第22話 俺と咲と生徒会
仮タイトルは俺と咲
〜あらすじ〜
とうとう2学期になった。
そんな時期に転校生が。
その転校生はなんとカイとはなびの幼馴染の咲だった。
咲はカイに会うなり「死ね★」と言った。
一体二人の間に何が!?
俺と咲の再会は予想以上に大事になった。
はなびからは何回も問い詰められた。しかし俺達ははなびに黙って付き合っていたので本当のことは言えずに適当に濁してしまった。
その態度のせいではなびからは不審がられるが、咲の機転で上手く丸め込めた。
咲はずっと俺のことを睨んでいたけど。
俊哉は我関せずでレイと同じだった。大した興味もないのか?と聞いてみたら二人は話したくなったらで良いと言ってくれた。二人は寛大だった。
もちろんこの噂はクラス内だけに留まることはなかった。下の学年、上の学年にまで伝わっていた。
瀬川先輩には弄られるし、那穂ちゃんにすらからかわれた。
ほとぼりが冷めることはあまりなさそうだ・・・
そんな日の生徒会室・・・
「・・・」
「・・・」
無言だ。誰も何も話さない。多分俺のせいだろう。
「ちょっと・・・」
俺が口を開けると一斉にこっちを振り向いた。かなりその光景が怖い。
「トイレに行くから・・・」
俺はそう告げてさっさと部屋を出た。
あの空気に正直ずっといるのはつらい。俺はギブアップして屋上に行った。
しかし屋上に一番会いたくない奴がいた。
「ん?」
しまった!俺は咲に気づかれる前に全力で階段を下りた。
仕方ないから生徒会室に戻った。
「・・・」
俺が部屋に入ると俺を全員が見つめてきた。
「えーと・・・何?」
「別に・・・」
さや先輩が珍しく言いたいことを言わなかった。それほどこの状況は緊迫しているのだろう。
この時期に転校してこなくても・・・
ガラガラ
「はなび〜。いる?・・・・ん?チッ!!」
生徒会室に入ってきたのはあろうことか咲だった。その咲は俺のほうを見るなり舌打ちをした。
「な、何?」
「図書室に案内してくれる?場所分からなくて。」
「う、うん!じゃ、じゃあ私行くから。」
そうそそくさと出て行ってしまった。・・・はなびもこの空気を嫌がっていたのだろう。
「あれが咲先輩ですか・・・可愛い系の人ですね。」
ナナちゃんは初めて見た咲をそう評価した。間違ってはいない。身長も低いしスタイルも良くないからそう見える。もちろん顔は確かに可愛い。一応俺も付き合っていたからその部分は認める。
「で、あのカイに対する態度、会っていきなり舌打ち・・・ずいぶんと嫌われてるじゃない。」
さや先輩が俺に言う。でもいつもの茶化した感じではなかったが。
「え、えーと・・・ははは・・・」
俺は苦笑するしかなかった。
「えーと、この空気何とかしません?」
「あなたがするのよ。」
「う・・・」
俺のせいなので俺が何とかしなければならない・・・らしい
「えーと・・・分かりました。」
俺ははなびがいないので話すことにする。
「はなびには内緒ですよ?」
俺のこの言葉に全員が頷く。
「率直に言うとですね・・・俺と咲は中学1年の頃に付き合ってました。」
『エエ!?』
みんなが驚く。それはそうだろう。一体どんなことをすればああいう風になってしまうのか気になるだろう。
「それでですね、咲は家庭の事情でアメリカに行くことになったんです。咲は反対しました。でも駄目でした。咲は美作モーターズの社長、美作奉廉の一人娘です。だからそのために留学が必要だったらしいです。それで結局咲は留学を決めました。そして帰国の条件が大学卒業でした。」
俺は一応ここまで一気に述べる。
「何か質問ある?」
「と、いうことは咲ちゃんは大学を卒業したわけだ。」
さや先輩が正しいことを言う。こういう部分はさすがだ。
「それで俺と咲はいつのまにか彼氏彼女の関係になりました。理由は分からないんですけど咲がはなびには言うなと言ってきたのではなびには言えないんです。」
「それは、まあ・・・」
俊哉とレイは俺を見てため息を吐いた。
「そして咲が留学しても俺達は手紙でやり取りしていた。でもまあ俺は・・・」
「そうそう、こいつ格好つけたくなる年頃でね、中二病を発症させたんだ。」
俊哉が俺に助けを入れた。俺も話したくないことがあるから。
「まあそれの影響で俺は咲に連絡しなくなった。不審に思った咲が手紙を送ってくれた。その時やっと咲の存在を思い出した。だから俺はこのときに‘俺にもう関わらないでくれ、それに俺はお前のことを忘れていた。だからもう連絡するな’と書いた手紙を送った。」
「うわあ・・・酷いですね〜・・・」
ナナちゃんが俺を責める。仕方ない、この時の俺はもう思い出したくも無いほどに歪んでいた。
「まあ向こうはそれで納得しないだろう。だから何枚も手紙を送ってきた。だから俺はもう中三になるからと言って住所を変えて今のアパートに引っ越した。もちろん親に勘当されてだったけど・・・まあこれが一部始終。だから恨まれても仕方がないんだ。」
俺はやっと言い切った。過去を掘り起こすのはあまり気持ちのいいものではないと感じた。
「ふうん・・・何と言うか・・・ね?」
さや先輩がナナちゃんに話を振る。
「酷いですね。」
俺の心にダイレクトアタックを放ったナナちゃん。まあ正論だけど。俺も先にこんなことされたらムカついただろう。
