園ぐらいに上がったとき、両親と会ったのを覚えている。

このとき母さんは俺の写真を撮ってくれたりして正直嬉しかった。

父さんは姉さんのテストの出来を褒めていたけど。

今考えてみればこの母さんの優しさは上辺だけだったのかも。

ある日、姉さんが小6のとき、姉さんは学校の行事で外泊することになった。

俺は一人でブランコに乗ってブラブラしていた。

そんな時俺ははなびと出会った。

あいつの遠慮ない性格のおかげですぐに咲とも友達になった。

はなびの第1印象は活発で明るい。

咲はおとなしくて可愛いだった。

そうして俺は姉さんがいないときもこの二人と遊んで俺の生活は充実していた。

・・・姉さんにあの子達紹介して!とか言われたことあるけど。



そんなこんなで俺は小学生になった。

「おいカイ!学校行くぞ!」

はなびは男っぽい口調で毎回俺の家に咲と訪ねてきた。

このときはまだはなびの母さんが育児休業していて俺が起こさなくてもよかった。

「カイくん。おはよう。」

そう咲は俺に満面の笑みで挨拶する。

「おはよう、2人とも。」

俺はそんな2人に元気よく挨拶する。

俺はこのときはなび達のおかげで比較的明るくなった。

だから男友達もいっぱいできた。

まあ結構からかわれること多かったけど。まあ小学生は女の子と一緒に遊ぶ男の子にそう言う傾向がある。まあ中学年までだけど。

「返してよー!」

「やーいやーい!返して欲しかったら取ってみな〜。」

おとなしい咲はよくこうして筆記用具を取られて男の子に虐められていた。

「コラ!!アンタ達!」

「うわあ!ゴリラ女だ〜!」

「何ですって〜〜!!」

はなびはこうやってその虐めてた男の子から咲を守るナイトのようだった。

まあその後はやし立てられて男子を泣かしに懸かるすごい女の子だったけど・・・

まあそんな時、はなびが学校に来ないときがあった。

確か・・・風邪・・・かな?

