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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第二部 激動
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第31話 姉さんは生徒会

仮題は危険なアネキ

〜あらすじ〜

突然俺の家に帰ってきた姉さん。

俺は何事もなければ・・・と思っていたが・・・

9月が終わった。当たり前だが10月が始まった。

変わったことがもちろんある。ただ自分にとってとても困ること。

それは9月の最後、朝礼でのことだ。



いつものように校長が意味不明な話をして終わりかと思っていた。

「実は今日、教育実習生が急遽この学校にやって来ました。」

は?この時期に教育実習生かよ。中途半端な。まあロクな奴じゃないんだろうな。と、俺は思っていた。まあそれが当たってしまうのだが。

「では皇先生、どうぞ。」

嫌な予感は当たるものだ。教頭にそう言われて朝礼台に上がったのは俺の姉さん。

「みなさん、初めまして。今日からこの学校でみんなと勉強させていただくことになりました、皇マイです。これからよろしくお願いします。」

俺の姉さんは笑顔を浮かべて言った。その自己紹介によって生徒達がいきなり沸いた。ああ見えても姉さんはテレビにも出演している有名人だ。だから盛り上がっているのだろう。まあ本人の容姿もあるだろうが。

「ねえカイ。あの人って…」

はなびが俺に何か言いたそうだ。まあ判るけどな。

「シッ。」

俺は口の前に人指し指を立てた。

出来ればあんまりこの情報を広げたくはない。

俺が有名人の弟だとバレるとマスコミが騒がしくなる。何せ元不良だ。まあ本家が圧力を掛ければ問題ないが。

「皇先生は基本的に2-Aの生徒を担当します。」

「は?」

教頭の発言につい俺は声に出してしまった。聞き間違えでなければ姉さんは俺のクラスの担当だ。

「2-Aのみなさん、これからよろしくね。」

その発言と同時にうちのクラスからは歓声が、他のクラスからはブーイングが。

「マジかよ・・・」

俺は頭を痛めた。唯一の救いは俺と姉弟だとまだばれていない事。なんだかんだいって俺の姉さんは秀才だから俺達の関係がバレるとまずいと分かっているのだろう。

そうして今日の朝礼が終わって、姉さんがうちのクラスで教育実習をすることになったのだった。



「はぁ・・・」

「ため息ばっかりだな。嬉しくないのか?」

こんなばっかりの俺を俊哉が見かねて訊いてきた。

姉さんが帰ってきたことに対しては・・・まあ嬉しいけど、ここまでされると逆に迷惑だと思ったのが正直な気持ち。

「いや・・・ねえ?」

「・・・俺には姉貴がいないからよく分からないけどさ、お前の姉貴だって何か理由があってこうしたんじゃないのか?」

「・・・・」

俺はしばし考えた。この教育実習は皇家にとって何かプラスになるのであろうか・・・

「まあ本人に直接聞けよ。」

「ああ・・・そうだな・・・」

俺は生返事で返した。俊哉はまだ何か言いたそうだったが俺は気にすることが出来なかった。

そして俺のクラスにいる姉さんをチラッと見ているとはなびと咲と談笑していた。

あの感じだと咲は俺と姉さんの関係をみんなに言っていないようだ。確かに嬉しかったが、俺を沈める絶好の好機だと思うんだけどな・・・

「はぁ・・・」

「・・・文化祭の2日目、何かあったでしょう?」

俺のため息にレイが反応する。そういえばレイは皇マイが俺の姉さんだと知らない。レイになら大丈夫だと思って俺は話した。

「・・・それはもうはなびと咲から聞いたわ。」

「え!?」

このことじゃないのか?確か文化祭の2日目、俺は姉さんと再会した・・・あれ?そういえば委員長がいたような・・・

「ん?ん〜ん?」

「?」

俺が唸っているのを見てレイが首を捻る。

「う〜ん・・・最近俺なんかいろいろありすぎて正直混乱している・・・」

さや先輩とのキスのこと・・・まあこれは忘れることにしたけど、姉さんのこと、そして委員長・・・・だから委員長と俺は・・・あれ?

