7 不法侵入常習犯
雨が地面に叩き付けられて、音楽を奏でる。
雨音は、全部同じ様な音で同じでない。
微妙に違う音を楽しみながら、お茶の入ったコップを両手で持っていた。
夕方なのに暗い部屋の中で、アタシは静かにお茶を飲む。
あぁ、なんて美味しいのでしょう?
程よい甘味と苦味が口に広がる。
そしてお茶の香りが、美味しさを引き立たせている。
アタシがお茶を楽しんでいると、この部屋の主ソラ君が帰って来た様だ。
部屋のドアを開けて直ぐ、アタシの気配に気付き、溜息を吐いた。
「おい、何でお前がここに居る?
鍵を開けた覚えは無いのだが…。
また不法侵入したのか。
上野…ケイのもう1つの人格。」
ソラ君は、いきなりの来客に驚いているようだった。
…まあ、そりゃぁそうだよね。
放課後自分しかいない時に、チャイムも鳴らさずに
家に入り、お茶をもらい、ソラ君の寝室で寛いでるなんて
しかも全部勝手に。常識的に変だもんね。
彼の気持ちを理解しながらも
「自分で開けたからに決まってるよ?ソラ君。」
アタシはそう言い、惚けてみせた。
ソラ君は深い溜息を吐きながら、ベットの上に座る。
完全に、追い出す事を諦めている様子と見れる。
これが初めてと言う訳じゃないからね。
もぅ本当に、つまんない反応ぅ~。
まあ、いいや。
アタシには時間もない事だし、そろそろ本題に入ろうか。
空になったコップを机に置き、上目遣いでソラ君を見つめる。
ソラ君は、唾を飲み込みながら一瞬顔を顰める。
その後、真顔を装った。
顔と耳が赤くなっているから、エロい事を考えたのだろうと直ぐに分かった。
…ソラ君は、この体も好きだからな。
ソラ君とは、一度もそんな事をした経験がないけど
きっと妄想では、何度もやった事が有るんじゃないかな?
はしたない事を想像しながら、あえて触れず
「ソラ君は何時も、どんな風に人を殺しているの~?」
何時も通り巫山戯た喋り方だが、真剣な顔で私はソラ君に尋ねる。
ソラ君は、殺している所を
私に見られた事に気付いた様だ。
顔から赤みが消え、白くなる。
…そして、頭を押さえながら
何かを諦めたように、ソラ君は深い溜息を吐きながら呟く。
「上野…ケイの体で捕まるなよ?」
私の目を、真っ直ぐ見て言った。
「…アタシを誰だと思ってんの?当たり前よ。」
そう言って私…白鷺洲 繼の別人格
上野 友代は、余裕そうな笑みを浮かべた。
上野 友代
最終章の中で、説明される予定。




