11 目は笑えない
急いで部屋の方へ向かう途中、話し声が聞こえ気になり目を向けると
ケイは楽しそうに、あの男子達と話していた。
私達は走ってケイの方へ向かった。
ケイはそれに気付き嬉しそうに手を振っている。
私は心の中で、溜息を吐きながら手を振り返す。
隣にいる相野谷は真顔だが、ちゃんと手を振っている。
てか怖いんだけど。真顔で目の奥には嫉妬の渦が巻いてる気がする。
広い男になると言っていたが、相野谷がそうなるのは
まだ先の事だろうと思うな。
まあ、私も文句言える事じゃないから、この事に関しては何も言わないけど。
そう考えながら、私達はケイの隣に並び
突然現れた私達に、戸惑いを隠せない様子の男達に向かって
私は良く通る声を出す。心の中に、殺意を込めながら。
(私のケイに何ちょっかい出してんのよ)
「こんばんわ~。ケイの友達?私は松崎、ケイの親友よ。」
そう言って、私は作り笑いで私は自己紹介を始めた。
それに続いて、ピョンと跳ねながら中川君が自己紹介を始める。
「僕は中川だよ~♪何なに?
白鷺洲さんと仲いいみたいだね~良いな良いな~」
(うわぁ~イイなぁ~仲良しさんだね♪)
中川のKY感に少しイラっとした。しかし今は我慢。
大人になるのよ私。
突然現れた3人組に、男達は表情が強ばっている。
彼らは「山本です」「佐々木です」「相原です」と、
昔CMで見た『余分○兄弟』みたいな感じに自己紹介をした。
「俺は相野谷 爽蘭…どうも。ケイがお世話になったみたいで。」
(俺のケイに手を出して…ただで済むと思うなよ?)
相野谷は彼らを一人一人じっくり見ながら自己紹介をした。
もちろん無表情で。
絶対コイツも相手に殺意抱いてるわ。
山本君達は、怯えて体を震わせちゃっている。
ざまぁ見やがれ。
そう心の中で蔑みながら、私は口の橋を釣り上げた。
俺は中川は別として、他2人から目をそらして体を震わせる。
あの2人マジで怖い。
目から呪いを掛けて来てるじゃないかと思うくらい
目を合わせただけで心臓が跳ね上がった。
目が笑っていない。さっきから殺気が痛いほど感じられる。
とくに男の方、確かアイノヤ?だっけ?
珍しい名前だ。てか偽名だったりして…漢字にしたら愛の矢?
…名前こそ変だが、本当に矢が飛んで来てるんじゃないかと
考えてしまうくらい、視線が痛い。
(なんで、あの女とこの男…殺気丸出しなの?)
「あ…いえ…。」
しかも顔が整っている、つまり美形だから
真顔になると、目が鋭くて更に恐ろしく、不気味にも感じる。
「じゃあ、そろそろ消灯時間だし帰ります。またねケイちゃん…ひっ…。」
(目が笑ってなくて怖いんだけど…。)
「じゃ…じゃあね~…。」
そう言って、俺等はその場を退散した。
山本が言った通り、もう少しで消灯時間なので
ちょうど良かったかもしれない。
そう思い、俺等は震える体を両手で摩りながら部屋に戻ったのであった。




