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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第二部 激動
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第23話 混沌の生徒会

仮題は相変わらずな僕ら


〜あらすじ〜

俺は咲に酷いことをしたのを謝った。

しかし咲は俺を許さなかった。

そして人間関係はさらにカオスに。

俺は咲とのことをさや先輩に話した。

「そう・・・謝っても駄目なら打つ手無しかもね・・・」

さや先輩は思案する素振りをしながら言う。

「そんな・・・」

俺も考えが甘かった。咲の心の傷は予想以上に深かったのかもしれない。

「まあいいわ。何か今それで支障あるかしら?」

「特に無い・・・ですけど・・・」

俺はうつむいた。

「じゃあ今のところは様子を見なさい。」

「え?それで良いんですか?」

俺は疑った。時間をかけるとどんどんまずい方向へ行く気がする。

「良いのよ。それに構ってくれる、ということはまだ完全に嫌っていない証拠よ。」

さや先輩が俺に気休め的な発言をしたが、俺はその優しさが嬉しかった。

それで結局次の日の朝を迎えた。



いつものように俺は朝にはなびを起こしに向かった。しかし・・・

「え?誰もいない!?」

そこにははなびの姿が見当たらなかった。

ただ、一枚の紙切れが机の上においてあった。

「うん?」

俺はその紙切れを見た。

「え!?」

俺はその紙切れの内容に驚いた。

「憎きカイへ。これからはなびは私が起こすから。アンタもう来ないでいいわよ。by咲」

咲からの手紙だ。ていうか俺は不必要だ、という内容だからあまり嬉しくはない。

俺は少し呆然としたが気を取り直して登校することにする。

・・・

空を見てみたがものすごい晴れていた。何だか空が妬ましい。

何で空は青、俺の心はブルー。同じ青なのにこうも意味合いが違うとアイロニーを感じる。

そのまま憂鬱な気持ちで俺は坂を上った。



ガラガラ

俺は教室に入った。

「オッス。」

「おう。」

俺は俊哉と挨拶を済ませた。

「レイとはなびは?」

俺は俊哉に二人の場所を聞いた。

「レイちゃんはまだ見てない。はなびちゃんは例の咲ちゃんとどっかへ行ったよ。」

「そ、そうか・・・」

朝のこともあって咲の話題になるとつい動揺する。

「どうした?はなびちゃんのことが心配か?」

俊哉はニヤニヤしながらこっちを見てくる。

「そ、そうじゃねえよ。ただちょっと・・・な・・・」

俺がそう言葉を濁すと俊哉はぴたりと質問を止める。俊哉はこういうとき凄くいい奴だ。だから悪いけどそれを利用させてもらおう。

「ほう・・・そういえば委員長がお前を呼んでいたぞ。」

それは早く言え。

「どこだ?」

委員長とは厳密に言えば二人なのだが一般的には城凪夕陽である。というか古賀は多分もうほとんどの人に委員長だということは覚えられていないだろう。

「何か真里菜先生に呼ばれていたから職員室じゃないか?」

「サンキュー。」

俺は俊哉に手を振って教員室に行くことにした。

俺は急ぐあまりに廊下を走った。そして曲がり角にいた人物に気づかなかった。

ドン!

「うわっ!」

「キャッ!」

俺と女子生徒は互いに尻餅をついた。

「ナナちゃん?」

何とその女子生徒は七瀬ナナこと、ナナちゃんだった。

「うう・・・カイ先輩とぶつかる時期が微妙です・・・出来れば出会いのときじゃないと・・・」

ぶつぶつ呟くナナちゃんに俺はもう一度声をかけた。

「おっと、言い忘れていました。あなたが落とした財布は金の財布ですか銀の財布ですか?」

ナナちゃんがいきなり訳の分からないことをおっしゃりました。

「いや、財布なんて落として・・・・無い!」

俺は財布をいつの間にか落としていたらしい。

「ふふふ。さあザ・ジャッジ!」

古いし意味も違うことを言う。それって有罪か無罪かってことじゃないのか?

