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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第6章 梅雨終わり編
80/241

★ 1 掃除

修学旅行は散々だった。

女子には群がれるし、ケイには変な虫がたかるし。

確かに良い事はあった。

ケイの浴衣姿や、水着姿が見れたし、ケイは相変わらず可愛いし。

だが、修学旅行に舞い上がった馬鹿共が手を出してくるわで

内心複雑だった。


しかも修学旅行の最終日、雨が振った。

それは別にいい。天気ぐらいは。問題はそこじゃないんだ。

ケイの別人格が出てきて、一緒に1日過ごす事になったんだ。


正直ヒヤヒヤした。

性格が結構違うから、ケイが二重人格だってバレて

日常生活に支障をきたすのではないかと心配した。


しかし、大丈夫だったのでホッとしている。

中川も松崎も、変わったケイを気にせず、何時も通りに接していた。

普通に楽しそうに会話していたし、何も気付いていない様だった。

恐らく、中川は天然で、松崎は馬鹿だから気付かなかったのだろう。


そして修学旅行も無事に終わり、現在。


7月7日(土)


大雨の中、1人の男が傘もささず走り続けていた。

その男、名前は相原あいはら (れん)

怯えた表情で、後ろに何度か振り返り

また直ぐ前を向きなおす。


相原は出来るだけ早く、人目のある所に向かおうと必死に走る。

しかし、雨のせいで視界が悪いからか

中々思い通りに体が動かない。


「…あっ!!」


それどころか、何かに足をつまずかせ

地面に体を打ち付ける。

その場で体をねじらせ、起き上がろうとしたが

何分も走り続けていたから、疲労で体が動きそうにない。

右手で体を強く叩いて、無理矢理にも動かそうとしたが

鈍い痛みが広がるだけであった。


そんな中、1人の男が足元に立った。

相原が、血相変えてまで必死に走っていたのは、この男から逃げるためであった。

その男は今、そこに居た。

黒いカッパを目深まぶかにかぶり、髪型や目元は見えない。

しかし、口元は愉快そうに、不気味な笑みを浮かべていた。


「な…だ、もう……か。」


雨で声がき消えて、相原には何言ってるのか理解できなかった。

ただ男は、何かを言って俺の体を引きずる。

そして普段、誰も通らない様な所に連れて、相原を叩きつける。

相原は雨に濡れて寒いせいか、それとも怯えてか、体を大きく震わせていた。


「…お…おい、山本や佐々木を殺したのも、お前か?」


疑問に思っていた、2人の死について尋ねる。

2、3日前。山本と佐々木の死体が見つかったと聞いて

相原は、もう生き残ろうと言う気力なんか、残っていなかった。


その諦めから、冷静さを取り戻し

こうして話し掛ける事が出来たのだが…。

死への恐怖が全く無い訳じゃない。むしろ怖い。死にたくない。

でも散々走って、逃げられないと分かり、諦めている。

それだけ。


「……。」


…その男は、相原の問いに何も答えず、右手の包丁で

相原の首を…掻き切った。


相原は、ただ恐怖を与えられてから、呆気なく殺されてたのであった。

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