番外編13 1000000アクセス記念!? 食わず嫌い対決!
実は随分前に1000000アクセスを達成していまして、そのとき制作していたものです。
少し加筆と修正をしています。
久しぶりの生徒会な日々で少し緊張します(笑)
チャンチャンチャン♪
「さあ始まりました。一〇〇〇〇〇〇アクセス記念、食わず嫌い対決。司会は俺、橘俊哉がやらせていただきます」
パフパフ
「では今回の対戦の組み合わせを紹介いたしましょう!!」
俊哉がテンション高く言う。
おかげで語尾がちょい上擦っている。
それがちょっとキモいのは秘密だ。
「まずは赤コーナー…特技は鈍感、しかしすばらしいヒロイズムの持ち主…蛟刃カイ!!」
そんな合図とともに俺は入場した。
ところで何でこんな企画をやっているのかは謎である。
パチパチパチ!
大量の拍手に出迎えられる俺。
その中で俺は困惑を隠しきれない。
「あの、質問っすけど…」
「却下」
「却下早!まだ俺何も言ってねえよ!」
俊哉になぜか速攻で却下された。
「では青コーナーの人達の入場です!!」
「達!?」
俺が前を見ると、さや先輩、はなび、レイ、ナナちゃん、咲という残りの生徒会メンバーだった。
「何これ!? 何の企画!? ギャラはいくら!?」
「カイ、そんな質問をすると人間性が問われるわよ」
さや先輩にそんなことを返された。
とは言いつつもこの人もこの前似たようなことを言っていた。
まあ言いませんけどね。
別に報復が怖いわけじゃないよ?
…ちょっと。
何で疑問形よ?
「メンバーの紹介だ! まず、才色兼備で、数々の生徒たちから良い誤解を受けていて、性格が表裏のほとんど裏である生徒会長、蓮見さや!!」
「俊哉ってそんなに死にたがりなんだ」
いや、さや先輩、地が見えてます見えてますよ。
全校生徒があなたを見てますって。
「次! 得意料理はありません、食べる専門です。起こされることはあっても起こすことはない。体育以外の授業で寝ないことがない健康的少女、水島はなび!!」
「な、何よその紹介は!? まだLHRと音楽は寝ていないわよ!!」
いやまさか英会話も寝ていたとは。
むしろそっちに驚きだぜ。
「では次」
俊哉ははなびの反論をサラリと流した。
やるな、こいつ。
「クールを装っているけど実は甘えん坊。二人っきりになるとデレデレする、今流行りのアレな少女、風見レイ!!」
「……」
何だこの紹介は!?
レイも心なしか怒っていないか?
レイの表情が読めるようになるなんて俺って成長したな〜…なんてしみじみと思えるか!
「じゃあ4番目、笑顔がかわいい可憐でプリティな美少女! そしてお料理も得意なので嫁にしたい、妹にしたい、娘にしたい女子生徒ランキングで三冠を達成したウルトラ少女、七瀬ナナ!!」
「もう、そんなに褒めないでください!」
ナナちゃんが照れながら言う。
決定、この台本を書いたのはナナちゃんだ。
ちょうど国語力のない頭の悪い文章でもあるし。
ていうかもうちょっとバレずにやれよ。
「ラスト! 頭の良い天才少女!しかしその秘められたM属性が男心をくすぐるっ!! そんな彼女を守ってあげたい!! そして何事も基本不器用な少女、美作咲!!」
「な、何でこんなに恥ずかしい紹介なの〜!?」
咲が少しかわいそうだが、まあ大丈夫だろう。
それにしても俊哉、お前は随分とキモくなったな。
「さあ!メンバー紹介はここまで!! さあさあ、カイ選手! 相手を選んでください! どうぞ!!」
「うわあ! 何もかも意味が分からねえ!!」
突然のことに驚きを隠しきれない俺とさらりと進行を進める俊哉。
「相手選べって言われてもさ、何の対決か分からんのだが」
「最初に言っただろ? 食わず嫌い対決だって」
ああ、と〇〇〇ずのやつね。
このままでは埒が明かないと思われるので、俺はノってやることにした。
「ああそうか」
俺は対戦相手を見る。
強敵なのはさや先輩とレイだろう。
とてもじゃないが勝てる気がしない。
咲も少し難しいかな? いくら幼馴染とはいえ知力では向こうのほうが明らかに優っている。
と、なるとナナちゃんかはなびになるな…
ナナちゃんは意外と強い可能性もあるからはなびが妥当か。
というかお互いのことを良く知ってるからいい勝負になるかもしれない。
「じゃあはなびで」
「アンタ、私だと勝てると思ったでしょ?」
「え!? いや…」
なぜバレた!?
