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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第一部 日常
18/104

第14話 料理教室で生徒会

仮タイトルは「最強のサド達が集まる!料理は!?」


〜あらすじ〜

カイは前回、レイに紹介されたバイトを続けていた。

今日は何が起こるのか・・・

6月だ。紫陽花も咲き始めた。しかし長い雨の季節の始まりでもある。

そして今日も雨が降っていた。

雨は憂鬱な気分になる。特に俺は。嫌なことを思い出させる。

「はぁ・・・」

知らず知らずのうちにため息を吐く。

「一体ため息なんてついてどうしたんですか?」

話しかけてきたのは委員長の城凪夕陽だ。時々こうやって俺に話しかけてくる。

「いや、憂鬱だな・・って。雨は。」

俺は素直に思っていたことを口にする。

「まあ雨が超好きなんていう人あまり見たことないですね〜。」

委員長は俺に同意していた。いつもの笑顔で。

「そういえば後輩の・・・七瀬ナナさん・・・でしたっけ?呼んでいましたよ。」

「え?」

意外だった。いつもは我が物顔で俺の席に座ってはなび達と談笑しているのに。

「家庭科室らしいですよ。これは何か怪しいですね〜。」

そう言われて俺は家庭科室へと向かった。



ガラガラ・・・

俺がドアを開けるとそこにいたのはナナちゃんを始めとする後輩軍団人衆だった。

「一体どうしたんだ?」

俺は不思議に思って聞いた。

「実はですね・・・明後日の放課後に料理教室をやるんです。」

「料理教室?」

俺はナナちゃんに聞き返した。

「はい。実は私達が学校に子供達に料理を教えたい、と申請したんですよ。それで駄目元だったんですけど、通ってしまったんですよこれが。」

ナナちゃんが興奮しながら話していた。それほど料理がすきなのであろう。

「ふ〜ん。なるほど。そしてそれが俺と何の関係が?」

「私達の助手をしてほしいんです。」

那穂ちゃんが言う。

「恥ずかしながら私たち3人は料理はからっきし駄目ですから・・・」

確かに那穂、美代子、久美の3人は飯盒炊爨で事件を起こした。

「う〜ん。予定あるかもしれないから考えてみるよ。」

俺は半分は面倒くさい気持ちがあったので返事を保留にした。

「いえ、これは強制です。なんと先輩の明日と明後日の予定はありません!学校も行かなくて良いのです!」

「何でだよ!?」

学校行かないのはさすがにまずいだろ・・・と偉そうにしゃべるナナちゃんを見た。

「実は校長先生にパンチラを・・・冗談です先輩!叩かないでください!でも適度に叩いて!」

俺がナナちゃんを叩くと(弱くだが)よく分からない言葉を口走った。

「さや先輩に申請したらカイ先輩を好きなだけ使うように。守らなかったら・・・分かっているでしょ?だそうです。」

さや先輩の強制がかかっていた。拒否したら多分殺されるだろう。

「わかったよ。行くから。」

俺は諦めて音を上げた。

「じゃあ今日の昼休みから着てね〜。」

そう言って先に帰ってしまった。

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・

「やべえ授業だ!!」

俺は急いで教室に戻っていった。

もちろん遅刻しましたが何か?廊下に立たされましたが何か?