「俺の落とした財布は普通の財布だ。」

俺はありきたりの答えを言った。ナナちゃんが普通ならばこれで返してもらえる。下手すると金と銀の財布も手に入るかもしれない・・・欲張るのは良くないけど。

「さあ・・・答えは・・・正解?です?」

ナナちゃんが何故か首を捻る。

「実は私、正解知らないんです・・・」

「何だって〜〜〜!?」

俺は絶叫した。有り得ないだろ!まさか俺が正解を当てちゃったから意地悪してるんじゃ・・・

「というかカイ先輩の財布が無いこともついさっき知りました。」

「ええ!?」

ナナちゃんは適当なネタを言ったつもりがたまたまそれが現実に起きていたと言う。

「知っているなら止めろよ。」

「途中で止めると冷めますよ。」

ごもっともだが俺の財布がないことに変わりが無かった。

「じゃあ俺の財布はマジで無いんだな・・・」

「そのようですね。」

俺は委員長との約束を忘れて財布探しを始めた。ちゃんとナナちゃんも探してくれている。

「う〜ん・・・無いですね。」

「いや、そんなに手伝わんでも・・・」

俺は必死に探すナナちゃんの姿を見て申し訳なく感じた。

「いえ、大丈夫です。コ〇ンを演じている・・・と考えれば探索も楽しいです。真実はいつも一つです。」

そういっていつのまにか眼鏡を取り出してかけ、茶色い帽子とコートを着始めた。

「いや、ホームズさんも混ざってるから。」

江戸川シャーロック=七瀬ナナはますますノリノリで探し始めた。虫眼鏡も持ってきてますよこの子・・・

「ありませんね〜。」

「そうだな・・・」

何しろ手掛かりが何一つも無い。どこでいつ落としたのか分からない。下手すると外かもしれない・・・俺は気が遠くなった。

いくら入っている金がはした金でも俺にとっては大事な生活費だ。

「カイ先輩、麻酔銃を私の首に撃ってください!そうすれば眠りのナナになって何か思いつくかも!」

「麻酔銃持ってないよ!それに眠っちゃったら何もしゃべれないし!ていうかどこの小五郎だよ!?」

俺の長いツッコミはあまり評価がよろしくなかった。

「少し長いですね・・・もうすこし切ってください。」

「え・・・?」

俺はナナちゃんから駄目出しを食らった。というか後輩にツッコミを駄目出しされる先輩ってどうよ・・・

「こういうときは俺コ〇ンじゃないから!と言えば全て終了です。」

「でもそうしたら最後の眠ったら何かを思いつくにはかかっていないよ。」

先輩と後輩のツッコミ談義は続く・・・

「そうしたらこの作品コ〇ンじゃないから!でも良いでしょう。」

「う〜ん・・・確かに全てを一言でツッコんでいるけど・・・なんかインパクトが薄い・・・」

俺は出来るだけ印象を残すツッコミがしたい。

「インパクトですね・・・ツッコミながら何かすれば・・・」

「そうか!例えばツッコミながらバク転をすれば・・・」

「出来るんですか?」

「出来ない・・・」

俺はまだ考える・・・インパクトのあるツッコミについて。

「あえてツッコまないのはどうでしょうか?」

ナナちゃんが斬新な提案をする。

「そうか!そうしたらナナちゃんが突っ込めよ!っていえば俺がボケに・・・って最早俺ツッコミじゃねえよ!」

「あ、そうですね・・・というか今のノリツッコミ良かったですよ。」

「ノリツッコミか・・・」

俺は考えた。

「よし、一回トライしよう。」

俺とナナちゃんは会話を仕切り直す。

