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番外編TIPS:魔物編:エキドナ・造兵廠装甲



 バッカス王国・観測史上最大級の魔物。ソーテルヌ島西で海底と同化しつつ魔術師メフィストに最終調整を施された後、攻略目的地に向けて進発を開始した。


 全高4000メートル超の巨体を誇り、その姿は巨大過ぎて「動く山脈」としか言いようがないが実際の造形シルエットは大蛇に近い。が、全容を肉眼で捉えるのは非常に困難である。全長に至っては10000メートル超。


 潜航能力を持ち合わせているが、主な移動方法は浮遊となる。浮遊といっても地表から1メートルほどしか飛べておらず、地形を破壊しながら移動している。


 アルゴ隊のイアソンが最初の目撃者となり、アルゴ隊が戦闘を仕掛けたものの、エキドナ・アーセナルはアルゴ隊の攻撃を無視し、愚直に海上を南下。


 イアソンがバッカス政府に連絡し、最寄りの都市に転移した大部隊がヴィントナー大陸の海岸沿いに展開。迎撃を開始する事になった。


 アルゴ隊本体に先んじてヴィントナー大陸に帰還したイアソンは同行してきた部下アッキーと共に戦闘を開始したところにちょうど戻ってきたのだが――。


「あれっ? 何か総長が想定してたより対応しにきてる人が少ないっすねぇ?」


「この辺、タルタロス士族の都市しか無いからな……。フォン士族長が『アレはウチの獲物だ』って他士族の戦士団を都市で足止めしてんだよ……! 面子とか取り分を気にしてる場合か阿呆か死ねーーーー! 尿道結石になれーーーー!」


「あらら。何か申し訳ないっすねぇ、ウチの士族が」


 イアソンの想定より少ないとはいえ、海岸沿いに展開したタルタロス士族の戦士団は士族長直轄の第一から第十兵団に加え、武会と呼ばれるタルタロス士族が吸収した士族の戦士団が20の戦士団を派遣し、さらには士族傘下の冒険者クランも複数招集して総勢10万人を超える大部隊であった。


 さらには都市間転移ゲートで輸送した巡航島2隻も展開済みであり、タルタロス士族長の考えは「上陸前に討ち滅ぼして士族の名を上げ、未知の超大型魔物の死体を数ヶ月以上に渡って切り売りする大解体事業を行える」というものだった。


「普通の、超大型竜種ならそれでも何とかなるけどな……!」


 タルタロス士族に縁のある部下を戦線に参加させつつ、政府とナス士族合同の観測部隊に合流したイアソンが見たのは「防衛線の蹂躙」であった。


 エキドナ・アーセナルは極めて特殊な人造魔獣まものである。


 ただ単に巨体であるだけなら巡航島に据え付けられた大口径砲の餌食だが、海岸沿いから視界を埋め尽くす勢いで飛んできた斉射を前にしても――小揺るぎもせず――白亜の巨体に黒点一つ残さつに防衛戦を縦一文字に引き裂いていった。


 単に前進するだけでそうしてみせた。


「巡航島の砲なら抜けると思ったが……抜けるどころか無傷って何だアレ」


「いや~、抜けてますよ」


「どこが?」


「反対側に。巨体だからわかりづらいですけど、先頭部あたまに当たった砲撃が反対から出て来てるっぽい。つまり全ての攻撃をさせてます」


「どうやって」


「これボクの推測も混じっちゃいますけど、あの魔物、全身が霊子鉄ラインメタルに覆われてるっぽいです。それを媒介に全身に攻撃防御用の転移魔術が張られてて……んー……これ、あの巨体そのものが行使してない、のかな……?」


「どこか穴が無いのか?」


「身体が大きすぎて全身の観測スキャン終わってないんですけど、今のところネズミが入れそうな穴一つなさげ……。ウチの都市間転移ゲートほどの精度の転移は行われてないんで、反対側に抜けたらフツーはズタボロになりますねコレ」


「転移を逆に利用して、転移魔術師を体内に送る事は?」


「現状じゃ情報データ少ないので何とも。ただ、これは難しいと思う……」


 観測部隊にいた猫系獣人の少女から話を聞いたイアソンは検討していた「内部からの破壊」が「体表に取り付く事すら厳しい」という事実に冷や汗をかいていた。


 想定より少ない部隊とはいえ、それでも砲撃の威力は十分あるはずだというのに傷一つつけられないどころか――その絶大な防御能力以外にも、普通では考えられない異能を既に見ていたがゆえに。


 その異能を再度見る事になったのは、タルタロスが防衛戦を真っ二つに割かれ、それでも人間達に構わず進む魔物に対して追撃戦を行っている時の事だった。


 追いすがる攻撃は全て転移障壁に防がれているとはいえ――それでも攻撃されている事が煩わしいと言いたげに――アーセナルは体表に無数の大穴を開けていた。


 タルタロス士族はそこから体内に侵入できる、と考えた。


 だが、辿り着いても障壁に阻まれ――しかし内側から出てきたものは障壁など構わずアーセナルの体外へと順次「発進」していった。


「あぁぁ……やばい! これやる前に仕留めとかないと他の都市もヤバイのに!」


「10、100、200、300……えぇっと……」


 猫系獣人の少女は先立ってアルゴ隊が交戦した報告は聞いていたものの、自分の目の前で行われている「馬鹿げた光景」に対し、何と言えばわからないという顔を浮かべつつ、観測結果を報告した。


「討伐対象内から魔物出現。ほぼ全て100メートル級超……魔力量推定によると、ここから見えてる全てが竜種……数は、1000を超えました……」




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