そしてその日の放課後・・・

俺はさや先輩の許可を貰って家庭科室に約束通り来ていた。

「あ、やっぱり来てくれたんですか!嬉しいです!」

ナナちゃんは俺が来たのを見て満面の笑みを浮かべた。

「いや・・・だって俺に逃げ道作らなかったくせに・・・」

しかし俺の反論は無視されていつの間にかエプロンと三角巾を装着させられた。

「今やったのどんな技!?」

「さて、説明に入りましょう。」

「シカト!?」

俺のツッコミをさらりと受け流したナナちゃん。かなりの手練と見える。

「子供達に教えるので作るのは簡単なものです。」

「せんせー。おにぎりですかー?」

那穂ちゃんが聞く。

「違いますよ。ですが子供達の好きなものです。」

「せんせー。はんばーぐですかー?」

今度は由美ちゃんが聞く。ていうか何だお前らこの変な空気。

「違いますよ。そこまで手は込んでません。でもフライパンで作るものですよ。」

「せんせー・・・。やきにくですかー・・・?」

美代子ちゃんが恥ずかしがりながら聞く。やっぱりこんなことするの恥ずかしいだろ。

「違いますよ。肉料理ではありません。」

「せんせー。やきざかなですかー?」

久美も真似する。俺が相手じゃないからか、人見知りモードにならない。

「違いますよ。魚料理でもありません。ほとんどの人が甘く作るものです。」

俺はしょうがないから発言してみた。

「卵焼きじゃないの?」

そう言った途端に皆の目が変わった。正確にはナナちゃん以外の4人は俺を哀れみの目で見ていた。そしてナナちゃんはどす黒い笑みを浮かべていた。

「ふふふ・・・センセイはあなたの発言を許可していないのだけれど・・・」

そう言って地面に鞭を叩き付けた。いつ装備していたんだ?と疑問に思っていた。

「ふふふ・・・悪い生徒にはね・・・オシオキしなくちゃ。」

そう言って鞭を持って俺に近づいてくるナナちゃん。他の4人に助けを求めてみるが、みんな手を合わせて謝っていた。

「さあ・・・そこに座りなさ〜い。」

何かわざわざ色っぽい声を出していた。だがはっきり言って目はイッていた。

「あの・・・目がイッちゃってますよ・・・?」

パチン!!

「痛っ!!」

突然ナナちゃんの持っていた鞭で右腕を叩かれた。

「さっさと座りなさい!って言ってるでしょ!」

パチン!!

「痛ッ!!」

また叩かれた。はっきり言って俺はマゾヒストではないので正直痛みしか感じない。ていうかナナちゃんの変貌ぶりに俺は驚いていた。

「オシオキよ。服を脱ぎなさい!」

「え?」

それはまずいんじゃあ・・・まあ多分冗談だな・・・自信ないけど・・・

「ナナちゃん・・・それはマズイよ・・・」

那穂ちゃんが助太刀する。

「メス豚の分際で私に逆らう気?アンタから調教してもいいのよ。」

「ひぇ!!申し訳ありませ〜ん!!」

那穂ちゃん撃沈。俺は絶体絶命。

「さあ早く脱ぎなさい!」

脱ぐことは出来ない。俺にもプライドがある。というかナナちゃんをいつもに戻すのが先だ。

俺がそう思案する間に再び鞭が飛んできた。

パチン!!

「痛っ!!」

「さっさとしなさい!それとも逆らうの?豚野郎。」

もう既に俺の知っているナナちゃんじゃない。どうすればいい・・・?と考えているとナナちゃんに見えないように美代子ちゃんがカンペを見せてきた。そこには「鞭を手放せば元に戻る」と書いてあった。

