第21話 転校生と生徒会
仮タイトルは「再会は突然に」
第2部スタートです。
〜あらすじ〜
夏休みが終わって2学期になった。
俺の学校生活が再び始まる。
夏休みが終わった。2学期の到来だ。
俺はいつもどおりに早起きしてはなびを起こしに向かった。
「・・・・」
いつものようにはなびは起きる気配が無い。
さすがに新学期早々遅刻はまずい。それに俺達は生徒会役員だ。遅刻したら他の生徒に示しがつかない。
「マジ、起きろよ。」
俺は体をゆする。だがやはりそれでも起きない。
「仕方ない・・・」
俺はいつもの秘密兵器を使った。・・・いつも使っているのに秘密兵器っておかしいけどな。
はなびの布団をどけてはなびをベッドから落とした。
・・・起きないぞ。
まずいことになりました。まさかの秘密兵器が効果ありません大佐!
「むむむ・・・」
俺は最後の手段を使うことにした。
はなびのパジャマを脱がして制服を着せた。・・・すごく変態的だけど仕方ないんだ。
俺ははなびをだっこして下に降りる。
朝食は食べられないだろう。俺はそのまま家を出た。
だがだっこしながら歩くのは恥ずかしいし疲れる。俺は困った。
そんな俺にあるものが飛び込んだ。自転車だ。
俺ははなびの家からはなびの父親の者と思われる自転車を無断で借りることにした。
俺ははなびの腕を強引に俺の体に巻きつけた。運のいいことにはなびは俺の体を強く抱きしめてくれた。
そしてはなびを後ろに乗せて俺は自転車を漕ぎ始めた。
まだ時間が早いおかげで幸い人通りが少なかった。おかげでからかわれることも無い。
そして自転車置き場まで自転車を持ってくると、はなびが起きた。
「う・・・う〜ん・・・」
「おはよう。」
「あれ?カイおはよう。」
お前どんだけ寝てんだよというツッコミはやめといた。したら俺がはなびを着替えさせたことがばれてしまう。
「おはよう。お前今日眠いから自転車に乗るって言ったの覚えてる?」
「何それ?」
俺は嘘をつくことにした。まだはなびに殺されたくは無い。
「覚えてないんだな。大変だったんだぞ。お前すぐに寝るから。」
「あ、そうなの?ありがとう?」
よく分からないおかげで感謝も疑問形だ。ていうか感謝されると何か罪悪感が沸く。
「まあいいよ。早く行こうぜ。」
俺は話を途中で打ち切って生徒会室に行くことにした。
「おはよう。」
生徒会室に入るといつもと変わらずにさや先輩が俺達に挨拶をした。
「おはようございます。」
「おはようございます。」
挨拶を返してすぐに俺達はいつもの自分の席に座った。
「最近どう?」
さや先輩が訊かれると困る質問、堂々の第一位の質問を俺達にしてきた。
「別に・・・普通。」
「まあ・・・」
俺達はもちろん困った。この質問には何て答えれば良いんだ?
「ふふふ・・・困っている困ってる。」
さや先輩は俺をからかう姿勢は決して崩さない。
「おはよう。」
その時レイが入ってきた。
『おはよう。』
みんなで返した。
「レイちゃんは何かあった?」
「・・・特に無い。」
レイは予想通りの答えだった。
「いや・・・」
しかしレイは何かを思い出したようだ。
「最近カロリーメイト派からSOYJOY派になったわ。」
『・・・』
何だそれは。別に聞かなくても良かった。本当にコイツ栄養食品ばっか食ってんな。
「まあ、それはともかくナナちゃんは?」
「はう!ばれました。」
いつのまに扉の前で様子を伺っていたナナちゃんを見事に見つけたさや先輩。
「私は夏コミに命かけましたね。」
「え?夏コミ?」
俺は聞き返した。
「そう、夏コミです。」
「ああ、夏コミね。」
「夏コミか。」
「夏コミね。」
「え?夏コミ?」
俺一人だけ困惑している。夏コミって何だよ!
