12 潜む影
消灯時間が過ぎ、電気がつかなくなった暗い部屋の中でも
3人は楽しそうに、まだ来ぬ明日の事を話していた。
「なぁ、で、明日はどうする?」
山本は枕の上から顔を上げて、2人に尋ねた。
昨日修学旅行が始まり、山本達は明日で最終日を迎える所だった。
しかも、今日のうちに行きたい所を廻りきってしまって、実は行く当てがない。
「…集合時間まで時間があるし、どっかほっつき歩く?」
佐々木は眠そうに、アクビをしてからそう答えた。
それもそうだなと考え、佐々木の眠気が移り山本もアクビをする中
「俺は、彼女のケー番が欲しい…。」
「えっ?」
それに息を呑み山本と佐々木は顔を合わせる。
あまり顔に出さない相原が、暗闇の中でもわかるほど、目を光らせていた。
「…そうだな…。」
山本は、そう相槌を打ちながら体を動かす。
きっと携帯番号を手に入れる事は難しいだろう。
素直に聞いてみた所で、あの殺意が込められた2人組が邪魔しに来るのでは?
そう考えながらも、山本達はどうしても彼女との繋がりが欲しかった。
彼女と関われば、少しは華やかな学校生活に変わるはずだと思ったからだ。
正直言って、むさくるしい日々を繰り返すのは嫌になった。
毛布から顔を出し、佐々木は顔を掻いた。
「なあ、ちょうど俺等暇だしさ、彼女が1人になるまで付いて行くってどうだ?」
佐々木の提案に、山本は目を輝かせる。
佐々木、お前たまにいい案出すよな!そう思いながら。
「賛成!…相原は?」
「凄くいい。それにしようぜ!!」
相原もそう思っていたらしく、いい笑顔を浮かべた。
もう部屋の隅まで見渡せるほど、暗闇になれた目をつむり
明日の事を思い浮かべて、彼等は眠るのであった。




