★ 18 鬼ごっこ 中編
少しずつ距離が近づく中、俺は相野谷を凝視する。
(気が動転してて、肉弾戦を思いつかなかったが
よく考えたら相野谷より俺の方がデカイし、前に覗いて見たが体力テストでも上だ。
敵わない訳がない。力で上なら何とか成るだろな…。)
そう思い始めると、少しだけだが
心に余裕が出来ゆっくりと立ち上がる。
俺は思い切って、相野谷に向かって叫ぶ。
「お…おい!何で追い掛けてくんだよ。なぜ田中のスマホを持っている!?」
震える声を抑えながら尋ねた。
相野谷は歩きながら
「なんだ…鬼ごっこはもう終わりか。つまんないな…。」
と言い溜息を吐いた。
距離が縮まってくる恐怖と焦りで吐きそうになりながらも
俺は更に大きな声で叫ぶように尋ねる。
「田中はどうしたんだ?苅部はお前が殺したのか??答えろよ!!」
「ん~これからどうしようかな…。」
大事な話をしていると言うのに、相野谷は話しどころか目さえ合わす事なく
質問にも何も答えず、歩き続ける。
まるで、俺の声など聞こえて無いかの様に…。
ついに俺は恐怖、焦り、怒りこの三つがピークに達し理性を失った。
衝動に駆られるまま、相野谷に向かって走り出す。
その勢いに乗せて、拳を固く握り殴りかかる。
しかし、俺の拳は相野谷を傷付ける事が出来なかった。
渾身の力を込めた一撃は、片手で軽々と受け止められた。
その後、右手に激痛が走り悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。
「ぐあぁぁぁぁっぁあ!!」
熱いような激痛と共に右手が赤く染まっていく。
相野谷の手には細長い包丁が握られていた。
冷めた目で俺を見下ろし相野谷は呟く。
「本当邪魔なんだよね…君達の様な害虫。」
そう言って相野谷は、倒れこんで蹲っている俺の襟をつかみ
首に包丁を突き立てた。




