表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桑の実をジャムにして…  作者: 花好 モピナ
第3章 殺人鬼誕生編
29/241

9 カラオケ後編

(たなか)が37曲歌い終わった頃

獅子(くしだ)は、パフェを食い終わり

帰る支度(したく)をしていた。


「えっ!何帰ろうとしてんだよ獅子!!夜はこれからだぜ!?」

 

俺は歌うのを中断し、帰ろうとする獅子を止めようとする。

しかし獅子は俺を見て、溜息ためいきを吐くだけで

バックに荷物を入れる手を止めない。


俺の右手にはマイク、左手にはマラカスとタンバリンを装備そうびしている。

どこをどう見ても、カラオケを楽しんでいる様な姿だが

別に歌うのだけが目的でない事を、分かってほしい。


今日の目的は

①苅部の事故

②山本音信不通

③言ってなかったこと

を獅子に質問したり聞いてもらう事だ。

田中は机に、持っていた物を置き櫛田のバックを掴む。


「待って待て、歌っていたのは獅子に感謝を伝えたくて…。

だけど、今から本題に入るから帰らないで!」


俺はマジな顔で獅子の目を見ながら、呼び止めた。



さっきまで巫山戯(ふざけ)ていた田中の顔が

真剣な表情に変わり、驚き足を止めた。


普段なら目を合わせる事がない田中がめずらしい。

(くしだ)は、田中の言いたい事に(ただ)ならない気配を感じ

黒いソファーに座りなおし、話を聞く事にした。


田中の話す内容は、苅部かりべを殺したのは実は

相野谷あいのやなのではないかと言う事。


それと9月1日のあの日何を仕出かしたのか。

そして何があったか…だ。


(そんな…何て事だ…。)


苅部は事故だと思っていた。

相野谷は、悪魔のように何事も冷酷れいこく容赦ようしゃはしないが

ケイちゃんに関わること以外は全く興味がなく

必要以上に手を出してくる事はない。


つまり今回の計画の通りに進んでいれば

直接話しをする俺以外は痛い目に合う事はない…はずだった。


田中が言ったことが本当ならば

苅部が事故に見せかけ殺された可能性が、0%じゃなくなった。

(むし)ろ俺等全員、殺される可能性が0%じゃなくなった。


俺は殺されるのではないかとのあせりと

なぜ約束を守れなかったのかと、怒りが込み上げてきて

田中の(えり)を掴み(にら)み付ける。


顔を近くで見たため、田中の目がれている事に気づいた。

田中は1人で何度も考え後悔し、自分を何度も追い詰めたのだろう。


「だって我慢できないよ…俺等がずっと追いかけていた人が

やっと手の届くところに来たんだよ?」


力なく言い訳をし、目をそらす田中を見て

何も言えなくなり、掴んだ襟をはなす。


「…俺も悪かった。俺が言い出さなければ

こんな事にならなかった。」


(相野谷につかまらず…いや、計画が甘すぎたんだ。

一筋縄ではいかない事知っていたのに…。

解放された後、家に帰らず真っ直ぐ山本の家に行けていれば…)


俺は皆への罪悪感と、自分の行いの(おろ)かさに潰されそうになる。

一刻も早く1人になりたくて、エナメルバッグを肩にかけ

田中を背に、ドアに手をかける。



「悪い…獅子。あの時、苅部を止められれば…

いや、また公園に行っていれば、こんな事には成らなかったかも」


「過ぎた事は仕方ない。

今出来る事は、殺されない様に気を付けるだけだ。

もし、本当に苅部が他殺ならば俺等も殺される。

…いつでも電話して良いから、今日は解散かいさんだ。」


そう言い残して

振り返ることなく、俺はその場から立ち去った。

田中を1人残して…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