予想外に洞察力が高いぞ!?
「じゃあ次はサポートメンバーをお選びください」
「サポートメンバー?」
俺は首をひねる。
「サポートメンバー。特定の人、または人たちを手助けする人、または人たち」
「そういうことを訊いているんじゃない!!」
レイの真面目?な解説は流して(流してません)、俊哉に顔を向ける。
「だからお前を手助けしてくれるメンバーを残りの4人から選べっていうことだ」
「ああそういうこと。そういえばアレもそうだったな」
俺は一人で納得すると残りの4人を見ることにした。
さや先輩…ドS、味方だと頼りになる。
レイ…クール、洞察力が高いはず。
ナナちゃん…あまり頼りにならなそう。
咲…なんか気まずくなりそうだ。
「さや先輩、サポートをお願いします」
「私? いいわよ」
さや先輩がにっこりと笑って言った。
俺はこの時の微笑みの真意を理解していなかった。
「じゃあはなびちゃんは?」
「私は咲にする!」
こうして俺&さや先輩vsはなび&咲の食わず嫌い対決が幕を開けた。
ルール:両者交互にオーダーした4つの品物を一品ずつ食べ、最後に嫌いな食べ物を当てる。一回でどちらも嫌いな食べ物を当てられなかった場合、もう一度両者に回答をしてもらう。当てられた方が勝ち、当てられなかった方が負け。同時に当てた場合は引き分け。
「では両者の料理の登場です!」
なんか歓声とともに料理が4品ずつ、けい8品が運ばれてきた。
比較的出来立てらしく、美味しそうだ。
ていうかお金はどこから? という質問が真っ先に浮かんだのだが、そこはスルーの方がいいよな…
「ではまず、赤コーナーのカイから!」
出てきたのはラーメン、カレーライス、ハンバーグ、そして納豆。
「この選出明らかにおかしくね!?」
「そうか?意外性を突けるぞ」
もちろんこの勝負に意外性など求められていない…!
求められているのは正確な判断力と洞察力のみ…!
「ていうかここに俺の嫌いなものはない…!」
「何…!?」
ざわ…ざわ…
「もうそのネタはいいから」
さや先輩にツッコミを受けるとは思わなかった。
だがどちらにせよ4品とも俺の好物であると言う事実に変わりはない。
「あ、今のネタはまさかカイ○のネタですね!」
「…どうとでも言ってくれ」
カイだけ合ってるのが狙っている感が凄い。
俺はこのグダグダ感を立て直すことの方が先決だと思ったので、話を先に進めることにする。
「で、早く仕切り直してくれ」
俺は俊哉に食事の再選出を求めた。
何だかんだ言ってやる気がある。
「OK! 任せましYO!! 再オーダー!!」
続いて出てきたのは、うな重、バターライス、ハヤシライス、天丼であった。
「…なるほどこれは分からないな」
敢えて先に言っておこう!!
俺が苦手なのはうな重である。
理由は簡単!
俺は骨が沢山ある魚が苦手なのだ!
