第12話 カラオケで生徒会
仮タイトルは「日本の未来はwowwowwowwow」
〜あらすじ〜
さや先輩の助けになりたい一心で俺はさや先輩を支える決心をした。
しかし間近に迫った避けられない悪魔がやって来た。そう、テストである。
カリカリカリ・・・
ピッピッピッ・・・
カリカリカリ・・・
ピッピッピッ・・・
「ああうるさい!!」
勉強していたであろうはなびは突然叫びながら携帯電話を弄っている俺を睨んだ。
「アンタ携帯ばっかり弄っていないで勉強もしなさい!」
確かに俺も勉強するべきであろう。だが俺は買ったばかりの携帯が楽しくて仕方がない。メールや他の機能はさや先輩から教えてもらった。
「アンタいくらパケ放題だからって調子に乗らないでよ!」
はなびはパケ放題じゃない。それの八つ当たりが俺に来た。
「まあまあ。やつ当たりは良くないぞ。」
「くぅ〜〜〜ムカツク〜〜〜〜!」
「これじゃあ勉強にならないわね。」
「そうだな。」
レイと俊哉もしゃべる。そう、俺達は勉強会をしているのだ。しかし俺は携帯電話を弄ってばっかりだった。新しい物好きだったんだな俺・・・
「カイ、あなたもちゃんとやりなさいよ。」
「う・・・」
レイに言われると仕方ないな・・・という気持ちになる。さや先輩タイプだからだろうか・・・
「レイの言うことは聞くんだから・・・」
はなびがブツブツ呟いていたが俺はあまり関わりたくなかったので聞かないことにした。
勉強開始して数時間後・・・
「じゃあもう遅いから今日は解散ね。」
レイの指示にみんな頷く。原則として勉強会は夜の十時までに決めている。泊り込みしてもいいのだが所詮は1LDKの部屋なのでいろいろとマズイ。
「じゃ、また明日。」
「じゃあねレイ。」
「じゃあな。」
「ええ。さようなら。」
こうして俺達は帰る事にした。もう夜遅いので俺は毎日家まではなびを送るのだ。
ところが俊哉は俺達から一歩離れて帰っている。
「どうしたんだ俊哉?」
「いや・・・」
チラッとはなびを見て、
「邪魔しちゃ悪いかな・・・と?」
邪魔?何のことだ?
「べ、別にいいわよ・・・気を使わなくて・・・」
「そう?じゃ、お邪魔しま〜す。」
顔を紅くしたはなびにちゃかした口調で俊哉が返す。それにしても気を使うってまさかはなびの奴は俊哉に気を使わせているのか?
こうして俺と俊哉ではなびを送り届けた後に俺は俊哉と帰った。
「なあお前ってこっち側じゃないよな?」
「ああ。でもお前一人だとはなびちゃんを守れないだろ?」
確かに。俺は喧嘩が出来ない。喧嘩をしないわけでも俺が弱いわけでもない。出来ないのだ、俺は。
「そうだな・・・」
「ま、俺がいるから大丈夫さ。」
「まあ春木の狂犬だしな。」
俺は昔の俊哉の通り名を言った。
「やめろよ。もう狂ってないし。今はお前らの番犬ってところだよ。」
そういいながら俺達はそれぞれの家に帰宅した。
「ん?ん〜ん?」
俺は教室で唸っていた。
「何どうしたのよその顔?」
はなびがやって来た。
「いやあさ・・・世界史の解答欄一個ずつずらしたっぽい・・・」
「はあ!?」
「なんかさ・・・解答欄が一個足りなくてさ・・・」
俺は信じられないことを口にした。だって普通は解答欄が余るはずだ。なのに足りないということは、同じ答えを二箇所書いたということだ。
何でよりにもよってこのテスト、マーク形式なんだよ・・・
「あんたそれめっちゃ馬鹿だわ・・・」
「馬鹿に馬鹿って言われたくはないな。」
「何ですって!?」
俺達はいつものやり取りをする。回りのクラスメート達はヒューヒューとはやし立てたり生暖かい視線を送っていた。
そして俺達はまたいつもどおりに勉強会をしに行った。ていうか今日から真面目にやろう・・・素で世界史やばいわ。
「終わった〜。」
はなびが満足そうな表情をする。
「へえ・・・なんか満足してるじゃん。」
はなびは全てのテストが終わったとき、いつもはぐったりするのに今回は違った。
「なんかヤマが当たっちゃってさ。数学。」
「それはすごいな。」
数学が苦手な人にとってヤマはりが当たるとかなりの得をする。
「じゃあ今日気分いいから遊びましょう。レイ!俊哉君!」
こうして俺とはなびとレイ、そして俊哉でカラオケに行った。
「はなび上手いじゃん。」
「そう?」
はなびはかなり上手かった。
「そうよ。自信を持ったほうがいいわ。」
レイも褒める。そんなレイは一曲も歌わなかった。俺もあんまり歌ってないけど。だってあまり上手くないし、はなびと俊哉と比べると・・・な。
「俊哉君だって上手いわよ。」
「まあ・・・小さい頃にレッスン受けてたしね。」
「意外!!」
はなびが大声を出す。ていうか俺も意外だった。聞いたこと無いぞ?