そしてこれはチャンスといじめっ子の男の子達は咲をいつものように虐め始めた。

「やめてよ〜!」

「あ、何だよこのシャーペン!」

そう言って男の子が取ったのは見るからに高級そうなシャーペンだった。

「返して!それ誕生日に買ってもらったの!」

咲が必死に返してもらおうと抵抗する。

「女のくせに生意気だぞ!」

そう言って窓からシャーペンを投げてしまった。

「あーーー!!!ウワーン!!」

そうして泣き出してしまった咲。今ははなびがいないから男の子達を止めるのは誰もいない・・・

でも俺はそんな咲の泣き顔を見たくなかった。

気がつくと俺は男の子達に突進して殴った。

そういえばこのときもう男子をとにかく殴りまくったな。多分これが最初だったな。俺の覚醒の。

「咲を泣かすんじゃねー!」

もう暴れまわった。先生が来るまで。

・・・

そしてこの事件はかなり問題になった。何せ俺は皇家、咲は美作家だからだ。

そして結局俺はこのときお咎めなし、虐めてた男の子達は転校を余儀なくされた。

いや、権力って怖いね。俺はこのときそうだと分からなかったけど。

そしてこの事件以降咲は俺にくっつくようになる。

「ねえ咲、カイとくっつきすぎじゃない?」

「え?そうかな?」

確かにいつも俺の隣をキープしていた。何かやるときもいつも俺と同じだった。

「私のいない間に何かあった?」

「何もないよ。」

はなびはこの事件は親から知らされていなかったらしい。そして俺達は固く口止めされていたので何も言わなかった。

だが

「嘘でしょ!教えて!」

はなびは鋭かった。

・・・それで結局はなびに秘密だから、と念を押して話した。

「ふーん。だからあいつらいなくなったんだ!よかったね咲。」

「うん!」

咲はすぐに頷く。

結構やっぱり根に持っていたんだな。

結局俺達は3人いつも一緒でとうとう中学年になった。



「何よ!カイは私の後ろ!」

「何で俺が後なんだよ!」

俺の1人称を俺に変えたのもこの時期だ。

今まではなびの後を付いていた俺だが、このときになって何で俺が家来みたいにならなくちゃいけないんだ?みたいに思うようになる。

そしてそんな些細なことで喧嘩し始めたのはこの時期。

「2人ともやめてよ・・・」

咲はいつも俺達の間でおろおろしていた。

「「咲は黙ってて!!」」

で、毎回俺達がこの台詞を言う。

こうして次の日から口を利かなくなる・・・けどね、寂しがりやな俺はすぐに音を上げるんだよな。

「ゴメン・・・」

そして毎回俺が謝る。だってはなびがいないと俺は寂しいから。

「・・・じゃあ私の言うこと聞いてよ。」

そう言われてはなびに俺は公園に連れてこられたのだ。

「けんすい・・・って知ってる?」

はなびは多分覚えたてなんだろう。確かめっちゃカタコトに発音していた。

「知ってるけど・・・」

もちろん俺も知っていた。

「それをやったら許してあげる!」

こうして俺は懸垂をし始めた。

まあ1回終えてはなびの方を向く。

「え?終わり?」

「うん。」

「・・・・・・やっぱり私が許すまでして!」

こうして俺達の約束事ができた。

・・・でも俺ははなびに懸垂させたことはない。なぜなら・・・まあ言わなくても分かるが、あいつから謝られたことはないからだ。

今考えたら変な約束事だな・・・とか思うよ。

そうしてますます3人の友情が固まったとき・・・

とある事件が起こった。

俺が10歳、姉さんが17歳の高2のときだ。


俺はいつもと同じくテストを親に見せていた。

このとき俺は姉さんを見習って凄く努力してた。

なので結果は自然とついて来るというもの。

全教科満点はもうお手の物だった。

「カイは凄いねえ。」

母さんからは毎回のように褒められ、父さんもこのときは姉さんよりも俺に興味を示してくれた。

姉さんも俺のことを褒めていてくれた。

そんなある日の夜、トイレに起きた俺はたまたまリビングで姉さんと父さんの会話を聞いてしまう。

「・・・何だこの点数は。」

「すいません。」

姉さんは父さんに怒られていた。俺はこの光景は珍しいな、と思った。姉さんが成績の事で怒られているなんて。

「お前は皇家の跡取りなんだぞ。これでいいと思っているのか。」

父さんは静かに怒気を交じらせているようだ。すると今まで黙っていた母さんが口を開いた。

「あなた。マイをそんなに叱らないであげて。ウチにはカイもいるのだから。」

この発言の瞬間姉さんの顔が少し歪んだ。

「・・・マイではなくカイを跡取りに変える・・・と言うのか清美。」

父さんは母さんに視線を向けた。

「・・・」

姉さんはずっと黙っている。

「だってカイの小学生の頃の成績はマイより良いんですよ。」

!!

俺はその時の姉さんの表情をはっきり見た。劣等感が生んだその表情を・・・

今までの姉さんの優しい顔ではなく、屈辱に歪むその表情。

僕は怖くなって静かに部屋に戻った。

・・・

それからしばらくすると何者かが部屋に入ってきた。

「・・・」

俺は全意識をそっちに回した。もちろん目は開けなかった。寝ているフリをした。

「・・・」

俺は薄目を開けるとそこに立っていたのは姉さんだった。

姉さんの顔には涙の跡があった。

そして何をするのかと思えばお辞儀して小さく「ごめんね。」と呟いたのだ。

何がゴメンねなのかよく分からないが、そのまま姉さんは部屋から出て行った。

・・・

そしてこのとき俺はテストで本気を出すことをやめた。

しかし突然成績を下げるのは不審に思われるので、小学生ながら計算して徐々に成績を落としていった。

すると現金なもので親の俺への興味は簡単に薄れた。

でも俺はこれで良かったと思っている。

だって姉さんの顔にまた笑みが浮かぶようになった。

・・・

でも実は1度姉さんに詰め寄られたことがある。

そのときは体調不良と勉強不足を言い訳にした。

中々信じてくれなかったがさすがに3年も続けたら信じてくれた。

でもまあこのときはもう俺は自然に勉強しなくなった。



そんな俺も小学校高学年に上がった。

クラスメイトは受験組と非受験組で別れていた。

咲は受験組だったのではなびと俺も受験組になった。

しかし俺とはなびと咲はみんな成績がてんでバラバラだった。

咲は超優秀。昔の俺のように全教科満点を取っていた。

俺は普通。可もなく不可もなく。まあ勉強していないし。

はなびは超不振。落ちこぼれ組という感じで、え?何でこの成績で受験すんの?みたいな感じだった。

咲は兎も角、俺とはなびの志望校は同じだった。ここから近い私立中学校。

咲は名門私立女子中学校。滑り止めとして俺達の学校を受ける予定らしい。

俺達はバラバラになりたくなかったが、いつかはこうなるものと多分全員理解していたと思う。

そして小6の冬休み・・・

「咲、頑張れよ!」

俺は咲にそうエールを送った。

「ねえ・・・カイくん・・・」

すると咲が急にもじもじして俺に上目遣いをした。

「な、何?」

その仕草に俺はもうドキドキだったが。

「・・・私が受験成功したら・・・」

まだ雪が積もっていないが、ホワイトクリスマスの夜・・・

「私を恋人にして?」

「!!」

俺は咲に告白された。

俺はこのときに理解した。

俺も咲が好きだ。

「わかった!じゃあ俺も受験成功したら・・・結婚しようぜ?」

「うん!」

このときの俺は結婚の意味を深く考えていなかったのだろう。

はぁ・・・思い出すたびに恥ずかしい・・・でも結局俺のその約束は守れていないけど。

そして俺達は全員受験に成功した。

はなびも凄い追い上げで俺と同じ中学に行った。そのときのはなびは泣きながら喜んでいた。

「これからも3人一緒だよ!」

「「うん!」」

俺達はそう誓った。

・・・

そしてそれと同時に俺と咲は恋人・・・兼婚約者になった。

「はなびには内緒にしてね。」

「どうして?」

「どうしても!」

何故かはなびには内緒らしい。よく分からないが俺は律儀に今もその約束を守っている。

「わかったよ。咲。」

「ありがとう、カイ。」

俺達はそれと同時に名前で呼び合った。咲もこの頃俺に対して積極性も見せるようになったのだ。

こうして俺と咲は付き合うことになった。



まだ自分の運命も知らない幼い頃の話だった・・・




補足

カイは皇家本家の実の息子。

武満はすでにカイの中に存在。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