いきなりね・・・
猫に近づいてみる。
人になれているのか猫は警戒する様子もない
たぶん前の住人が飼っていたのだろう。
ここは俺の席だと言わんばかりに安心しきってくつろいでいる。
あまりにも気持ちよさそうなので追い出すこともせず、そのままにしておいた。
それにしても気になったのは猫が包まっているマフラーだ。
先ほどまでなかったものだ
しかし、そこまで深く考えず猫がどこかから引っ張り出してきたのだろうと
その時は思った。
そう考えるしかなかった。家には自分しかいないはずなのだから…
ふと気づくと夜になっていた
寝てしまっていたようだ
猫もいない。マフラーも無くなっていた。
お風呂に入ろうと脱衣所に向かったとき_____視線を感じた。
振り返ると誰もいない、が紙が落ちていた
拾い上げるとそこには「よろしくね!」と書かれていた。
背筋がぞっとした
どういうことだ。いやすぐに思い浮かぶ…
前の住人。
しかし、そんなことはあり得ない
なぜなら彼女は死んでいるから
途端に怖くなってきた僕はお風呂はやめ二階の部屋に上がり布団に入った
そんなわけはない。幽霊なんていない。
必死に思い込もうとした
しかし、考えれば考えるほど恐怖は増していく…
すると、足音が聞こえ始めた
階段を上がる音だ
ギシ…。ギシ…。
ゆっくりと上がってくるのがわかる
ギシ… ギシ… カチャッ
音は僕の部屋を通り過ぎ隣の部屋に入ったようだ。
隣の部屋は前の住人の寝室。
僕は確信を得た。間違えない
気が付けば夜が明けていた
あれ以降、音はしなかった
しかし、僕の恐怖が和らぐことはない。
学校は明後日から。
家には居たくなかったので散歩することにした
少し歩くと大きな湖があった
朝の太陽が水面を照らしすごくきれいに見えた
ぶらっと湖を眺めながら歩いていると
ベンチに一人の女性を見つけた
きれいな湖がよく似合う女性だ。
僕が目を奪われていると、向こうがこっちに気づいた