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15 台風の影響で③
元々人気のない所だったので
通知の内容通り、ゲームセンターはガラ空きだった。
俺は正直言うと、台風が過ぎたからって天気を嘗めていた。
余波の暴風により傘は、あらゆる方向に折れ曲がり
豪雨は、傘が使い物にならなくなった俺にも容赦なく襲った。
びしょ濡れになった服の裾を、軽く絞るだけで大量の雨水が流れ出た。
最近蒸し暑い日が続いたせいか、店内はしっかり冷房が効いており肌寒く感じる。
俺は大きく溜息を吐き、店内に足を踏み入れる。
田中の事だ。1人でも騒がしい奴だから、すぐ見つかるだろう。
そう軽い気持ちであちこち回った。
しかし、たまに似た奴はいたが田中は見つからなかった。
まさか、違うところに移動した?すれ違い?それとも…
俺はスマホをポケットから取り出す。
ずぶ濡れになった後でも、普通に使えるから防水機能って凄い。
なんて、感心しながらスマホを操作する。
櫛田っ子:なあ、お前本当どこ?
田中だよw:いま外だよww
(外かよ!)
俺はwマークにイラつきながら外に出る。
すると、商店街に方面に黒いカッパを着た人が1人立っていた。
「…田中?」