とにかく駄目だ。味はともかく、食べるのに苦労する。
それを上手く隠せるかどうかがポイントだ。
「次は水島はなびのオーダーです!!」
メニューで出てきたのは、フルーツポンチ、たこわさ、エビマヨ、ハワイアンピザの4つだ。
…はなびのことだから解りやすいメニューかと思ったが、そうではなかった。
いや、一つだけ明らかにおかしいのが混ざっているが。
「…はなび。一つ質問いいか?」
「ど、どれが嫌いなのかは答えないわよ?」
「聞かねえから!! 嫌いなの一つ入ってるんだよな?」
「おおっとここでカイ選手の言いがかり!!」
俊哉が大きな声で俺を煽る。
「何て子なんでしょう!!」
さや先輩も便乗する。
「そんな子に育てた覚えはないわ!!」
「ナナちゃんに育てられた覚えはないな!!」
対戦相手でも、サポートでもないナナちゃんは今目立たないと今後目立たないと予見していたのだろう。
恐ろしい女の子だ。
「大丈夫大丈夫。俺がお前を騙すことはしねぇよ…」
「俊哉…「愛してるよ」オイコラ!!」
七瀬ナナのボイスが俺のセリフに重ねられ、変なセリフにされた。
「自分の趣味を人に押し付けんなよ!?」
「いえいえ、いずれカイ先輩も男同士の素晴らしさに気づく…」
「筈はないからな!!」
全力で否定しておく。
こんなことで時間とってたまるか。
尺があったらここが編集点なのだろうな。
「それでは探り合い開始!! カイのターンから!」
「まず怪しいたこわさを食べてもらおうか!」
「ひ、ひどいよカイ…」
何故か咲が悲しそうな顔をする。
「は?」
「幼馴染なんだから、もう少し優しくしなよ! これって所詮ゲームじゃない!」
「そ、そうよ! 咲の言う通りよ!!」
「し、しかし…」
何で俺はこんなに幼馴染’Sに責められてるんだろう。
ゲームだったらそんなに責めなくても…
俺心弱いんだよ…
「そうよカイ。これはゲーム。だからたこわさはカイが食べなさい」
「それこそ何でだよ!! 相手の料理を何で俺が!?」
「咲ちゃん泣いちゃうわよ?」
「うう…」
「う」
咲は昔からよく泣いているイメージがある。
ここで泣かれたらさすがに心が痛い。
こうして、さや先輩に勧められるまま俺は…
「た、食べればいいんでしょ!! 食べれば!!」
「おおっとまさか相手の料理を食べるという奇策に出たのか!? カイ選手!!」
「奇策でも何でもねーよ!!」
咲が泣かなかった代わりに、俺は心の中で泣いた。
…しかもわさび効き過ぎ。
涙少し出たよ。
「カイ先輩が泣いています!! これはあまりの味に感動したからでしょうか!? 俊哉さん!!」
「ナナさん、それは違います。おそらくわさびのつーんとしたのが鼻に抜けたのでしょう!」
「なるほど、さすが俊哉さんです!!」
……
ナナちゃんはいつの間にか実況を行っていた。
じっとして黙っているのが苦手なタイプだな。
「レイ先輩はたこわさをどー思いますか!?」
「私は好きよ」
レイは一言だけボソッと言ってまた黙った。
レイよ、喋らないと空気になるぞ。
「続いては水島はなびのターン!!」
「カイが食べるのは…バターライスよ!」
「…今度は俺のをお前が食べるんじゃないのか?」
「は?」
「え?」
「どうして?」
はなび、咲、さや先輩が順番に疑問を口にした。
「いやいやはなびと咲はともかく、どうしてさや先輩も疑問なんですか!! 俺の味方でしょ!!」
「カイ、私は女なの」
「え、あ、はい。どう見ても男には見えませんけど…」
さや先輩が突然変なことを言いだした。
「貴方のサポート役である前に女なのよ!!」
「いやいやそんなヒステリックに叫ばなくても…」
「つ・ま・り!」
さや先輩が俺の顔を指す。
「女の子に無理やり食べさせることはできないわ。太るから」
「は、はい~~~!?」
「カイが食べるべきよ」
「そうよそうよ!」
「いやあの…はい」
忘れているかもしれないけれど、俺は基本ヘタレである。
そして女の子に押されると弱いのである。
「あー…バターライスうめぇ…冷めてるけど」
「レイ先輩、バターライスについてどー思います?」
「私は好きよ」
それしか言わないな、貴方は。
俺は疲れ切った顔ではなびのメニューを見る。
「くっ…次何か指定してもどうせ俺が食べるんだろうな…フルーツポンチ食べてやるよ!!」
「駄目! それは私が食べる」
「うっわ! 我がままだな!!」
はなびは美味しそうにフルーツポンチを平らげる。
こりゃどう考えてもたこわさが正解だろ。
「カイ先輩。もしはなび先輩が食べているのがフルーツポンチじゃなくてフルーツチ…」
「食事中の下ネタはやめなさい!!」
俺はナナちゃんの背中を叩いた。
「ああーん。かいかーん!!」
「暴走しすぎだろ!! 出番ないからって!!」
「だってだってだってー!!」
「ああはいはい自分を対戦相手にしてほしかったのね」
「そうですそうですそうですよー!!」
ナナちゃんの扱いに手間取っている間に、俺はハヤシライスを食べることになった。
「あーうぐ!?」
食べた途端、俺の口の中に異常な刺激が走った。
こ、これは一体!?