「では。カイ先輩、麻酔銃を私の首に撃ってください!そうすれば眠りのナナになって何か思いつくかも!」

「ああ!任せろ・・・って出来るわけねえだろ!!」

シーン・・・・

静寂だ。

『おお!!』

完璧だ!ノリツッコミ最高だぜイエーイ!俺達は同時に叫んだ。なかなかしっくりきたな・・・

「まさかノリツッコミでOKとは・・・しかも全てのボケに対して突っ込んでいます・・・」

「そうだな・・・麻酔銃を撃つことも、眠りのナナも、眠ったまま動かないこと全て出来ないからな。」

俺達は満足した。そしてツッコミ談義はまだ続いた・・・



俺はナナちゃんと存分に談義した後、ナナちゃんと別れて教室に戻った・・・

あれ?財布は?委員長は?

「しまった〜〜〜〜〜!!!」

俺は急いで教室に戻った。財布は正直諦めよう・・・俺は涙を流した。

ガラガラ

「委員長!!」

俺はすでに戻ってきている委員長に詰め寄った。

「何か用ですか!?」

俺はさらに詰め寄った。委員長は笑顔のままだが顔が少々引き攣っていた。

「えーと・・・財布落ちてましたよ?昨日廊下で見つけました。」

俺は委員長から財布を手渡された。というか俺は一石二鳥だ。一気に解決したぞ。テンション上がってきたぜ!!

「ありがとうありがとう!!」

俺は委員長の手をぶんぶん振り回して握手しながら感謝をした。

「あ、ああはい。どういたしまして・・・」

完全に困っている委員長。俊哉も困り顔。いつのまにか来ていたレイはこっちすら向いていない。

「よっしゃあ!!」

俺はテンションが高かった。もうはっちゃけすぎて何をしているのか分からない。ただクラスメイト達は変なものを見る目で俺の方を見ていたが・・・

というかさっさと委員長のところに行けば良かったじゃん、とか、俺は今日財布すら確認せずに学校へ行ったのかよ、とかは考えていない。だってテンション高いし。

ガラガラ

はなびと咲が入ってきた。はなびは俺の行動を見て怪訝そうな顔をして咲はゲッ!と言いたそうな顔をした。

教室が平穏に戻る。そして俺は咲を見た後、テンションが下がっていく。

「お、おはよう。」

「・・・おはよう。」

俺は一応二人に挨拶した。はなびは何とか挨拶してくれたが咲はシカトして他の女子と話を始めた。

俺は逃げるように教室を出た。



キーンコーンカーンコーン

予鈴だ。もうすぐ戻らなければ。俺はゆっくりとした足取りで教室に戻った。ん?何故かナナちゃんが一人で屋上にいるのが見えたような・・・気のせいかな。

俺はそのまま歩みを再開した。



そして放課後に事件が起こった。

「ねえ風見さん。」

何と咲がレイに話しかけた。

「どうしたの?」

レイは無表情で感情の篭っていない声で言う。

「今日私とはなびとどこか遊びに行かない?仲良くなりたいんだけど・・・」

咲はもじもじしている。そりゃあつい最近まで咲は同性の友達すらほとんどいなかったからこうなるのは仕方がない。俺もレイの隣の席なので成り行きを見守る。咲はもちろん俺の方を見向きもしなかった。

「・・・いいわ。」

「え?本当!?」

レイは同意したらしい。まあレイも友達を少しでも多く作らないといけないだろう。元々積極的でないし。

「違うわ。」

レイの言葉に咲を始め、周りにいた俺とはなびと俊哉が唖然とする。

「拒否の‘いい’よ。」

「え?どうして?」

俺も訊きたい。どうしてレイは咲と友達になるのを嫌がるのだろうか・・・?