何か肝心なことを忘れているような・・・確か俺のことをカイ様って呼んでいたような・・・そんなわけないか。

俺は委員長の方を見てみるが委員長はみんなと談笑しているときに俺の視線に気がついて手を振って返していた。

・・・別に変わったことないな・・・

「・・・」

レイがずっとこっちを見つめている。そういえばレイとの会話をほったらかしにしていた。

「あ、えーと・・・」

「・・・そういうことね・・・あなた迷いがあるわね?いろいろと。」

「え?」

迷い?何のだ?

「・・・気がついていないならいいけど・・・」

そう言ってレイは小説を読み始めた。

ちなみに題名は「世界で最も美しい殺し方」

・・・

・・・

俺は自然にレイから視線をそらした。



「なあ姉さん。」

「ん〜?」

俺は姉さんが帰宅した後に新聞の四コマ漫画を読んでいる姉さんに尋ねた。

「何でうちの学校で教育実習してるの?」

「ん〜・・・・・知りたい?」

「アンタその間は何だよ!」

「姉をアンタだなんて・・・」

姉さんがいちいち細かいことを気にする。

「悪かったよ。」

「私を姉で無くて一人の女として見ているのね!?」

「んなわけねえだろ!!」

俺は声を大きくして突っ込む。

「はぐらかすなよ。俺は姉さんがどうして光芒学園に来たんだ?と聞いているんだ。」

「私OGだし。」

そうなのかよ!初めて聞いたよ!俺はこの学校俊哉に誘われて受験して入学したんだから知っているわけが無い。・・・でもなんで俺姉さんの卒業校忘れてんだ?

「なんで初めて聞いた〜。みたいな顔をしてるのかしら?」

「え?あ、ああ。忘れてただけだよ。」

思い出せねえ・・・一体どうしたんだ?

「そう・・・」

っといけねえ!姉さんがどうして教育実習生をやっているのか聞いてない!確か姉さんは薬学部卒業してアメリカでそういう系の仕事・・・皇家の仕事をするはずだ。そんな姉さんが何故急に帰国したのかが解せない。しかも教育系の仕事をしている。

「で、何で急に帰国したんだ?しかも俺のところに来て。」

「カイに会いたかったからに決まっているじゃな〜い!!」

姉さんが俺に抱きついてくる。しかし騙されないぞ!

「嘘を言わないでください。何か理由でもあるんでしょう?」

「・・・そうね。」

姉さんが急にしんみりし始めた。これは真実を言ってくれるのか!?

「・・・あなたのことよ。」

「え?俺!?」

なぜか俺に用があるみたいだった。

「一体俺に何が・・・?」

どうしてこんなことを聞いてくるのか俺にしては疑問だ。

「あなた最近体調よく崩すでしょう?」

「ええはい・・・」

確かに最近体調をよく崩す。文化祭の時にはそのせいでさや先輩と・・・・っと忘れるんだった忘れるんだった。

「あなたね、病気なのかもしれないから。」

「え!?」

俺が病気!?でも考えられない話ではない。風邪で済まされないのが何回もあった。

「えっと・・・結構重い?」

俺は恐る恐る訊いてみた。まさか命に関わる可能性が・・・?

「そこまでじゃないわよ。」

「はぁ・・・」

俺最近変だと思ったら病気なのか・・・

はぁ・・・もうすぐ体育祭だよ・・・

「まあ一応体調悪くなったらこれを飲んで。」

そう言って俺に薬を渡してきた。しかし俺はその薬に見覚えがあった。

「あれ?この薬確か委員長が・・・」

「え?ああ、夕陽のこと?」

え?夕陽って誰だ?

「あなた夕陽からこの薬貰ったでしょ?」

「いや、あの・・・夕陽って誰ですか?」

いやマジで夕陽って誰だよ。

「え?知らないの?あなたその子から薬貰ったでしょ?」

薬を貰った・・・?俺は委員長にしか貰っていないぞ?

「いや、俺委員長からしか貰っていないし。」

「はぁ・・・」

え?何でそこでため息!?俺間違ったことは言っていないよねえ!ねえ!!

