第27話 喜劇と悲劇の生徒会
仮タイトルは何事も焦りは禁物。
〜あらすじ〜
俺達は文化祭の準備を着々と進めてとうとう前日になった。
文化祭まで残りあとわずか。
俺達生徒会は演劇の練習の最終調整に入っていた。
「声が小さい!!」
「す、すいません・・・」
俺はさや先輩に声の小ささを指摘された。だって王子が白雪姫を起こす前の台詞、「せめて私の口付けでその毒を吸い出せれば。」(さや先輩の創作台詞)を言うのが非常に恥ずかしい。
「まったく・・・」
はなびが俺を呆れた目で見ている。
「う・・・ごめん。」
俺はみんなに謝る。これが本番だとマズイ。
「俺が王子なんてやっぱり・・・」
「泣き言言わない!リテイク!!」
こうして練習は続いた。
そしてクラスでも・・・
「ねえねえカイ君。新しい服作ってきたの〜。」
「これも着て〜。」
「うわああ!!!」
俺は女子達に追い掛け回されていた。ただし嬉しくない追われ方。
「今度はゴスロリメイド〜!」
「私はフリフリワンピ〜!!」
凄い色で凄い装飾の服を持って俺を追いかける。あの猫耳メイド事件以来俺はこういうふうに女子に追い掛け回される。
「うう・・・カイのやつ羨ましい〜!!」
「くやしいっす〜!!」
男子生徒達は女子に追いかけられる俺を恨めしげな目で見る。ちょっと待て。全然楽しくないぞこれは。
俺は学校内を疾走するのがいつのまにか日課となった。おかげで体力ついたけどな。
全然嬉しくないけどな。
「ふう・・・」
上手くまいて俺はへたりとその場に座り込んだ。
「はぁはぁ・・・」
マジで疲れた。こんなのが毎日なら俺は不登校になりそうだ。
「あ、カイだ。女子に追い掛け回されてさぞ楽しさを満喫しているだろうカイだ。」
はなびが俺に精一杯の嫌味を込めて言う。
「楽しくねえよ。」
「本当かしらね〜?」
はなびは俺を信じていないようだ。
「女の子に追い掛け回されて喜ばないんだ〜?」
まだチクチクと俺を攻撃する。なんだか今日はねちっこい攻め方をしてくる。
「はぁ・・・俺は疲れたからここで休む。」
そう言うとはなびは俺の隣に腰を下ろした。
「何サボろうとしてんのよ。」
「お前もだろ。つかなんで俺の隣に座る。」
「悪いの!?」
「いや、別にいいけどな。」
俺とはなびは廊下に座り込んで休んでいた。会話はあまり無かった。というか俺は疲れててあまり話したくなかった。
「・・・何か言ってよ。」
「疲れてんだよ。心で会話しようぜ。」
「・・・バカ。」
「オイ。」
会話になっていなかった。
「はぁ・・・何でこんな奴のことを・・・」
「何だよ?俺が何?」
「何でもないわ。バカ。」
はなびはそう言って立てた膝に顔をうずめた。俺は少し心配になった。
「おい。泣いてるのか?」
「眠い。」
どうやら心配は無かった。こいつは結構心に溜め込むタイプだから心配にもなる。
「心配してくれたの?」
「ああ。」
「ふふふ。」
はなびは笑顔を見せて俺の肩に頭を乗っけた。
「お、おい!」
「いいじゃない。幼馴染なんだし。」
そういうはなびは少し嬉しそうだ。
「幼馴染じゃなくてこれは恋人みたいだぞ。」
「ええ!?こいび・・」
何故そこまで驚く必要がある?
「それってどういう・・・」
「そのままの意味だろ。」
俺は普通に返した。
「そのままってつまり・・・」
「だから俺達が恋人同士・・・・」
俺は言葉を詰まらせた。何てその後言えばいいんだ?
「そ、それって告白!?」
はなびが滅茶苦茶慌てている。告白って・・・・・?まあ同意しておこうか。面倒くさくなりそうだし・・・
「うんまあそんな感じじゃない?」
「そ、そうなんだ・・・」
はなびは顔を真っ赤にしていた。熱でもあるのかな?
「お前顔赤いぞ。」
「そそっそそそそっそそれはアンタのせいよ!!」
何故か俺のせいにされた。悪いのまた俺か・・・
「俺のせいなのかよ。悪かったよ。」
「わ、わかればいいのよ・・・」
はなびの顔はまだ赤い。
「熱でもあるのか?」
「ない!!それより返事していい?」
何に返事するんだ?「はい」ってでも言うつもりなのか?
