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生徒会な日々  作者: 双樹沙希
第一部 日常
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第9話 名前で生徒会

仮タイトルは「名は人の存在を表す。」


疲れる

今日は日曜日。

いつもならぐたぐだ過ごしたいのだが、今日は特別だ。

前に約束した、荷物持ちをやらされる日なのだ。

なのでいつもと同じように早起きをして出掛ける準備をする。

それにしても会長と出掛けることは初めてではないが、二人きりは初めてだった。

それを考えるとなんだか緊張してきた。これって俗に言うデートというやつでは…とか考えてしまうが、すぐにその考えを打ち消した。浮かれすぎだ、俺。会長はそんなこと考えているわけないだろう。純粋に荷物を持たせたいだけだろう。…言ってて悲しいな。まあ会長ほどの美人と出掛けるのは悪い気はしないけどな。

そんなことを思いながら朝を過ごしていたらいつのまにか約束の10時まで一時間しかなかった。

すぐに着替えて…さりげなく格好いい服装を選んだ。なんだかんだ言って結局浮かれているのだった。



そして俺は待ち合わせ30分前についてしまった。ちなみに待ち合わせ場所は俺の最寄り駅である「光芒町」だ。

俺は時計と周りを交互に見た。不審じゃないかな?そんなことも考えていた。

「あれ?結構早く来たね〜。」

会長がやってきた。会長はミニスカートを履いていたので驚いた。その行動がおかしかったのか、

「え?この服似合わない?」

会長が珍しく不安そうに聞いてきた。

「そんなことはない!似合っていますよ。」

俺はお世辞じゃなくて本当のことを言った。確かに似合っているのだ。ただ目のやり場に困るだけ。

「それで会長どこ行くんですか?」

「隣町のショッピングモールよ。」

隣町というのは春木市のことだ。ここのショッピングモールは大きいことで有名だ。それに遊園地などの娯楽施設も満載なので休日には人でごったがえしている。

俺達は電車に乗った。しかし何故か無言だ。はっきり言って会長らしくない。

「あの、カイ・・・」

会長が重い口をやっと開いた。

「携帯電話買わないの?」

そう、俺は携帯電話を持っていない。特に必要でもないし、自炊している身なので通信料はもったいない。そういえば新しいバイト探さないとな〜、とか思っていたりする。

「通信料がもったいないんで・・・」

俺は本音を語った。

「そんなんじゃ彼女出来ないわよ?」

「携帯無くても心は離れません。」

「へえ。カイって結構ロマンチストなんだ〜。」

そうなのだろうか。俺は恋愛に携帯電話は必要ないと思っている。所詮携帯電話は恋愛を発展させる道具に過ぎない。心から愛していれば必要ないと思っているのだ。

「悪いですか?」

「ううん。むしろ好みよ。」

「え!?」

会長の冗談は時に俺の心を乱す。緊張しちゃうだろ!!

「次は春木〜。春木〜。お出口は右側です。」

しかし何とか車内アナウンスのおかげで俺は緊張が解けた。ありがとうアナウンス。



そして俺達はショッピングモールに入った。

「うわあ・・・」

あまりの人の量に俺はつい嘆息する。

「これくらい普通よ。むしろ少ないほうよ。」

会長は何回か来たことあるらしく慣れた足取りで先へ向かった。俺はそれについていくだけだったが。

会長はまずバッグなどのブランド物を見た。そういえば会長は蓮見財閥の跡取りだったな、と思い出した。だから会長が100万円のバッグを見ているのを見て別に驚きはしなかった。

「どっちがいいと思う?」

会長は似たような感じのバッグを二つ持ってきて見せてきた。正直俺はわからない。だが俺は買うなら右の方だ。安いし。それでも65万円だけどね。

「俺あんまりわかんないんだよね〜。」

元々はなびはこういうところに来ないし、姉さんと何回か行っただけなのでよく分からない。

「ふーん。でもどうせ安いからこっちの方が良いって言うんでしょ?」

はい、図星です。すいませんでした。

「う・・・」

「じゃあこっちにしようっと。」

会長は俺の選んだバッグにした。

「ええ!?会長のなんだから無理しなくて良いんですよ?」

俺は会長が俺に気を遣ったのかと思った。だからすぐに会長に確認を取った。

「良いの良いの。カイが選んでくれたんだから。」

何だよそれ・・・

そして会長はバッグを持ってレジへと向かった。レジにプラチナカードを出したところを見てやっぱりお金持ちだなあ・・・としみじみも思った。



会長がバッグを買い終え、俺が持つことになった。(荷物持ちとして呼ばれたので当たり前であるが)

そして次に行ったのは女性物の下着売り場だった。

「・・・・」

「どうしたの?」

俺は極力キョロキョロしないように努めた。変質者だと思われるのは嫌だ。

「ふ〜ん。恥ずかしいのね。」

俺の必死そうに見える顔を見て会長は恍惚に笑った。

「早く済ませてくださいよ。」

俺は声を絞り出してそう言った。

「じゃあ時間かけちゃおう。」

「嫌がらせですか!?」

「まあここに来た目的の半分以上はカイの反応を見るためだけどね〜。」

「半分以上かよ!?」

会長が俺に悪戯っぽい笑みをする。でも美人だよな、そんな笑みも綺麗に思える。・・・・・じゃなくて。

「早くしてください。」

俺は会長に促したが、突然手を引っ張られて俺も連れて行かれる。

「え?何するんですか!」

「下着見てもらう人いなきゃ駄目でしょ。」

「は?」

俺はそのまま下着売り場に引っ張られた。周囲の人の目が痛かった。

そして俺は結局なす術のないまま試着ルームも前で待っている。このカーテンの向こうには会長のあられもない姿が・・・ゲフンゲフン!駄目だ煩悩に負けてはいけない!

