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桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第3章 殺人鬼誕生編
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16 台風の影響で④

雨のせいで視界が悪く、顔がはっきり見えない。


しかし、手元には田中と同じスマホを持っていたので

俺は、田中だと確信して思わず嬉しくなった。


(何だかんだムカつく奴でも

居なくなると寂しいもんだな。


とりあえず…まずは抱きしめよう。

抱きしめて無事を祝おう。


…そして、最後は気が済むまで

殴りつけてやる。)


田中に向かって歩く。

近づくにつれて足早になっていく。


しかし近づくに連れて、何だか違和感を感じた。


(あれ?田中こんなに大きかったけ?)


田中の身長は俺より10cm小さいはずなのに

ソイツは俺と同じくらいの大きさに感じた。


それだけじゃない。

そう言えば、今日は一度も声を聞いてない。


普段なら耳を塞ぎたくなるくらい、お喋りな田中(あいつ)

一度も喋らないなんておかしい。


……なんか嫌な予感がするんだ。


不安になって足を止める。


それに気づき、今度は向こうから

コッチに近づいてきた。


距離が近くなるにつれ、顔がしっかりと見えてきた。


俺は顔を見た瞬間、喉が詰まり、呼吸を忘れた。


段々と近づくソイツは、俺が知ってる田中ではなく

俺が悪魔と言って恐れている

相野谷だった。


俺が動けなくなっている中

相野谷は一歩…また一歩と歩いてくる。


心拍数が早まる。


豪雨の叩きつける様な音は

自分の心臓の音によりかき消された。


…相野谷は、俺の顔を見て

ニタッと不気味な笑みを浮かべる。


(逃げろ…)


指1本も動かせない。

唯一動くのは自分の目だけ。


(逃げろ…逃げろよ)


俺は何度も体に命令をする。

拘束された訳じゃないのに、動けない…動かない。


俺と相野谷の間は(わず)か1m弱。


相野谷は動けなくなった俺を

嘲笑いながら、足を止めた。


そして、俺に向かって確かに言った。


「最後の1人」…と。


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