「まあ親に強引にやらされただけさ・・・すぐに止めた。」
そういっておどけて見せた。コイツ本当に勉強意外は何でも出来るな・・・
「ところでレイはいいのか?歌わなくて。」
「別にいい。私は聞いているほうがすき。」
そうレイは言ったので無理に勧めはしなかった。
こうしているうちにあっけなく時間が過ぎた。
「じゃあね。」
「さよなら。」
「じゃあな。」
「ああ。」
俺ははなびと帰った。俊哉とレイは方向が違うので別々に帰った。
「あの・・・明日のことなんだけど・・・」
「ああ。覚えているよ。どこに行こうか?」
「覚えていてくれたの!?」
俺は第10話での約束は忘れなかった。まあ忘れたら酷い目にあうことは目に見えているしな。
「当然だろ。一応どこ行くか決めているのか?」
「実はまだ・・・」
はなびは少し恥ずかしそうに言った。
「じゃあカラオケに行こうぜ。お前歌うまいし。」
「え?ずっとカラオケ?」
「いやなら別にいいけど・・・」
俺ははなびの歌だったら何回でも聞けると思った。
「嫌じゃないけど。退屈にならない?」
はなびは俺のことを考えてくれているらしい。
「なるわけねえだろ。お前の歌はマジ神だから。」
「あ、ありがとう・・・」
はなびは終始照れっぱなしだった。
俺ははなびとそう約束して家に帰った。
翌日・・・
俺はいつもどおり早起きして朝食を食べた。時間はまだ6時半。まだはなび起きていないだろうな・・・
俺は部屋の掃除をすることにした。しかし、なにぶん部屋が小さいのですぐに終わってしまった。
仕方なくテレビを見ることにした。
「では、次のニュースです。」
「でね。奥さん、これは知っておいたほうが・・・」
「今日のゲストは皇マイさんで〜す。」
「ボケモン!ゲットだぜ!」
俺はチャンネルをかわるがわる変えていたが結局消した。なんか見覚えのあるのもあったけど・・・
二度寝はまずいので俺ははなびの家に向かうことにする。ここより暇じゃないだろう。
ブブブブブ・・・
携帯のバイブレーションだ。
送信者 はなび
件名 なし
本文
今日の待ち合わせ場所は
私の家じゃなくて駅前に
しよう。
え?もう起きているのかよ。しかも何でわざわざ駅前に?
送信先 はなび
件名 なし
本文
何で?
ブブブブブ・・・
送信者 はなび
件名 なし
本文
どうしても!
いいわね!
何か知らないがはなびの言うことに従ったほうが良さそうだ。
なので結局俺は携帯電話のアプリで遊んで時間をつぶした。
時間になったので俺は家を出ることにした。
そして待ち合わせ場所にやって来た。10分前に着いたのだがはなびが来る気配は無い。
はなびが来たのは待ち合わせ時刻ぎりぎりだった。らしいといえばらしい。
「ゴメン待った?」
「ああ。」
「そういうときは今来たトコって言うところよ!」
何でお前がキレなくちゃいけない?
「まあいいわ・・・それより私に言うことない?」
「へ?」
何だそれ・・・なんか悪い事したかな?
「ごめん?」
「何で謝るのよ。」
あれ?違うのか・・・じゃあ一体何を言わなくちゃいけないんだ・・・ああ。分かった。
「今日の天気は晴れだね。」
「何で天候の話しているのよ!?それに見れば分かるでしょ!」
そうだよ天候は見れば分かるじゃないか・・・俺が言わなきゃ分からないものは・・・
「もういいわよ・・・」
はなびが呆れたように呟く。
「別に最初から期待してなかったけどさ・・・」
「え?」
「何でもない・・・はぁ・・・」
何かはなびが落ち込んでいるので元気付けることにする。
「まあ落ち込むなよ。その服に合ってるからさ。」
「本当に?」
はなびが俺を上目使いで見上げる。はなびのそんな仕草はほとんど無いのでさすがにドキドキする。
「ああ。」
「じゃあ許す。」
突然満面の笑みで俺を許した。
「え?どうしたんだ?落ち込んだり、突然元気になったり・・・」
はなびのその奇怪な行動は正直よく分からない。こいつと長い付き合いのはずなんだけどな・・・やっぱり俺達の2年間の溝がいけないのかな?