奈津子見って言って奈津子さんを監視することなんだろうか。
それ、変態だな。考えた俺も変態なんだろうな・・・
「ふうんそれでそれで。」
女子たちは女子だけで盛り上がっていた。
俺だけ仲間はずれ・・・シクシク。
ガラガラ・・
そんなところに俊哉がやって来た。今の俺にとって救いの女神だ
「俊哉ぁ〜。」
俺今超キモイ。マジひくわ。
「おお、おはよう。どうしたカイ、キモイ声出して。」
俊哉も軽くひいていた。
「俊哉〜!」
俺はあまりの寂しさに俊哉に抱きついた。
「うわあ!!止めろカイ!俺にそっちの気はない!」
俊哉が嫌がる。
「うわあ・・・」
「やっぱりあの二人は・・・」
「ガチホモなんて初めて見ました・・・」
「カイのバカ・・・」
ん?何で俺こんなことを・・・みんなが見ている前で。
カシャッ
「うわ!」
途中でフラッシュが焚かれた。
「な、何だ?」
「フフフフフ・・・」
天井裏から声がした。
「誰!?」
これにはさすがのメンバー全員が驚いた。
「誰?と訊かれたら、答えてあげるが世の情け。世界の平和を守るため。地球の破壊を防ぐため。愛と真実の悪をつらぬく。ラブリーチャーミーな堅き役。な初島美空でーす。」
「・・・・・」
俺達は沈黙した。
「あれ?あまりの素晴らしさに感動しました?」
素晴らしくもないし感動もしていない。
「あなたは確か特別企画02で颯爽と登場してこれから出ますと言われたのにもかかわらず結局第一部にそれしか出番がなかった初島美空さんね。」
さや先輩が早口でまくし立てる。
「そ、そんなものはどうでもいんですよ!」
「ふうん・・・だから忘れられないうちに第二部では初回から出てきたのね。」
「う・・・さやさんって私のこと嫌いですか?」
美空先輩がうろたえる。さすがにさや先輩相手では分が悪い。
「嫌いじゃないわよ。ただ虐めるのが大好きなの。」
それを人はサディストと言います。
「くっ・・・それよりカイさん!この写真どうなってもいいんですか!?」
そうして俺と俊哉が抱き合っている・・・ていうか俺が一方的に抱きついている写真を見せてきた。
「そ、それは!!」
俺はいきなりピンチだ。
「何か私酷い事されたし情けをかけずにこれを生徒達に公開することにします。」
「ちょっと止めて!!」
俺はさすがに形勢が不利になったので懇願することにした。
「俊哉も何か言ってよ!このままじゃ俺達は・・・」
「わかった。」
俊哉が俺に同意してくれた。た、助かるかも。
「美空先輩。その写真は俺がカイに襲われたって言う設定で。」
「オイーーーー!!何言ってんじゃ〜〜〜!!」
見事に俊哉に裏切られました。
「そ、それは・・・べ、別にいいですけど・・・」
何故か美空先輩が赤くなってもじもじし始めた。
「ふっ。俊哉やるわね。」
さや先輩が俊哉に言った。
「え?カイの虐め方ですか?」
「・・・・あなたも中々の鈍感ね。」
「へ?」
珍しく俊哉が呆けた顔をする。ていうか俊哉鈍感だったんだ・・・それに気づかない俺も凄い鈍感なんだろうなあ・・・
「まあいいわ!!これを新聞に貼って印刷すればそれで終わりよ!!」
美空先輩がスパーンと言い切った。満足そうな顔で。
「さ、さや先輩!助けてください!何でもしますから!!」
俺はもう見えも外聞も捨ててさや先輩に平伏して助けを求めた。
「ウフフ・・・おっと涎が出てしまうわ・・・そこまで言うのならいいでしょう。」
さや先輩が妖しげな笑みを浮かべて俺に言ってきた。
「美空さん、ちょっと。」
そう言って美空先輩を呼んでさや先輩が何かを耳打ちした。
「・・・それで・・」「え?でも・・・」「・・・俊哉なら・・・」「・・・本当に?・・・」
断片的にしか聞こえなかった。
「さ、俊哉。美空さんと二人でデートしてきてね。」