「まあ俺としては・・・微妙だな。あのときにお前を知っているしな・・・」
俊哉は中立だ。こいつはどうしても俺の味方をする。
「まあ私は・・・そろそろバイトの時間だから帰ります。」
そう言って帰り始めた。
「何その話の流れ!?流れ的に今の発言おかしくね!?」
俺はついついレイにツッコんだ。
「別に。」
そう言うとレイは帰った。
それから数秒後・・・
ガラガラ
「ゴメンねみんな。ちょっとしゃべっちゃって・・・」
はなびが帰ってきた。
「さっきレイが帰るのを見たんだけどどうしたの?」
「バイトだって。」
俺がそう答える。
「それにしてもなんか空気よくなった?」
はなびの言うとおり俺が話したおかげで空気が元に戻っていた。
「まあ俺が話したから。」
「そうなんだ。」
はなびが笑顔を見せる。ただはなびに話した内容とは違うが。
その後、仕事が十分に捗った。
そして俺達は結局いつもどおりになったので、帰ることにした。
「じゃあね〜。」
まずナナちゃんと別れた。
「じゃあ。」
俊哉とも別れた。さや先輩は何故か俺たちについてきた。
「あれ?さや先輩は?」
俺はもちろんさや先輩に聞いた。
「こっちの方に用があるのよ。」
「ふうん・・・あ!私ここだから。さようなら!」
はなびは元気に家に戻っていった。はなびとしては幼馴染の咲が帰ってきて嬉しいのだろう。
「それで、さや先輩。用というのは?」
「あなたによ。」
「俺!?」
どうやらさや先輩の用事は俺らしい。
「ここじゃちょっとアレだから、あなたの家で話すわ。案内して。」
「え!?」
俺は驚いた。まさかさや先輩が俺の家にだと〜〜〜!!!?
もう混乱している。
「早くして。」
「あ、はい。」
俺は結局機械のように案内した。
「・・・」
さや先輩には不審がられた。当然だ。
「こ、ここです。」
俺は挙動不審だ。気味が悪いぞ。
「・・・うわあ・・・意外と綺麗ね。」
俺の1LDKの部屋を見て呟いた。意外は余計だ。俺は綺麗好きだからよく掃除をするんだ。
「意外は余計ですけど・・・あ!そこに腰掛けてください。」
俺はさや先輩を家の中にある唯一の椅子に座らせる。俺はベッドに座った。
「そ、それで話とは?」
狭い部屋の中で二人きり、はなびは慣れているが、さや先輩が相手だとものすごく緊張する。
「・・・なんか挙動不審じゃない?・・・ああ緊張しているのね。私と二人っきりだから!可愛いわよ。」
「そ、それより本題をお願いします!」
俺は急いで話を切り替えた。また俺を弄繰り回す気だ。
「咲ちゃんのことは今はどう思っているの?」
「――――――――――――――――――それは・・・」
俺は躊躇う。そして良く考える。今、俺は咲をどう思っているのか・・・
「多分俺に恋愛感情はありません。でも大切な幼馴染です!」
「そう・・・ならけじめつけないといけないわね。」
俺の結論は咲が大切な人であることには変わりはないということだ。
だからこそ求められる和解。勘違いしたままだといろいろと良くない。
「分かりました。謝ってきます。」
「そうよ。頑張りなさい。」
さや先輩の言うことは正しい、俺はそう信じ切れていた。
「大丈夫よ。分かり合えるわ。」
さや先輩にそういわれて勇気が出た俺。でも俺は忘れていた。美作咲はさや先輩より遥かに頭が良いということを。そして彼女を読みきれないかもしれない。俺の頭はそれから欠落していった。
俺は咲のアパートらしき場所に到着した。もちろん場所ははなびから聞いた。
と、いうか金持ちの咲がどうしてこんなところに住んでいる?というのが真っ先に浮かんだ疑問だ。
俺は咲の部屋の前に来た。そしてドアをノック・・・
コンコン
・・・静かだ。
次はインターホンだ。
・・・開けてくれ!!
「何〜?」
寝ていたのか、眠そうな咲の声が聞こえた。
「俺、カイだよ!」
俺は大きな声で名乗る。
「一体どうしたの?」
咲は扉を開けないらしい。でも話は聞いてくれそうだ。
「えーとその・・・ゴメン。」
俺はまず謝った。
「どうして?」
何故か分からないが咲の周りが霧に包まれた感じになる。
「えーと、お前に無断で別れたからさ・・・。」
「ふ〜ん・・・許して欲しい?」
ドアを開けて咲が俺に笑顔を見せた。
「ああ。」
俺は頷いた。許してくれるんだったら何でもやる覚悟だ。
「そうね、答えはNO。」
え?咲の意外な答えにびっくりする。どうしてだ?何が悪かった?
「え?どうして・・・?」
俺は驚いた後に混乱する。何でNO?
「それは私があなたを許しきれていないから。それ以上でも以下でもないわ。」
そう言って咲はもう俺に話すことは無かった。これ以上の議論が無駄だろう。
咲は俺を追い返した。そしてとぼとぼ歩いてようやく俺は咲に許されていない現実を思い出した。
どうしてだ?俺はずっと考えた。台詞もさや先輩に教えられたとおり言ったのに。何がいけなかったのかが全然思いつかなかった。わかったことは咲は俺を許していないこと、だ。
しかしこの時の咲の意図は誰も理解していなかった。
そう、誰も。
咲は頭がいいです。
レイ「次回予告」
はなび「次回は大変よ」
レイ「どうして?」
はなび「何と咲とレイが喧嘩を!」
レイ「あら?そうなの?楽しみね」
はなび「勝つ自信あるのね」
レイ「ううん。女同士で喧嘩したこと無いから、楽しみ」