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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第6章 梅雨終わり編
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14 手口

朝倉先輩の家に来たは良いもの、何度呼び鈴鳴らしても

出て来やしない。

私は溜息を1つ吐き、2階の窓を見る。


(隠れる気が無いね?窓から覗いてるの見えてるよ。)


呼ばれた理由が、これで分かった。

高みの見物する為に、アタシを呼び出すなんて…。


傘をたたみ、ドアノブに手を掛ける。

…うん。閉まってる。

分かってる。それくらい予想が付いてた。


そろそろ、家に入りたいので鍵穴を確認する。


(ダメだよ。ディスクシリンダー錠じゃ…。

ピッキング犯から見たら、玩具だよ♪)


ガチャリと音を立て、ドアの鍵は

アタシの侵入しんにゅうを許した。



「お邪魔しまぁ~す。あれ?先輩居ないのかなぁ?」


あさくらは部屋から出て、玄関へ足を運んだ。


「いらっしゃい。…鍵締かぎしまってなかった?」


「……いいえ?」


私と比べるとおとるが、可愛らしい瞳を丸くして、頭をかたむけた。

…おっと。無意識に爪を噛んでいた。


「あの朝倉先輩。家に来ましたが、何をすれば良いのでしょう?」


「あ…あぁ、お茶出すからまずはこっち来て。」


私は心の中で溜息を吐きながら、部屋に案内をした。

部屋に案内をした後、白鷺洲を置いてキッチンに行き

お茶を用意して戻った。


(あぁ私は何で、こんな事をしているのだろうか?)


そう、自分が情けなく思いながらも


(私のミスだし、今日は諦めよう…。)


そう思った。



朝倉先輩は、とぼけたアタシを見て

爪を噛んでいた。

しかし敵意はそれだけで

アタシを普通に部屋に入れ1人にした。


(あぁ〜。先輩ダメでしょ、敵にスキを見せちゃ)


そう呆れながら、アタシはパソコンの電源を入れる。

そして、昨日ケイが見たパスワードを入力する。


(ケイは覚えて無くても、

アタシは、何時でも思い出せるからね〜♪

さて隠しフォルダーは?…っと。)


直ぐに見つけ出し、フォルダーを右クリックする。

隠しフォルダー作るのは良いけど

全部そこに、まとめるのダメだよねぇ。


脅しに使うデータは、全て完全消去して

電源を消した。


(う〜ん。簡単過ぎて、つまんない〜。)



お茶を楽しみながら、私達は

18時まで喋り続けた。

初めて、人と喋るのって楽しいと思った。


白鷺洲は、あさくらの目を見て

私の話に合わせて頷いたり

共感きょうかんしてくれた。


…仲間なのかな?

もう少し一緒にいたいな…。と、思うくらい

相槌が上手うまかった。


(今まで、こんなに気持ちよく話せた事無かったな…。)


私は今日のストレスを全て忘れ、気持ちよく

白鷺洲かのじょを送る事が出来た。


今度はただ友達として、家に呼ぼうかな?

そう考え、パソコンの電源を付けた。

パソコンの隠しフォルダーをクリックする。


「何これ!?…ははっ……マジかぁ~。」


私は頭を抱えて、深い溜息を吐いた。

…見事にそのデータだけが、全て完全に消されていた。


部屋に1人にしたのは、たった5分弱。

その、お茶を入れて持ってくる、わずかな時間で

35文字のパスワードを解いて、データを消したみたいだが…。


(…なんでだろう。)


自然と許せちゃった。

ムカつかなかった。

消してもらえて逆にスッキリした。


…清々しいほど、鮮やかな手口でした。

そう思い、私は天井を、力なく見ながら微笑んだ。

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