「おおっとカイ選手の様子がおかしいぞ~!!」
俺は口を手で抑える。
な・ん・だ・こ・の・料・理・は。
いや、料理と呼べる代物でもないかもしれない。
「どうやらカイ選手は、はなび選手の作ったハヤシライスに悶えているようだ!!」
「!!」
な、何だと!?
これははなびの料理なのか!?
そりゃいくらなんでも苦し…ガクッ
チーン。
「レイ先輩、ハヤシライスについてどー思います?」
「私は好きよ。でもあれは食べたくないわ」
3時間後。
「さぁ、気を取り直して、カイ選手、何を指定する!?」
「はぁはぁ…」
死にかけた。
いやぁ三途の川を半分以上渡った気がするぜ。
いくらなんでもあれはつらい。
「じゃあエビマヨ」
「何と…!」
「エビ…マヨ…だと!?」
「まさかの!?」
「いやあの何で貴方達そんなにオーバーに驚いてんすか?」
俊哉、さや先輩、ナナちゃんが妙なリアクションをとったので、つっこまざるをえまい。
「はなびはエビマヨ好きなんだろ? じゃあ食べれるだろ?」
「……」
「はなび?」
はなびは何故か無言だった。
何故だ…?
そして黙ってエビマヨを口に含む。
「……」
「……」
あれ?
何でこんなに静まり返ってるんだ?
「……」
「……」
はなびはそうしてエビマヨを完食した。
「…エビマヨの宝石箱や~~~~!!:
「ええ~~~!? そんなネタのためのタメ!? すっごい面白くないし!!」
「う、うるさいわね!! これしか思いつかなかったのよ!!」
「レイ先輩、今のネタどー思います?」
「私はもっと凝ったのが好きよ」
レイとナナちゃんの小芝居はまだ続いていた。
もうどうでもいいよ。
「カイは次、天丼ね」
「あいよ」
俺は天丼を食べる。
「冷たっ!! これ冷めすぎじゃん!!」
「そりゃ3時間たったからね」
「経った3時間でこんな冷めるか!! 明らかにアイス天丼になってっから!!」
天丼から白い冷気が経っていた。
湯気だったらどんなに嬉しいことだろう。
俺はしょうがなくアイス天丼を食す。
ガリガリとご飯氷を噛み砕きながら。
「…おい」
俺はそんな時、箸でとあるものを挟んでみんなに見せる。
「ドライアイス入ってんぞ」
「サーティー○ンのアイスクリームと間違えたんじゃない?」
「間違えねーだろ!! しかもドライアイスが常温で3時間ももつ訳ないだろ! 絶対俺が倒れている間に誰かが入れただろ!!」
「さて問題です。それは誰でしょう」
「問題にするな俊哉!」
俺はドライアイスを俊哉に放り投げて、アイス天丼をガツガツと食した。
まともな料理食べさしてくれ…
「レイ先輩、サーティー○ンのアイスクリームについてどう思います?」
「私は好きよ」
もう食わず嫌い関係ないし。
あんまり食べ物で遊ばないでくれって言われるぞ。
「んじゃはなびは最後ハワイアンピザ食べて」
「はいよー。じゃ咲も一緒に食べよ」
「うん」
「…たこわさ以外素直だな」
はなびと咲は普通に美味しそうに食べて完食する。
その際、焼きたてのピザを二人で食べているのには納得がいかなかった。
「格差社会恐るべし…」
「最後はカイの苦手なうな重よ」
「ああはい…って何言ってんだよ!?」
さや先輩にそう言われて俺はうな重を出来るだけおいしそうに…は難しく、結構いっぱいいっぱいで食べ終わった。
これは引き分けかな…
いや、たこわさは実は巧妙な罠で…うぐ…
だが俺には…たこわさしかない!!
「さや先輩が何と言おうと俺はたこわさです!!」
「う、うん…頑張ってねたこわさ君」
「いやいや俺の名前がたこわさってことじゃないですから!!」
そして、はなび達は…
「明らかにうな重が怪しい。さや先輩も言ってるし、カイも美味しそうに食べてなかったし」
「う、うーん…」
断言するはなびと、少し迷っている咲。
珍しくはなびが正解を口にしている。
このままではまずい…そう思った時、咲が口を出す。
「それは罠かもしれないわ」
「え?」
「さや先輩が本当に答えを言ったなら、それに対抗してカイは美味しく食べようとするはず。でもしなかった。それは矛盾よ」
「あ」
「カイはさや先輩の言葉を使って私たちを騙そうとしているのかもしれない!」
「な、なるほど…」
咲よ…俺はそこまで出来る男じゃないぜ!!