「え?俺っすか?」
何か良く知らないが俊哉と美空先輩がデートする、という結論で終わったようだ。
「まあいいですけど・・・どこの撮影会行きます?」
「!」
俊哉はムードが全然無かった。
美空先輩は嬉しいやら悲しいやらの百面相をしている。
「・・・」
さや先輩、ほか3人も沈黙したままだ。
「さ、始業式行きましょう?」
長い沈黙をさや先輩が強引に破って俺達は始業式に行くことにした。
俺ははなびと俊哉とレイと共に自分のクラスメート達がいる場所へ行った。
何かみんなそわそわしていた。
「どうしたんだ?」
俺は近くにいた古賀に聞いた。
「転校生だって。」
「転校生?」
どうやらまたこのクラスに転校生が来るらしい。
「へえ・・・お前ら知ってた?」
「いや。」
俊哉は否定し、レイも首を横に振った。
「はなびは?」
「わ、私・・・?あ、ああそういえば聞いた事があるかも。」
滅茶苦茶挙動不審に答えるはなび。
「どうした?」
「あ、いや別に何でもないから!レイ、行こう?」
はなびはそう言ってレイを引っ張って他の友達の方へ行ってしまった。
「ふうん・・・この時期に転校生か・・・」
俺はついレイを思い出す。出来ればレイタイプじゃないのを希望する。
「何か、あるかもな・・・」
俊哉の呟きは俺には聞こえなかった。
退屈な始業式が終わって俺達は教室に戻った。
みんな久しぶりの学校で友達との話し声がいつもより多い。
ガラガラ
「ほら、席に着け。」
真里菜先生が入ってきた。
クラスメート達は自らの席へと戻っていく。
「久しぶりだなみんな。夏休みなんかあったか?ちなみに私はカイに放置プレイされた。」
『何〜〜〜!?』
真里菜先生が言ったと同時に真里菜ファンクラブのメンバーが立ち上がった。
「先生ちょっと!」
俺は真里菜先生に反論したい。しかし、事実だ。
「嘘は言ってないだろう?」
「う・・・」
事情を知らないクラスメート達は俺の方をじっと見てきた。
『許すまじ!!蛟刃カイ!!』
真里菜ファンクラブの人たちのシンクロ率が400%になった。
「まあそんなことより今日は転校生がいるわよ。」
それを聞いたクラスメート達は俺への興味をなくしてその転校生に興味を持った。
「じゃあ入ってきて。」
ガラガラ・・・
その転校生が入ってきた。
かなり端正な容姿をしている。ただ身長は低くまるで中学生みたいだ。
しかし俺は何か違和感を感じた・・・この顔はどこかで・・・あ!
俺は思い出したこいつは俺とはなびの幼馴染の・・・
「美作咲です。これからよろしくお願いします。」
「咲ちゃんはアメリカの有名大学を卒業している秀才よ。だから同年代の友達が少ないからみんな仲良くしてあげてね。」
まさか咲が大学を卒業しているとは・・・ただ少し困る。俺はコイツの・・・
「みなさんよろしくお願いします。」
そういうと咲ははなびの前の席に座った。ここって誰もいないのかな?まあいいや。
そうして少し咲ははなびと楽しく話した。
しかし急に「あ!」と俺の方を向いた。
まずい・・・こいつは俺の・・・
「久しぶりねカイ。死ね★」
みんな呆気に取られた。だってこいつは俺の元カノ。俺はコイツの元カレ。
俺はコイツを振った。咲は俺に振られた。
しかもかなり理不尽な理由で。
「これからよろしく。ものすごく退屈しない生活にしてあげる。」
そう言って黒い笑みを俺に浮かべた。
確かに退屈しなさそう・・・でも俺はそれ以上に不安だ。
そう、不安だ。
咲とカイの出会いです。
これからもっとカオスになります。
咲「次回予告です」
カイ「えーとなんで俺達二人が選ばれたのか理解できないのですが…」
咲「次回は普通の話です。私と……」
カイ「俺のです、はい」
咲「……」
カイ「……なんで黙る?」