そして会長がカーテンの中から姿を現した。

「あ・・・」

俺は声が出なかった。会長の下着もそうだが、肌の綺麗さなど全てにおいての美しさに目を奪われた。

「へえ。結構気に入ったみたいね。」

そんな俺の素振りに会長がニヤニヤと笑みを浮かべる。しまった・・・俺も思春期の男の子だからつい凝視してしまった。

「会長はどれをつけても似合いますよ・・・」

俺は逃げの一手を図った。はっきり言って刺激が強すぎた。これ以上は耐えられないだろう俺の戦略的撤退だ。

「ふふ。逃げるのはまだ早いわよ・・・」

「う・・・」

しっかり逃げ道を封鎖されてしまい、四面楚歌となってしまった。

こうして俺は鼻血を噴出すまで付き合わされた。

「ちょっとやりすぎちゃったかな?ごめんね。」

会長が申し訳なさそうに謝ってきた。

「別にいいですけど、何で俺なんですか?」

「は?」

「俺は別に良いんですけど、あんまりそういうことを人にするとはしたないですよ。」

俺は何気なく言った一言。しかしその一言で会長の表情が一変した。

「それ、本気?」

「え?」

会長は突然目を細めて言った。あれ?何かまずかったかな?

「本気で言ってるの?」

「え?まあ・・・」

会長の迫力に言葉を濁すしかなかった。

「そう・・・分かっていたわよ・・・こうなるのは・・・」

会長はブツブツ呟いているが、俺の耳には入らなかった。

「はい。」

会長は俺に5千円札を渡した。

「これでお昼と夕飯食べて。私帰るから。」

「え!?」

何で帰るの?まさか用事を思い出したとか?

「荷物は私が持ち帰るから。さよなら。」

「ちょ!何で!?」

俺は会長を引きとめようとする。正直理由が分からない。

「はしたなくて悪かったわね。」

最後にそう拗ねたように告げて早足で去っていった。まさか怒らせたのか?身に覚えがない分どうすればいいのか分からない。

結局5千円は明日返すことに決めて俺は家に帰った。

帰った後に会長に電話しようと思ったのだが、電話番号を知らないことに気付く。こういうときに携帯電話って必要だな・・・とつくづく思ってしまう。

そしてそのまま寝てしまい、翌日になっていた。



俺は会長に謝ろうと朝一番に生徒会室に入ったが、誰もいなかった。

しょうがなく校内を散策する。そして玄関付近で瀬川先輩と話している会長を発見する。見たところいつもと変わらないので俺は独りになったのを見計らって声をかけた。

「会長。」

会長はちらりと俺を一瞥すると冷たい笑みを浮かべた。マゾヒストならゾクゾクするかもしれないが、俺は違うためにビクビクしかしなかった。

「何かしら?」

「昨日のことは・・・」

「謝るの?」

「・・・そうです。」

俺は会長に意思を伝えて謝ろうとした。しかし、会長が言わせなかった。

「どうして謝るのかしら?」

「だって会長が怒っていたから・・・」

俺は会長の迫力にしどろもどろになりながら回答する。この人には絶対逆らってはいけない、そう実感したときだった。

「ふ〜ん・・・それでなんで怒っていると思ったのかしら?」

俺は昨日のことを思い出して告げた。

「会長にはしたないって言ったからです。」

「はぁ・・・それには怒っていないわよ。」

会長が呆れていた。

「え?違うんですか?」

俺は予想外の答えに唖然とした。じゃあ一体なんで?

「しかも怒っていないし。拗ねてるだけよ。」

会長は不機嫌にそう告げた。

「だからあなたが謝る必要はなし。それにあなたの台詞は想定済みだったし・・・」

「でもそれでも怒ることありますよね。」

俺は会長に聞いた。確かに会長はあの時「はしたない」発言のところでおかしくなったはずだ。

「正直に言うと、あなたが天然だからいけないのよ。」

「え!?やっぱり俺のせい!?」

「超間接的にね。それに怒っているのでなくて拗ねてるの。」

会長は努めて冷静でいようとしているのが分かった。

「はぁ・・・感情のコントロールって難しいわね。分かっているのだけれどやっぱり・・・」

会長は自嘲的な笑みを浮かべながら言った。

「えっと・・・じゃあ俺は・・・」

「待ちなさい。分かっているのだけれどやっぱりモヤモヤするのよ。」

背中を向けた俺を会長が引きとめた。

「え?一体・・・?」

「私のことをこれから名前で呼びなさい。会長、という役職名じゃなくて。」

「えっと・・・さや先輩・・・ですか?」

そう俺が言うと満足そうな笑みを浮かべた。

「そうよ。これで許してあげる。」

「は、はあ・・・」

で、俺はさっきからの疑問を口にした。

「ところでさや先輩は何で拗ねたのですか?」

さっそく「さや先輩」を使ってみる。案外恥ずかしいものだな、これ。

「それは「はしたない」じゃなくて「人にすると」の部分よ。」

「え?何で!?」

俺は理解できなかった。一体どうして?

「まあ理解しなくてもいいわよ。期待していないから。」

そう言って会長は俺に背中を向けて歩き出した。俺はその背中をさっきの答えはそこに書いてあるかのようにずっと見つめていた。



そう、ずっと。

最近クオリティが下がってきているような


さや「皆の者!次回予告なのであーる!」

ナナ「あ〜る!」

さや「次回は放課後のイケナイ二人の話なのであーる!」

ナナ「あ〜る!」

さや「放課後は何だかエッティーな雰囲気なのであーる!」

ナナ「あ〜る!」

さや「アホらし……」

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