「だからその委員長が夕陽よ。」

「え?ああ・・・そういうことか・・・」

いつのまにか俺は委員長の名前も委員長だと思い込んでいたらしい。何てあほなミスだ。恥ずかしくて死にそう・・・

「って何でそれ知ってるんですか!」

俺はそういえばどうして姉さんがそのことを知っているのか疑問に思った。

「だって私が夕陽にそれをやらせていたのよ。」

「ええ!?それは何で!?」

「彼女私の部下だもの。」

「ぶ、ぶ、ぶぶぶぶ・・・・」

部下だとぉぉぉぉぉぉぉぉっぉ!!

しまった巻き舌になってあの暑苦しい文化祭実行委員長みたいだ!

「別に驚く必要ないでしょ。私は皇家の本家の娘よ。それぐらいの権力ぐらい当然あるわよ。」

「ま、まあ確かに・・・」

皇家は伝統がありかつ世界に名を連ねる家柄だ。ようするに俺もその家の出だったということだ。昔裕福だったために今の貧乏暮らしは多少つらい。しかし俺は少し疑問に思った。もしかして委員長は・・・

「まさか姉さん・・・委員長に俺を監視させてましたか?」

「そうよ。」

悪びれもなく姉さんは俺に答えた。俺は始めて姉さんに憤りを感じた。

「何で・・・・?」

俺は怒りをこらえて訊いた。

「心配だったからに決まっているでしょ。あなたがお父様に勘当されたとき、すごく心配だったのよ?」

「・・・」

俺は何も言えなかった。というか怒りはすでに冷めた。別に委員長に監視されたとしても疚しいことなど何一つ無い。

それに正直姉さんに心配されて嬉しかった。

「えーと・・・じゃあ委員長は姉さんの部下・・・で俺を監視・・・」

「まあそういうことね。それより薬のことはもう夕陽から聞いているでしょ?」

「まあ。」

俺は前に委員長に言われたことを思い出した。確か一回3粒だ。

「じゃあこれ渡したからね。調子悪くなったら飲むのよ。」

「はい。」

俺はそう言って姉さんから薬を受け取った。

「あの俺検査はいいんですか?」

そういえば診察しなきゃ駄目なんじゃ・・・

「もう診察してるわ・・・それで分からなかったから薬を渡したのよ。それにしてもちゃんと効いたようで助かったわ。」

この薬の効き目がすごいことは身を以って知っている。

「分かりました。」

俺はそのまま床に着くことにした。

「そういえば姉さん、俺と姉弟のこと言わなかったんですか?」

「言って欲しかった?」

「いや、違いますけど・・・」

「あなたのことはちゃんとよく分かっているんだから。」

「あ、ありがとうございます。」

結構照れるな・・・俺のことはお見通しか・・・

「そう、よく、ね。」

最後の姉さんの呟きは俺の耳には入らなかった。

そして意味深な表情をしている姉さんの顔も俺は見えなかった。

このとき姉さんが何一つ本当のことを言わなかったのを知るのはもっと後のことだった。



・・・このときの姉さんの真意を理解しているのは俺ではなかった・・・




次回はとうとう体育祭編です。


ショート劇場

カイ「ってなわけで姉さんが帰ってきたんですよ、はなびさん。」

はなび「別にいいじゃないですかカイさん。何か困ることでも?」

カイ「まあ男の一人暮らしだといろいろあるじゃないですか。」

はなび「・・・(ジト目)」

カイ「見よ!この秘蔵DVD!!」

バキッ

カイ「うわあ!!何てことをするんだはなび!!」

はなび「死ね!死ね!死ねえ!!」

カイ「それって俺のじゃなくてナナちゃんの!!」

はなび「え?」

ナナ「フフフ・・・覚悟は出来てますか?」

はなび「ヒッキャアアア!!」

カイ「・・・」





マイ「次回予告」

カイ「姉さん……」

マイ「カイ……」

カイ「んな展開あるかぁぁ!!」

マイ「無いの〜?」

カイ「残念がるな!次回は体育祭だ!」


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