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勇気を出して

家に帰る最中、事あるごとに彼女の顔が浮かんだ。

笑った顔、涙ぐんだ顔、遠くを見る真剣な顔。

本当に感情の豊かな人だなと思った


自分にはない才能。

羨ましいぐらいだ……

気づくとよく分からない道に出ていた。

ぼーっと歩いていたせいで迷ってしまったらしい

困った。新しい土地なのでどうしていいか分からない。

携帯も家に置いてきてしまっている

まあ、あったところで住所覚えてないけど・・・・

歩き回るしかないか…と思っていると

住宅地にある喫茶店を見つけた。


こんなところにカフェなんてあるんだな

おしゃれで結構新しそうな感じだった。

中から人の気配はしない。

空いてるのかな・・・

あまり人と話すのは得意じゃないから気は進まなかったが

入って道を聞くことにした

からんっからん__

案の定、お客さんはないみたい・・・

中は広く綺麗だが何となく落ち着く雰囲気を出していた。

と奥からお、お客さんっっ?!

声を追いかけてくるように人が出てきた。


頭はポニーテールでまとめていて黒のエプロン。

背は僕と変わらないぐらいの女の子が出てきて目を疑うように僕を見つめた

よく分からない沈黙が__2秒ぐらい続いた時、

どうぞどうぞっ‼

お好きなお席にお座り下さい!

さっと笑顔を作り、手を広げた

正直、道を聞くだけのつもりだったので座る気はなかったのだが

あっはい。

と座ってしまっていた。悪い癖だ。

ご注文はいかがなさいますか?

彼女が隣で聞いてくる。

まだ座ったばっかりなんだからすぐ決まるわけないじゃん。

などと心の中で思いつつ、

あっじゃあコーヒーで、

と覚えた英単語でも言うかのように言った。

はい、ホットで宜しいですかね?と聞いてきたので

はい。と答えた

かしこまりました。と眩しいぐらいの笑顔で彼女は受け答えしてくれた。

あのスピードだけどうにかなれば100点なのに・・と思いつつ

改めて店内を見た。

刺した日が窓から入り、暖かな空間だ。

席はカウンターが4席に、

テーブルが5席、内ひとりは丸テーブルだった。

入り口には大き目の植物が置かれていて、窓には昔家に置かれていたような

チクタクと振り子を振る時計、陶器の人形なんかがある。

ここなら静かに落ち着いて本が読めるな。なんて思っていると

先ほどの彼女がコーヒーを持ってきた。

お待たせいたしました、ホットのコーヒーです。

どうも。と頭を下げる。

ごゆっくりどうぞ。

なんだか少し不安そうな彼女はそう言ってまたカウンターの方に歩いていった。

何も入れずに一口飲んだ。

まずっっ

まずかった。





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