● 20 綺麗だね…。
一面に広がる藍色の世界。
藍色と言っても、水槽の中からは
上から光が射し込んで青色、水色、碧色、蒼色、藍色、紺色と
グラデーションの様に、色が所々違っていた。
教室2つ分くらいは、あるんじゃないかと思うくらい大きな水槽に
教室の机より大きなエイや、
大きさは乗用車くらい、あるんじゃないかと思うくらい、迫力のあるジンベイザメ。
その中に群れを作り、光を反射して銀色に輝いている小魚達。
「ねぇ、ソラ君綺麗だね。」
小魚達に見とれていた私は、顔を水槽から離し、隣にいたソラ君に話し掛けた。
「あぁ、綺麗だね…。」
そう言って、ソラ君は微笑みながら水槽の方に顔を向ける。
私も、それに合わせて水槽を又眺め始める。
(それにしても、今回の修学旅行も楽しかったな…。
色んな事あったし。)
(そう言えば結局、相原君の用を聞けなかったな。
何だったんだろう?)
(中川君って運動得意だとは知らなかったな。
守ってもらったから、後でお礼を言わなきゃ。)
(そう言えば、あれから紗百合は何時もと違ったけど
大丈夫かな…。)
魚達を見ながら、色んな思いを巡らせていると
隣にいたソラ君が、口を押さえながら笑いだした。
「水族館で、ケイの百面相が見れるとは思わなかった。」
「へっ…?!」
そう言われて、私は顔を両手で押さえる。
どうやら、考えていた事が無意識に顔に出てしまっていた様だ。
恥ずかしくて私の顔は凄く熱くなる。
多分、ここが水族館じゃなくて外だったら
真っ赤なのが直ぐにバレてしまっていただろう。
恥ずかしくて、そっぽを向く私にソラ君は笑いながら
私の顔を左手で優しく掴み、顔をソラ君の方へ無理やり動かされた。
私は驚きながらも、ソラ君の顔をジッと見つめる。
ソラ君は「また表情が変わった」と呟き楽しそうに笑う。
「なぁにソラ君、からかってんの~?」
そう言い、私がムスッとすると、ソラ君は笑うのを止める。
そして、そのまま顔を近づけて軽くキスをした。
「…ここ、人いるから恥ずかしい…止めて。」
「…見えやしないよ。みんな魚に夢中だから。」
ソラ君は、水槽に差し込む青白い綺麗な光の中で
私の顔を見ながら優しく微笑んだ。
その顔は、光のせいか何時もとはまた違う雰囲気を醸し出していたが
それがとても美しくて、綺麗で…。
「綺麗だよ…ケイ。」
「綺麗だね…ソラ君。」
私とソラ君はそう言い、微笑み合う。
海の底にいる様な、錯覚を覚える水族館の中で
私達は2人、手を繋いで歩き回った。
あぁ、こんな素敵な日々が続けばいいのに。そうソラ君の隣で思いながら。




