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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第5章 修学旅行編
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4 僕が皆と行く理由

放課後の商店街は、

安売りされた食材の、買い出しを急ぐ主婦が多数。

ゲームセンターに吸い込まれる高校生で(あふ)れていた。

休日のお昼時の雰囲気とは、また違う賑やかさを持ったその場に

僕達は居た。


(僕の名前は中川(なかがわ) 美紀(よしのり)

今日は、水着を買うために洋服屋さんまで来たのですが

僕は只今、夕飯前の空腹でそれどころじゃありません(泣))


「紗百合、これ似合うと思う!」


「ホントだ~すごく可愛いよ!来てみる!!」


松崎さんは、白鷺洲さんの選んだ水着を嬉しそうに手に取った。

僕が空腹で、水着探す手が止まっている中

白鷺洲(さぎしま)さんと松崎(まつざき)さんは、楽しそうに水着を選んでいる。

女子と言うのは、こう言う時に輝くらしい。

僕が美味しいものを食べる時と同じように。


彼女達が試着室に向かった後

僕は、さっきまで彼女達を見て微笑んでいた相野谷君に尋ねた。


「ねぇ、相野谷くん…。」


「ん?何だ?」


僕はふらついた足取りで、手に持ったものを相野谷くんに見せる。

僕の手にした物を見て、相野谷くんは一瞬目を見開いてから

それから目を離し、左手で髪を触りながら溜息を吐いた。

それを気にせず笑顔で尋ねる僕。


「これどう?」


「ん…あぁお前、本当センス無いとしか言えない。」


聞き捨てならないセリフに、僕は頬を膨らませながら考える。

赤いヒョウ柄の水着のどこがダメなのだろうか?

カッコイイと思うんだけどな~ヒョウ柄。


「コレにしとけ」


そう言って、青い生地に一筋の水色のラインが引かれた

地味な水着を僕に渡す。

僕は少し睨みつけながら素直に受け取る。

…僕からすると、絶対こっちの僕の方がセンスあると思うんだけど。


(…まぁ、親友に選んでもらったの凄く嬉しいな♪)


そう思ってニカッと笑顔になる僕。

白鷺洲さんと松崎さんが選び終わった後、僕達は水着を買った。


この高校生活は僕にとって、一生大切な時間になるだろう。

嬉しい事ばかりで少し戸惑っているけど、相野谷君達と友達になれて凄く嬉しい。

水着くらい1人でも買える。

なのに何故皆を誘ったかと言うと、

皆で買い物なんて、中々出来るものじゃないから。

だから今日、皆と来れて嬉しいと思っている。


(だって…)


お腹は膨れないけど、喜びで胸いっぱいになれる。

この一秒一秒、もう一生戻る事の出来ないこの時を

皆で共感しあえる事が出来るから。

そう僕が、心の中でこの世に感謝していると、皆が僕をよんだ。


「中川置いてくぞ?」

「中川君」

「何してんだ?お前」


それに気付き、現実に戻る僕の意識。


「ごめん~まって」


いつの間にか、皆は自動ドアの前に立っていた。

僕は軽い足取りで、温かいお日様の光の様な皆の方へ走って行った。

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