俺は心の中でガッツポーズをした。
「両者決まったようです!! まずはカイ選手!」
「たこわさ! 絶対たこわさ!!」
「続いてはなび選手!!」
「バターライスで。一番反応薄かったし」
「さて!!食していただきましょう!!」
なお、この対決も、負けたら食べながら参りましたというのがルールである。
咲、考えすぎたな。その考えすぎが仇となった。
俺は参りましたと言わない。
はなびは…
「う…うう…」
はなびは泣いていた。
「あーおいおい。わさび苦手ならもう食べるなよ。無理して食うな」
はなびが食べた料理を俺が結局食べた。
「あ…」
「ほら。言うことは?」
「あ、ありがとう…」
「い、いやそれもあるけど…」
「参りましたでしょ、はなび」
「う、うん…参りました…」
咲に言われ、泣きながらも何とかその言葉を口に出したはなび。
はぁ…もう二度とやりたくないな。
俺はともかく、相手に嫌いなものを食べさせたくはないよな。
「勝者!! 蛟刃カイ!!」
『えーーーーーー!!』
ブーイングの嵐が会場内をこだました。
こいつら全員ぶっ飛ばしたい。
「おめでとうカイ。勝者は君だ」
「あ、はいどうも…」
さや先輩が大げさに俺を祝う。
これは何かの前兆の可能性…100%オーバー!!
「だがお前の倒した水島はなびは生徒会の中で、一番力が弱く…」
「もうやんねーよ!?」
危うくRPGみたいな長編になりかけたところで俺は幕を閉じたのであった。
翌日。
「ねえ咲ちゃん」
「はい?」
さや先輩が咲に二人っきりの時に話しかけた。
「咲ちゃん、嘘ついたでしょ」
「え?」
「昨日はなびちゃんにわざとうな重を言わせないようにしたでしょ?」
「何でそう思うんですか?」
「カイに演技が出来る筈が無いでしょ。それくらい知ってるくせに」
「そ、それは…」
咲が明らかに動揺を始めた。
「「さや先輩が本当に答えを言ったなら、それに対抗してカイは美味しく食べようとするはず。でもしなかった」っていうセリフのしなかったの部分は、出来なかったでしょ?」
「そ、その…」
「カイにちょっと同情しちゃったんだ? 可哀想に思っちゃったんだ~?」
「う、そ、それは…」
さや先輩は攻撃の手を緩めない。
「はぁ…素直じゃないわね~咲ちゃんも」
「ち、ちが…そ、それを言うなら貴方だって!」
「何?」
「う」
さや先輩にじろりと見られ、言葉を詰まらせる咲。
だが、ここで負ける訳にはいかないと、言い返す。
「さや先輩も私の嘘に気付いているのに、はなびに言わなかったじゃないですか!! それも同じですよ!!」
「え」
「さや先輩も最後の最後にはカイの味方をしたじゃないですか!! 同じですよ!!」
「ち、違うわよ!!」
今度はさや先輩も慌てだす。
これは珍しいことだ。
「いいえ違いませんよ!!」
そう言って咲はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「ま、待ちなさい!! あれは…そ、そうそう、貴方を今存分に弄るためにー…はぁ」
さや先輩は言い訳じみたセリフを、誰もいない部屋で吐いた。
さらには溜息も。
そんな時、俺が部屋へと入っていった。
「失礼します。あれ? さや先輩一人?」
「うるさい!!」
「ええ!? 俺何もしてないのに~!!」
生徒会は今日も賑やかです。
ナナ「って終わらせてなるものですかーー!!」
レイ「……」
ナナ「良いんですかレイ先輩! 私立ち全然目立ってないですよ!」
レイ「別に良いわ。私、「バイトの日々」っていう外伝あるし」
ナナ「うぐ…この人はずるいです。メインヒロインでもないのに、メインの短編があるなんて…」
レイ「……」
ナナ「何か反応して下さいよ~~!!」
レイ「ごめんなさい。こういうとき、どういう顔すればいいか分からないの」
カイ「レイ違いだ~~~~~~~~!!」
ナナ「最後のツッコミも取られちゃったよ~~~~!!」
<終わり>
短編で続くのは、完結って言うのか微妙ですね。