7 思い立ったが吉日と言いますが…
クレープの甘い匂いがする。
お腹すいてる時はつられて食べたくなる物だけど、今は出来れば嗅ぎたくない。
賑わうフードコートの中でケイを探す。
人が多くて探すのに時間がかかった。
空いている席を探し出し、コッソリとその場からケイを見守る。
「相野谷くん僕、食べ物頼んでくるね。」
ケイは今日はチャンポンを買ったようだ。美味しそうに食べている。
俺もチャンポンなら食べれる気がしてきた。
松崎はケイと向き合うような形で、うどんを食べている。
羨ましい。おい、いますぐ松崎俺と交代しろ!!
ギリギリと爪を噛じりながら松崎を睨みつける。
「相野谷くん買ってきたよ~。何か食べる?」
「…ん?」
中川が机の上に、買ってきたものを乗っけた。
うどん大盛り、ネギ大量トッピング、天ぷら5種類。
最後にバナナサイズの海老フライが1つ…て、食べ過ぎだろ!!
いったい俺より小さな体にどうやって入っているのやら…。
「…何かそれ見ただけでお腹いっぱいになった。いらない。」
「わかった~それじゃあ頂きます~♪」
そう言って中川は幸せそうに海老フライにかぶりつく。
おっとイケナイ。
中川が凄いからつい、ケイから視線を逸らしてしまった。
急いで視線を戻したら頭の中で何かが切れる音がした。
(あれ…?なんか…。)
何だか頭がクラクラする。
ケイに話しかける知らない男。
何やら松崎と仲が良い様だけど、松崎そっちのけで話し始めている。
(あぁ…ダメだ…。)
苦しい…吐きそうだ。別に食べ過ぎだからというわけではない。
俺を今、襲っているのはストレス。
ケイは戸惑いながらも、話を合わせてぎこちないが笑っている。
俺の親友でも友達でも、ケイの親友や友達でもない
ケイの親友の友達だとしても、ケイの友達ではない。
今知り合ったばかりの奴。関わりは今だけ。
(じゃあソイツは殺しても良いかな?イイよね繼?)
早く原因を無くさなくては…。
俺はその場からフラリと立ち上がり、1歩ケイ達の方へ歩いて足を止める。
(ここじゃ人目があるからすぐ捕まっちゃうし、ケイにも怯えられちゃって
落ち着いてケイを楽しめないか…。)
虚ろな瞳でケイ達を見つめる。
(あぁ…そうか…。もういっその事閉じ込めちゃうか…。)
目は笑っていないのに口元が緩み、不気味な笑みを浮かべた。
もう我慢ができない。
俺は食べる事に夢中になった中川を置いて、1人家に帰った。




