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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第6章 梅雨終わり編
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8 私の人生 前編

小学生の頃から私…八重崎やえざき さくらは、いじめられてきた。

靴が無くなったり、無視されたりなどのショボい苛め。

でも…、子供だった私には、それが物凄く辛かった。


何年前かは覚えていないけど

孤立していた私に、話しかけてきた子がいた。


その子の名前は朝倉あさくら 実弥乃みやの

セミロングの黒髪をよく、人差し指で丸めて弄っている。


「八重崎さん…もし嫌な事があったら言ってね?」


そう言って、彼女は私の両手を掴み

上目遣いで言った。


その時の私は、そう言って貰えて嬉しかった。

その言葉だけで、いい子だと彼女の事を信頼した。

そして、よく2人で遊ぶようになった。


しかし…その日から一ヵ月後位たった頃

彼女の本性を知る事になった。


放課後、宿題を忘れたので、家から学校に戻った。

そして教室へ近づくにつれ、話し声がするのに気が付いた。


(うわ…誰だろう。人が居るなんて、めんどくさいな…。)


気が重くなり、歩きにくい。

うるさく鳴り響く心臓は、声の主が誰だか分かると落ち着いてきた。

この声の主は、朝倉さんだった。他は知らない。話した事が無い。


気付かれない様に、忍び足で教室へ向かう。

だって、何話しているのか気になるじゃん。


教室の扉の前で耳を澄ませる。

結局、何を話しているのか分からなかったが

その声は、全部で3種類だと言う事が分かった。。

一つは朝倉さん。他二つは知らない女子の声。


どうやら何か作業をしているらしい。

油性ペンを塗る時に聞こえる高い音が、教室で鳴り響いていた。


そして、その作業が一段落いちだんらくした後

その3人組は教室から出てきた。

廊下にいる私に気付くと、目を丸くした。


どうしてそんなに、目を丸くしているのか分からなかった私は声をかけた。


「朝倉さん。帰るの?またね」


そう言って、私は何時も通りの笑みを浮かべる。


「バイバイ」


朝倉さんも、上目遣いをしながら

何時も通りの笑みを浮かべ、そう言い3人仲良く教室を離れた。


それを見送ると、私は教室の中に入り

プリントの入っている机の前に立ち、動けなくなった。


…そう。机には赤い油性ペンで『死ね』と書かれていたのだ。


今思えば本当にショボい苛めだが、信用していた人に

裏切られたショックは大きかった。


それから私は、小学生を卒業するまで一人で過ごしたのでした。

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