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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第5章 修学旅行編
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1 広いオトコになる(仮)

6月18日(月)


昼休みの曇り空の下、俺等4人は屋上にいた。

目の前で中川とケイが楽しそうに話をしている。


「お前、なんか心広くなったね」


仲良く食べている所を微笑ましく眺めている俺に

松崎が耳打ちをしてきた。


「あぁ、少し反省してな。」


「だから今日はガード緩いんだね。

ケイの周りに男群がってて驚いたよ。あははっ」


そう言って松崎は、俺から目をそらしケイの方を見る。

俺は一昨日の事を思い出し苦笑いする。


「俺はケイのために、広いオトコに変わるんだ。」


「ふ~ん?…ってケイのそれ美味しそう頂戴!!」


俺は、相変わらず自分勝手な女だなと思い、大きな溜息を吐く。

ケイは「いいよ~」と言って卵焼きを箸で取り、松崎の口に入れた。

美味しそうに食べている松崎を、固まりながら見ていると

「なにみてんだよ」と、睨んできやがった。


(ばっ…お前!俺された事ないんだけど!!

何平然としてもらっているワケ!?)


爪を噛みながら、恨めしそうに松崎を見続けていると

松崎がケイに耳打ちした。

それに、ケイは楽しそうに微笑んでから


「ソラ君はタコさんウインナーが好きでしたよね。」


「はい、あーん」とケイはウインナーを箸で掴み

俺の口元に持ってくる。


(…なんか複雑。)


嬉しいんだけど、松崎のおかげと考えるとムカつく。

しかも、ニヤニヤ笑う松崎と、その行為に中川が「きゃー」と

恥ずかしがっているせいで気が散り

嬉しいような、ムカつくような。

うん。まぁ、ケイが少し赤くなって可愛いから良しとしよう。

そう思い、素直にウインナー食べながら御礼を言った。

うん。美味い。


「そう言えば今日のロングホームルームは、2週間後の修学旅行の班決めだっけ?」


「楽しみだねぇ」と呑気に行ってる中川に

ケイは「そうだね♪」と、嬉しそうに相槌(あいづち)をする。

俺と松崎は、すっかり忘れていた存在を思い出し声を潜める。


「…おい、マジか?その情報」


「ケイも知ってるっぽいしマジかも…

スマホしてて聞いていなかったわ。」


俺と松崎は目を見つめ合い、互いの(おもい)が始めて合致した事を感じ、手を組んだ。

ケイと中川は、そんな俺等を不思議そうに首を傾げて見た。

松崎とは何も喋らず、目で語りかける。


(ケイを、変な男の班に組ます訳には行かない。分かってるか?)


(えぇ。私とケイで組み、お前は中川と組む。)


(あぁ、幸いうちの学校は男女4人で組まなきゃいけない。

人数では丁度いい。)


(後は組むタイミングね…今日お前が男子に気を許したから

男子達もケイに誘いやすくなっているし…。)


((…作戦成功を祈る。))


俺等は何事もなかった様に手を離し、弁当を食べだす。

広い男になるのは、明日からの方が良かったな。

そう少し後悔しながら、俺達の戦いが始まったのだった。

ソラ君が紗百合と手を組んでいる中

私と中川くんは、仲良くお弁当を食べていた。


「ねぇ、僕にもあーんして?」


「いいですよ?はい、あーん。」


卵焼きを箸で掴んで、中川くんの口の中に入れる。

中川くんは卵焼きを物凄く美味しそうに食べたので


(作りがいあるなぁ。)


私は、そう思ったのであった。

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