「返事ってよく分からないけど・・・」
俺は混乱した。
「はぁ?い、言うわよ・・・っわわわっわ、私も好き・・・」
「え?何が?」
俺は聞き返した。
「え!?あんたそんなのも分からないわけ!?」
俺にとっては何ではなびがこんなことを言うのかが分からない。
「ああ、全然分からない・・・」
「そんな・・・まさか・・・」
はなびが急激に落ち込み始めた。
「どうした?」
「もう何でもないわよ!!・・・クッ・・・ここまで鈍感なんて・・・」
「へ?」
はなびが俺に吐き捨ててどこかへ行ってしまった。
「あ・・・」
まあいいか。すぐに機嫌よくなるだろう・・・
「み〜つ〜け〜た〜。」
「う、うわあああ!!」
俺の前に現れたのはさっきまで俺を追いかけていた女子生徒達だった・・・
「もう逃がさないわよ〜。」
俺は女子生徒達に拘束されて教室に連れて行かれた。
「誰か助けてくれ〜!!!」
最後に聞こえたのはゴスロりメイドの格好をした男の叫びだった・・・
「諸君!とうとう明日から文化祭よ!」
ついに文化祭前日。俺達はさや先輩達と生徒会室にいた。
「文化祭の予定を軽くおさらいするわよ。」
俺達はさや先輩のほうを見てさや先輩の言葉に聞き入った。
「まず明日は午前中は劇をやら無いから自由行動。午後の1時から一回やって終わりよ。」
どうやら1日目は楽なようだ。俺はクラスの仕事は一日目に集中してやるようにしている。
「明後日はまず10時から1回、そして午後の1時からもう一回よ。後夜祭は生徒会として出なさい。」
明後日はかなり忙しい。と、いうかクラスの仕事もやるということは二日とも忙しいじゃん!!
「というわけで明日頑張るわよ!」
さや先輩の気合の入った掛け声に俺達は「おう!」と答えた。
もう周りは暗い。そりゃあ夜遅くまで劇の練習をしていた。
俺はみんなと別れて咲と俺だけになった。咲は二人きりだと俺に話しかけてくれないが、今日は違った。
「明日・・・・・成功するといいわね・・・」
「ああ。精一杯やってきたんだ。」
俺は咲と自然に会話した。
「今の私ちょっとおかしいから。じゃあね。」
「ああ。またな。」
本当に咲はおかしい。俺にさよならの挨拶もしてくれた。少し嬉しかった。
そんなことを考えていたらぼうっとしてて俺は人とぶつかってしまった。
「す、すいません。」
俺は切磋に謝った。不良だったらどうしよう。この街結構多いからな・・・
「こちらこそすいません。」
向こうも礼儀正しく謝ってきた。よかった。いい人らしい。
「いえいえ俺がよそ見していましたから。」
俺はその人の荷物を拾って手渡した。
「ありがとうございます。」
俺はその時その人を見た。スーツを着ている男の人だ。多分歳は24ぐらいかもしれない。仕事帰りであったのだろう。
「じゃあこれで・・・」
「待ってください。あの・・・恥ずかしながら道をお尋ねしたいのですが・・・」
俺はそのいい人に呼び止められて立ち止まって振り向いた。
「はい。どちらまででしょうか?」
俺は礼儀正しく聞いた。こういうとき小さい頃に習った礼儀作法が役に立つ。
「蓮見財閥・・・の本家です。」
俺はびっくりした。まさかこの人は蓮見財閥の関係者!?しかも本家って多分さや先輩の家じゃないか!?
「えーと・・・案内します。」
俺は教えるのが大変だったので案内することにした。その時の俺は凄く混乱していたが表に出さないようにした。
「ここです。」
「ありがとう。お礼にこれをあげよう。」
そうして貰ったのは遊園地のチケット2枚だった。
「彼女と行くといいよ。」
俺はそれを受け取った。って彼女!?俺はあまりに混乱して遠慮するのも忘れていた。
「じゃあ本当に有難う。」
「あ、はい。お気をつけて(?)」
俺は最後によく分からない言葉を言ってその人の後姿を呆然と見つめていた。
一体誰なんだろう?
俺はなぜか心に焦りを感じていた。
そう、焦りを
パソコンが現在使えません。
・・・・
カイ「次回予告!」
ゆう「ど〜も〜」
カイ「あれ?瀬川先輩?」
ゆう「ふっ。次回はいよいよ文化祭よ。私の鞭捌きを楽しみにしてなさい!」
カイ「エエッ!何それ!」
ゆう「もちろん叩かれるのはカイ」
カイ「絶対嫌だ!」