16 迷子
10分くらい前
僕は、ある提案を思いついた。
(そうだ、近道をしよう!!)
水族館の方向を聞いたら、お土産屋さんのお姉さんは
あっちを指差して説明をしていたから、多分あっち側だろう。
そう思い、僕は先頭に立って歩き続けたんだけど…。
辺りを見渡して僕はやっと気づいた。
迷子になっているという事を。
流石に、潰れた工場みたいな所に来たら気付くものだ。
僕は辺りを見渡しながら、お姉さんの指した方向を信じて
真っ直ぐ進むか、それとも浜辺があった方に引き返すかと
2つの選択にも迷っていた。
「あれ~?おかしいな~…。」
中川君は、辺りを見渡してから頭を傾けた。
途中までは人通りがあり、道を尋ねながら水族館に向かっていたのですが
何時の間にか私達は、人通りが全くない所に来てしまいました。
ソラ君がいる浜辺を離れてから、歩いて30分くらいの所なのですが
どうしましょう。完全に迷子になってしまいました。
「おい、マジかよ…。」
私はそう呟き、錆びた鉄で出来ている
もう使われていないであろう、工場の前に立ち尽くしていた。
やはり、中川を先頭に水族館に向かったのが間違いだった。
そう思い、私は頭を抱えながら、溜息を吐きながらその場に座り込む。
浜辺から歩き続けて、全然休んでいなかったから
疲れがドッと押しかけてきた。
「紗百合、中川君も大丈夫?」
そう言って、ケイは心配そうに私の瞳を覗き込んでいるけど
ケイもかなり疲れているようで、表情が固い。
「大丈夫。ケイも休んだら?」
「うん。」
「あ、そうだ!ソラ君に連絡しよう♪」
そんな中、中川はバックからスマホを取り出し
相野谷にメールを打ち始めた。
俺は、女子の目を欺き、浜辺から抜け出すことに成功した。
俺は騒ぐ女子達を坂から見下ろしながら、鞄からスマホを取り出した。
皆は知っているだろうか?浮気アプリというものを。
位置情報確認機能、スマートフォン内のデータの取得
カメラや音声録音の遠隔操作などが、簡単に出来ちゃうものだ。
まあ、浮気アプリといっても結構種類あるので後で探してみるといい。
浮気の疑いがある人のスマホにインストールすることで
確認できるという恐ろしいものだ。
まあ、ケイの事を疑っていると言う訳じゃないが
ケイのスマホの中には、ちゃんとインストールしてある。
俺が勝手にやった事だが、俺はコレのおかげで
ケイがいる場所を特定する事ができた。
…どうやら迷子になったらしい。
水族館に行くと言いながら、何も無い所で止まっている。
どうせ、中川の後について行ったんだろう。
(あいつ、学校の中でも迷子になるしな…。)
そう考えながら、歩きながら向かっている途中。
中川から一通のメールが届いた。
『どうしよう、迷子になったんだけど(´-ω-`)』
うん。それは予想できた。
俺は、しょうがない奴だなと思い、笑いながら歩き続けた。
『さぎしまさんがぼくらもおそわれていぬとうしよう』
(?…いぬ?分かりにくいな…。)
恐らくスマホを見ないで打ったんだろう。
じゃなきゃ中川が、ここまで意味の分かりにくい文字を打つわけがない。
全部平仮名なんて、大学教授だとしても読むのは難しいだろう。
俺は溜息を吐きながら、分かりにくい文字達の集まりを
解読していく。
そして、書かれていた内容に、俺は目を見開き走り出した。
『白鷺洲さんが、僕等も襲われている。どうしよう?』
中川は、そう書いたつもりで
俺にメールを送ってきたんだと、思ったから。