「・・・はなびに続いて私までいなくなったらカイが可哀想でしょ?」

その言葉に咲は少し顔を歪めた。

「彼、私に片思いだから。」

「ちが「そうなの!?」」

俺の否定ははなびの追及にかき消された。

「いや、違うけど・・・いつものレイの冗談だよ。」

そう言ったらはなびはレイに「本当?」と聞いた。レイは俺達にウィンクで返した。そういえば俺って今日始めてはなびと話したな・・・

「・・・このバカイのせいであなたと私は友達になれないのね・・・」

咲が静かな声で呟く。そして俺の咲にとってのあだ名は「バカイ」に決まったらしい。

「・・・そうね。私は彼のことは大切だから。カイに冷たいあなたと仲良くなんて出来ないわ。」

「・・・そう・・・別に無理に・・・とは言わないから。」

そう言って咲は教室を出て行った。

「ちょっと・・・!」

はなびは急いで咲を追って教室を出た。

「結構冷たくない?」

俊哉はレイにそう訊くが顔は怒っていない。

「そうかしら?」

レイはいつも通りだと思っているに違いない。

「ゴメン。俺のせいで友達が出来なくて・・・」

俺はレイに謝った。

「どうして謝るの?」

「だってレイは俺のせいで友達の量が・・・」

俺がそう言うのをレイは遮った。

「友達って多ければいいものじゃないでしょ?私は友達を多く作るより今ある友情を大切にするわ。」

そう言ったレイは微笑んで俺と俊哉に言った。不覚にも俺はジーンときてしまった。結構レイは俺達のことを気にかけていてくれたらしい。本人に言ったら怒られそうだけど。

「だってよ。」

俊哉も同意する。俺は少しだけ気がかりがあった。

「ああ。俺もそう思うけどやっぱり俺のせいで・・・」

「だから私のことは・・・」

今度は俺がレイの発言を遮った。

「違う。咲のことだ。あいつ、俺のせいで友達出来なかったんだ・・・」

俺が気がかりなのは咲のことだ。やっぱり嫌われていても俺にとっては大切な幼馴染だ。

「・・・やっぱりあなたは優しいのね。」

レイは俺にそう言う。でもあんまり俺は嬉しくない。

「どういうこと?」

俺は少し声が低くなってしまったと思う。

「・・・どうしてそんなあなたが不良だったのかな?ということよ。」

俺と俊哉は沈黙した。

「もうこのことはいいでしょ。早く生徒会室に向かいましょう?」

あえて話したくないことは言わせずにレイは俺達と一緒に生徒会室に行った。



生徒会室にはすでにさや先輩とナナちゃんがいたがはなびはいなかった。

「はなびは?」

俺はさや先輩に訊いた。

「しばらく来ないらしいわ。」

「え!?」

俺達は驚いた。まさかまた俺のせい?

「咲ちゃんまだ学校に慣れていないからだって。」

「そうか。」

俺はひとまず安心した。一応俺のせいではない。

「何で安心してるの?はなびちゃん来ないのよ?」

「あ、そうですね。でもそれで咲に友達が出来るなら安いものです。」

俺のこの発言に室内は静まった。

「ふう・・・カイってこういう人だったわね・・・」

さや先輩はため息を吐くと仕事を再開させた。

「でも、寂しいです。」

ナナちゃんがそう言った。なんだかんだいってはなびとはかなり仲がいい。

「そうだな・・・」

俊哉もそう言う。

「なら簡単じゃない?咲ちゃんを生徒会に入れればいいのよ!!」

さや先輩が言い切った。いや、言い放ったの方が正しいのかもしれない。

「これから作戦を考えましょうか・・・」

さや先輩率いる生徒会チームと咲のバトルが始まりつつあった・・・

俺はこれかだどうなるのかひたすら不安になった。



そう、不安だ。






関係ないですけど第6話と第15話が妙に人気です。


それとは打って変わってギャグ調の話はあんまり人気無いですね。


さや「次回予告!!」

カイ「さあさあさあ!」

さや「無理にテンション上げなくていいわよ」

カイ「う……」

さや「次回はカイと咲ちゃんのバトルよ!」

カイ「さいですか……」


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