「もう解決したからいいの。」
「へ?」
「ついさっきね。」
ふ〜ん。ならいいか。解決したみたいだし・・・何で解決したのか知らないけど。
そして俺達は予定通りにカラオケに向かった。
カラオケでついでに昼も食えば一石二鳥だと思ったので食べ物も頼む。
「ではごゆっくりどうぞ。」
もちろんフリータイムだ。俺とはなびは店員に連れられてカラオケの個室に入った。
「さ、どうぞはなびさん。」
「カイも歌えば?」
「いや、俺はそのうち歌うよ。」
ていうか歌うよりもはなびの歌を聴いていたほうが俺的には楽しい。
「じゃあ一曲いきま〜す。」
そう言ってはなびは歌い始めた。俺ははなびの歌にずっと聞き入っていた。
「そろそろカイも歌ったら?」
さすがのはなびも歌い疲れが見えていた。
「う〜ん・・・お前も疲れているようだし歌うか。」
そう言って俺は選曲し始めた。
「これなんかはどう?」
「ちょっとサビ高くない?」
「じゃあこっちは?」
「ごめん。あんまり知らない。」
俺とはなびはそんな会話を交じわしながらカラオケを楽しんだ。
プルルルル・・・
「はい。」
部屋の電話が鳴ったので俺が取る。
「あと十分で昼のフリータイムが終わります。」
「はい、分かりました。」
俺は受話器を切った。
「残り十分だと。」
「思ったより早かったわね。」
確かに。それほど楽しかったんだろう。
「じゃあ最後どうする?」
「う〜ん・・・一緒に歌おうよ。」
「え?」
俺ははなびにデュエットを提案された。
「でもな〜お前と俺じゃつりあい取れないだろ。」
俺は少し気が引けていた。
「デュエットはお互いに楽しむものよ。だからいいでしょ?」
いつもの強引さで押し切られた。まあ別に構わないけどさ・・・
「じゃあどれにする?」
はなびは今までより一番目が輝いていた。
「そんなに俺と歌いたいのか?」
俺は普通に質問した。
「え・・・・・う、うん。」
今日のはなびは妙に素直だった。こっちが調子を崩される。
「し、仕方ないなあ・・・そっちがそう言うならやってやるよ。」
何か俺は自分の台詞に違和感を感じていた。
「何か私達逆じゃない?」
「そうだな。ハハハ。」
今日素直じゃないのは俺だったようだ。本当ははなびと一緒に歌いたいのに気が引けて素直になれなかったんだな・・・俺は自分の気持ちを探すのに大変だよ。
「じゃあ歌おう!」
はなびの掛け声に俺とはなびは歌い始めた。今日一番輝いたはなび。今日一番楽しんだ俺。二人の気持ちが一つになった気がした・・・
俺達はカラオケを出た。
「今日はありがとな。」
「べ、別に・・・」
お、いつものはなびだ。
「これからどうする?」
「・・・公園に行こう?あの公園に。」
俺達は約束の公園に行くことにした。
「・・・・」
「・・・・」
自然と無言になる。元々俺達は喧嘩したらよくここに来ていたためにここで普通に話した記憶があまり無い。
「俺さ・・・実は不良の時に結構ここに来てたんだ・・・」
「知ってる。」
「え?」
「私もよくここに来てた。」
意外だった。俺ははなびに恨まれても当然なことをしたのに。
「何で?俺のこと嫌いだっただろ?」
「ううん。嫌いじゃなかった。少し苦手だっただけ。私がカイを嫌うはず無いもん。」
はなびの言葉は俺の心を暖めるのに十分だった。幼馴染の絆の強さを感じた。
「そうか。ありがとう。」
俺ははなびに心から感謝した。
「うん・・・私・・・カイのこと・・・す、好きだもん・・・」
はなびが顔を紅くしながら言う。
「ああ。俺も好きだよ。お前は大事な幼馴染だもんな。」
「え?う・・・うん。」
何故かはなびは唇を噛んでいた。どうしたんだ・・・
「カイのバカ。」
「へ?」
「バカバカバカ。」
はなびは淡々と呟く。
「お、おい。突然どうした。」
「鈍感。天然ジゴロ。朴念仁。」
お、おい何だか悪口増えてねえか?俺また悪いことしたのか?
「ご、ごめん。」
俺は瞬間的に謝った。
「別にいいわよ。これだけはどうしようもないし・・・それにそこがまたいいところなんだし・・・」
「あ、うん。」
話変えないとマズイ雰囲気かもしれない。
「またカラオケ行こうぜ。」
俺はそう提案した。俺もまたはなびの歌聞きたいしな・・・」
「え?いいの?」
「ああ。また二人でな。他の奴にお前の歌聞かせるのもったいない。」
これは本心だ。しかしカイの考えている二人きりとはなびの考えているそれは大きく違うのだが。
「し、仕方ないわね。どうしても一緒に行きたそうだから行ってあげるわ!」
「ははは。」
「ふふふ。」
俺達は一緒に笑い合った。
そう、笑った。
次回の主役はカイとレイかな?
カイ「次回予告です」
はなび「〜〜〜♪」
カイ「歌ってるはなびは無視。次回は俺とレイの話」
はなび「そうなん?」
カイ「そうやね」
はなび「あらそう、けったいな話やな」
カイ「何でやねん!」