「えーと・・・それは出来ない。」

「!!」

そうナナちゃんの目が見開かれた。最早アメリカのホラー映画並みに。怖いんですよ?美少女の目がかっ開くのって。

「そう・・・ならイキなさい!!」

そういって再び鞭を振り下ろしてきた。俺はその瞬間を狙った。振り下ろしてきた鞭を素手で掴み、強引に奪い取った。

正直手がひりひりする。

「はっ!私は一体何を!?」

ナナちゃんが元に戻った。ベタな台詞を言いながら。

「カイ先輩!早く鞭を放して!」

那穂ちゃんが俺に叫んだ。

「どうしてその必要があるんだ?」

俺は知らず知らずのうちに口に出していた。

「お前らを調教するまで放さねえよ。」

俺は体がふわふわしてくるのを感じた。この感じ、体が自分のものじゃなくなる感じ。俺は知っている。

「や・・・やばいよ・・・どうする?」

由美ちゃんが不安そうに言うが所詮は俺の下僕なので無視。

「まずはそこに並んでもらおうか!」

俺はいつもよりかなり厳しい声で叫んだ。

「さあ・・・誰から調教してやるか・・・」

「あなたよ。」

「何!?」

突如後から声がした。振り向くとそこにいたのは邪悪な笑みを浮かべたさや先輩だった。

「て、てめえは・・・!」

俺はさっきまでの余裕が無くなっていた。

「久しぶりね・・・サドジャック。」

「く・・・サドクイーン・・・」

俺は自分でも何言っているか分からないのでスルーすることにした。

「あなたが私に勝てるのかしら?」

「やってみなくちゃわからねえよ!」

俺とさや先輩はそういって互いの鞭で攻撃しあった。するどいパチンという音が部屋中に鳴り響く。

しかし相手の鞭のほうが強いらしく、もうこっちの鞭はボロボロだ。

「くっ・・・」

「さあ地獄に帰りなさい!」

そう俺は最後の一撃を受けて意識を失った。

しかしカイは自分の最後の一撃も相手を気絶させていたことは知らなかった。



「う・・・う〜ん・・・」

俺は起き上がった。どうやら家庭科室で寝てしまったらしい。記憶が混乱している。

「何かあった?」

周りの微妙な雰囲気に耐え切れずに俺は思い切って訊いた。

「別に何もありませんよ・・・」

みんな顔を赤らめたり、動揺していたりしていた。しかし触れて欲しくなさそうだったので俺はそこで追求を止めにする。

「そ、そういえばですね。作る料理は卵焼きに決まりましたよ。」

「そうか。」

卵焼き・・・?何か記憶が曖昧だな・・・。俺はちらりと横を見ると鞭が2本捨てられていたゴミ箱を発見した。

「なあ・・・」

「さ、続きいきますよ!」

ナナちゃんは俺の質問を無視して俺を引っ張って調理室に連れて行かれた。

ちなみにあの2本の鞭は共に瀬川先輩のものであると知ったのはこれからずいぶん先のことである。



とうとう料理教室の土曜日がやって来た。俺は昨日と今日、ナナちゃんによって学校にも行かされなかった。全ては料理教室のため。

俺とナナちゃんと由美ちゃんは調理、後の3人は雑務担当だ。

俺達は家庭科室で子供達が来るのを待った。

「ついに来たな。」

「そうですね。楽しみです。」

俺達は時間がなかったためにここ2日間は働き詰めだった。料理の練習ではなく器具の調達のほうが大変だった。

そう言っている間にぞろぞろと子供達が入ってきた。

「こっちですよ・・・」

人見知りの久美ちゃんまで頑張って子供達を案内していた。

そしてある程度席が埋まった。

「ではこれより料理教室を始めたいと思います!」

ナナちゃんの掛け声に拍手が漏れる。

「今日みんなが作っていただくのは・・・これ!みんなの大好物の卵焼き!」

そう言うとナナちゃんはお手本を見せた。かなり上手い。さすがだ。保護者の方々からも拍手が沸き起こっている。

「以上。こんな感じです。みなさんはここまでしなくても構いませんが・・・」

確かに。はっきり言って上手いので保護者の方々の方が食い入って見つめている。

そして料理教室がスタートした。料理についての質問は俺と由美ちゃんとナナちゃんが答えて、あとの3人はずっと雑用していた。

こうして大きな事件は無く料理教室は終了した。

パチパチパチパチ!!ナナちゃんにみんな大拍手だ。

俺も自然と拍手していた。



「ふう・・・これで全部・・・」

片づけがやっと終わった。回収するフライパンもそうだが、子供達が使用したせいか、さらに汚かった。だからかなり時間がかかった。

俺とナナちゃん以外の4人はもう帰っている。それぞれ夕方から用事らしい。

そして俺とナナちゃん二人きりになった。だからってどうこうする物ではない。確かに肝試しのときはやばかったが今回は大丈夫だった。

「よくやったよ。偉いなナナちゃんは。」

そう手を頭の上に載せて俺はナナちゃんをなでてあげた。

「♪〜。」

ナナちゃんはお気に召したようで鼻歌も口ずさんでいる。

「なあ。この生卵一個どうする?」

俺は目ざとく未調理の卵を発見した。

「あ。それどうしましょうか。」

「もったいないから調理しようぜ。」

俺の提案にナナちゃんは同意した。そしてナナちゃん特製の卵焼きが完成した。やはりかなりおいしそうだ。

「なあ半分食べていい?」

疲れて腹が減っている俺は自然と声を漏らした。

「元よりそのつもりですよ。」

そう言ってくれたので俺は早速半分食べた。

「美味い!これ凄く美味いよ!」

「え?そんなに褒めないでくださいよ〜。」

ナナちゃんは照れている。そうして照れながらカイと同じ箸で卵焼きを口に入れた。間接キスなのだが、カイは気づかず、ナナちゃんは気付かないふりをした。しかしまあナナちゃんが無意識にカイの使った箸を嘗め回しているのは本人も気づかなかった。

「美味いなこれ。ナナちゃんは将来料理人になるの?」

「う〜ん・・・どうでしょうか。なりたいとは思っていますけど料理の世界はそんな甘いものじゃないです。」

ナナちゃんはきちんと将来のことを考えていた。それに比べて俺は・・・

「どうかしたんですか?」

「いや、夢があるっていいなと思ったわけさ。」

「変な先輩。」

俺達は共に笑い合った。

俺はまだ自分の夢を見つけていない。将来も行き当たりばったりになりそうだ。それに比べてナナちゃんは輝いている。それはやはり夢の力なのかもしれない。



そう、夢。


もうすぐ第1部終了の兆しが。


カイ「次回予告。次回予告」

レイ「どうですか?カイとナナちゃんが激しく求め合ったお話は」

カイ「そんな話はねえよ!!ああもう!次回は水泳大会だ!」

レイ「目指せオリンピック選手が副題」

カイ「意味不明すぎだろ!副題はいらねえよ!」

レイ「次回もお楽しみに。特にカイの活躍を」

カイ「出来ればしないで」


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